本記事は、コンサル転職における書類選考におけるポイント、通過するためのコツを徹底的に解説した"教科書"である。
コンサルファームの書類選考では基本的に志望動機書、職務経歴書、履歴書の提出が求められる。
本記事ではそれぞれについて、コンサルファームの面接官経験や、コンサルファームへの転職成功者の方々へのインタビューを踏まえて余すことなく解説していく。
- コンサル転職における志望動機書、職務経歴書、履歴書のポイント
- コンサル転職の書類選考を突破するためのコツ
コンサルへの転職を目指す上では、おすすめのコンサル転職エージェントの記事を参考にして頂きたい。
Contents
コンサル転職で必要な応募書類
コンサル転職をするうえで、「履歴書」「職務経歴書」「志望動機書」の3点の必要性を理解し、準備を進める必要がある。
以下、上記書類の目的と内容について解説していく。
履歴書
転職者自身のプロフィール(性別、住所、西暦、学歴・職歴、保有資格など)を確認するための書類である。
履歴書は、フォーマットが固定されているケースが多いため、文章表現による独自性は出しづらいものの、基本的なルールに従って記載されているか(和暦・西暦表記を統一するなど)、ビジネスマナーの観点でチェックされる可能性もあるため、全体を通じて誤植がないよう気をつける必要がある。
また、履歴書を作成するうえで、以下の観点を意識しながら作成することをおすすめしたい。
- 学歴や職歴に一貫性があるか
- 転職回数に問題はないか(組織への適応力があるかどうか)
- 実務レベルで即戦力となる資格を保有しているか
- 希望給与や勤務地、働き方などが募集要件に合っているか
- 勤務可能な居住地か
職務経歴書
転職者が自社の求める職務経験やスキルを持っているか企業が判断するための書類である。
履歴書がプロフィール中心であるのに対し、職務経歴書は転職者の経歴、スキル、パフォーマンスに焦点をあてて作成する必要がある。
職務経歴書の場合は、成果や実績に至ったプロセスを論理立てて説明する必要があり、一定のライティングスキルが求められる。
また、コンサル転職における職務経歴書を作成するうえで、以下の観点を意識しながら作成することをおすすめしたい。
- 過去にどういった企業でどのような仕事に取り組み、成果を上げてきたのか(成果・実績に至ったプロセスを論理立てて説明)
- 過去の経歴、成果・実績が転職先の企業が求めている内容であるか
- 募集職種に役立つ経験やスキルを持っているか
- 研ぎ澄まされた日本語で、かつ論理構成が確立された文章になっているか
志望動機書
転職者の志望動機を詳しく確認するための書類である。
履歴書や職務経歴書の中で、志望動機を記載する場合もあるが、志望動機書の場合は、転職者の志望度合いや応募した背景を深く掘り下げて記載する必要がある。
志望動機書を作成するうえで、以下の観点を意識しながら作成することをおすすめしたい。
- 志望動機が転職者自身の言葉で語られているか(過去の経験をもとに語られているか)
- なぜ、その企業を志望しているのか(同業他社ではなく、志望する企業でなくてはならない理由)
- 転職の動機がネガティブになっていないか(ex.前職が成長を実感できる環境になかった/望む仕事ができなかった)
以降では、履歴書、職務経歴書、志望動機書について、実際のコンサル転職者の方にご提供頂いたサンプルをもとにポイントを解説していく。
コンサル転職における履歴書のポイント
上記は実際にコンサル転職を成功された方の履歴書である。(一部加工)
上記をもとに以下にてコンサル転職における履歴書のポイントを解説していく。
ポイント1:フォーマットに沿って正しく記入する
履歴書は積極的に加点を狙うというよりも、記載ミスや内容の矛盾による余計な減点を避け、自分自身に関する事実について、フォーマットに従って簡潔に記述をすることが重要。
資料を成果物として納品するコンサルにおいて、資料上の記載ミスや誤字脱字は絶対に許されないため、履歴書を通じて正確な資料作成が出来る人材かを見極める1つの評価基準になり得る。
誰も等しいクオリティで作成できてしまう履歴書だからこそ、減点がないよう細部まで拘る必要がある。
ポイント2:コンサルに関係ない資格はあえて記載しない
資格は可視化できるスキルとしてアピールポイントの重要な要素ではあるが、コンサル業界と直接関連がなく、趣味の要素が強いものは、あえて記載しないほうが良いだろう。
履歴書は一枚の紙からその人自身がどんな人物であるかを表現するプロファイルになることから、伝えたい印象から逸脱するノイズは排除するほうが得策と言える。
また、資格の欄にTOEICを記載する場合も高いスコア(記載する基準は600点以上から)でない場合は、アピール要素にならないため、記載しないことを推奨する。
仮に、面接の場で語学力について問われた場合、今後学習を進めていく予定があることを伝え、語学力についても向上の意思があることを示すと良い。
テクニック的に、珍しい資格や経歴を保持している場合で、面接の場で盛り上がる話のネタになるのであれば、あえて記載しても良いが、このあたりのさじ加減は、添削指導してくれるエージェントや志望先の現役コンサルなど第三者の意見を取り入れることをおすすめしたい。
ポイント3:正確な情報を記載する
意図的に雇用形態をごまかしたり在籍期間を長めに書くことはもっての外だが、勘違いや確認不足で誤った雇用形態や在籍期間を記載したことで、経歴詐称と判断されるケースがある。
特に外資系コンサルは、バックグラウンドチェックを実施している企業が多く、履歴書に記載されている学歴・経歴・保有資格に齟齬が発覚した場合、信用問題に関わり、不採用となるケースもある。
コンサル転職における職務経歴書のポイント
上記は実際にコンサル転職を成功された方の職務経歴書である。(一部加工)
上記をもとに以下にてコンサル転職における職務経歴書のポイントを解説していく。
ポイント1:冒頭のサマリ・概要で興味関心を惹く
膨大な量の職務経歴書をチェックする採用担当に対して、冒頭のサマリで「この後も読み進めていたい」と思わせる導線を作れるかが重要になる。
書籍で言うところの「まえがき」にあたる部分であり、冒頭のサマリは、あまり多くを語りすぎずキーワードベースで簡潔にまとめる方がベターである。
また、全体を通して言えることだが、異業界/異職種の人にも理解できるワーディングやストーリーを心掛けて記載する必要がある。
ポイント2:転職希望先にフィットする経験やスキルを得意分野として記述
コンサル転職における職務経歴書では、コンサルに適正がある経験やスキルを端的にアピールすると良い。
文章表現というより、箇条書きでシンプルにまとめ、それぞれの項目に対して具体的エピソードを補足すると、より説得性が増す。
一般的には、「問題・課題解決力」や「業務推進力・リーダーシップ」に関連する内容がアピールすべき経験やスキルになる。
ポイント3:成果・実績に至ったプロセスを再現性のある形で語る
コンサル転職における職務経歴書では、成果・実績に至ったプロセスを再現性のある形で語ることで、採用担当者に「わが社でも活躍できる人材」と思わせる必要がある。
華々しい成果や実績がある場合も、勿論アピールポイントとして押していけばよいが、エピソードの強度よりも深さの部分を語る方が重要になる。
採用側は、転職者自身としての成果だけではなく、誰に対して何を、どのような役割を担い、どの程度の成果があったのかを重視している。
また、プロセスを語る際は、コンサルに親和性が高い下記のような資質をアピールすると良い。
- 戦略立案・企画
- 組織変革
- データ分析
- リーダーシップ
マネジャー以上の選考であれば、チームマネジメント経験が求められるため、具体的な人数も記載しておきたい。
コンサル転職における志望動機書のポイント
上記は実際にコンサル転職を成功された方の志望動機書である。(一部加工)
上記をもとに以下にてコンサル転職における志望動機書のポイントを解説していく。
ポイント1:志望理由は結論ファーストで端的に
コンサル転職における志望動機書では、冒頭に「なぜ、コンサル業界なのか」「なぜ、志望先のファーム」なのかを端的に表現できると良い。
結論ファーストで話題を展開することで、読み手が整理しながら読み進めることが出来る。
特にコンサルにおいて、結論を端的に伝える能力は、実務レベルで求められる素養であり、抽象的でなく一言で概略を表現できる点はアピールポイントになる。
志望理由に関しては、志望先のファームが求めている人材や強み、特徴を把握したうえでキーワードを随所に散りばめると尚良い。
ポイント2:具体的なエピソードを語る
エピソードは志望動機を裏付けるファクトになるため、興味関心を述べるのではなく実体験をもとにした事例を語らなければならない。
実体験を語る際は、事象面に留まることなく、その体験を通じてどのような感情を抱き、志望先のファームを選択するに至ったのかストーリーテリングを意識する必要がある。
エピソードを考えるコツとして、志望動機の内容ありきで考えるのではなく、まずは自身が転職を志すきっかけになった場面を思いつく限り書き留めると良い。
この段階では、志望動機書として記載する粒度感、精度は一旦脇に置き、それぞれのエピソードに対して、どのような感情が生まれ、何を思ったのかを漏れなく記載していく。
エピソードの全量を可視化することで、志望動機の内容も変わる可能性があるため、エピソードと志望動機を行き来しながら、納得がいくまで深堀りする必要がある。
また、エピソードを記載する点において、注意したいこととして、ネガティブな表現は避けておきたい。
例えば、現職で望んだ職種、仕事に就けない、成長を実感できないなど、ネガティブなエピソードは、受け手による印象が良くない他、環境要因による問題に視点があてられているため、適応性や開拓心に懸念があると評価されてしまう。
ポイント3:貢献できることを記載する
コンサル転職における志望動機書には、自身のスキルや経験が志望先のファームに、どう寄与するのか採用することによるメリットを示唆出しすると良い。
また、上記のアピールポイントを記載するにあたり、コンサルティング業界の知識、志望先ファームのビジョンや職務を理解しておかなければならない。
例えば、営業出身の転職者の場合、「コミュニケーション能力」や「人間関係構築力」をアピールポイントとして謳った際に、その素養がコンサルティングひいては志望先のファームで活かせる内容としてアレンジする必要がある。
応募者の多くが汎用的かつ、可視化できるスキルや経験をアピールすることから、個別性をもたせるためにもアピールポイントは再現性のあるかたちで表現したい。
【実例】コンサル転職の志望動機・転職理由
ここでは、実際のコンサル転職者の志望動機・転職理由を以下のバックグラウンド別にご紹介していく。
総合商社からコンサルの志望動機・転職理由は、「経営課題の明確化から解決までの能力を身に着けたかった」から。
商社では大きな金額を動かし、世の中にインパクトがある仕事はできるものの、どうしても切り分けられた業務をこなすことになっていまうため、経営課題やその解決策を考えていく能力を身に着けにくいといった状況があった。
自分自身のキャリアとして、将来的には経営者になりたいという想いがあったため、経営課題の明確化から解決までの能力を身に着けることができる戦略コンサルファームを志望した。
Aさん(総合商社から戦略コンサルファームへ転職)
web関連会社からコンサルの志望動機・転職理由は、「特定領域に限らず幅広いソリューションで顧客の課題を解決したい」と考えたから。
web関連会社では、クライアントに対してwebマーケ支援を行っていたが、あくまでwebマーケであり、クライアントにとっては外注者という位置づけに留まっていた。
クライアントの成長を支援していくためには、当然webマーケ支援だけでは十分でなく、経営課題の明確化から幅広いソリューションの提供が必要になる。
そこで、それらを満たすことができる総合コンサルファームを志望した。
Bさん(web関連会社から総合コンサルファームへ転職)
大手金融機関からコンサルの志望動機・転職理由は、「財務面だけでなく全社的な課題を解決してクライアントの成長を支援したい」と考えたから。
金融機関でサポートできるのは財務面だけであるため、クライアントの成長を十分に支援することができていなかった。
そのため、戦略やオペレーションなどの全社的な課題に関わり、クライアントの成長を支援できる総合コンサルファームを志望した。
Cさん(大手金融機関から戦略コンサルファームへ転職)
総合コンサルファームから戦略コンサルファームの志望動機・転職理由は、「特定の機能に寄らず全社課題に対して解決策を提示したい」と考えたから。
所属していた総合コンサルファームでは、機能別に縦割りの組織構造となっていたこともあり、例えば別の課題があったとしても、あくまで自身が所属する機能別のチームの領域に閉じ、別機能を含めた解決策まで踏み込んだ提言ができない状況であった。
故に、クライアントにとっての位置づけも、全社課題のディスカッションパートナーではなく、特定機能のソリューション提供者という形になってしまっていた。
そこで、上述のように全社課題を捉えた上で、解決策を導き出すコンサルタントになりたいと考え、戦略コンサルファームを志望した。
Dさん(総合コンサルファームから戦略コンサルファームへ転職)
コンサルの志望動機は「PDF」で組み立てる
コンサル業界では志望動機は見られていないなどのまことしやかな噂も流れているが、ファームの経営者であるパートナーからすれば、「なぜうちのファームか?」ということに高い関心があり、また重要視したくもなる。
そんなコンサル転職における志望動機を考える上では、「PDF」のフレームワークがおすすめである。
- People:人や人数との相性
- Domain:取扱い業界への興味・経験
- Function:機能に対しての興味や強みとの相性
コンサル転職の志望動機の作り方①:People
まず一つ目のコンサル転職の志望動機の作り方は「People」軸で考えるというものである。
これだけ流動性が高いコンサル業界だが、不思議と各ファームごとで人の色というものがある。
そのため、自身として相性が良さそう、こうした色の人を目指したいという人がいるファームにいくことが望ましい。
人の色というのは面接を行う中でも見えてくるものではあるが、知人やエージェントの紹介などで事前に確認しておくと、より解像度が上がる。
また、人数規模というのも大きな分岐になる。
規模が小さいファームであれば、少数精鋭として質を担保しやすく、よりワンファームの色が濃くなる。
一方規模が大きいファームであれば、より専門性に特化した人材がいたり、多様な人材とチームを組むことができるというメリットがある。
コンサル転職の志望動機の作り方②:Domain
次のコンサル転職の志望動機の作り方は「Domain」軸で考えるというものである。
誰もが名前を聞いたことがあるような大手コンサルティングファームともなれば、幅広い業界を扱ってはいるものの、得意不得意が存在する。
例えば国内の自動車メーカーのCEOの数には限りがあり、多忙なCEOがディスカッションパートナーとして選ぶのはせいぜい2-3社である。
そうなると、自動車業界に強いファームとそうでないファームが分かれてしまうのも当然である。
このように、各コンサルファームには強みを持つ業界があるため、自分自身の前職の経験を活かせる業界や今後取り組んでいきたい業界を踏まえて、志望動機を検討することも有用である。
但し、クライアントはファームではなくパートナーに付いており、ファーム間の流動性が非常に高い業界であるため、ある業界に現状強みがあるファームでも、数か月後にどうなっているかは分からない。
そのため、ファームの強みのある業界情報というのは常に最新化しておく必要があり、この点でも転職活動時ではエージェントと繋がっておきたい。
▼おすすめの転職エージェント
コンサル転職の志望動機の作り方③:Function
最後のコンサル転職の志望動機の作り方は「Function」軸で考えるというものである。
「Function」は業界軸と合わせて、自身の強みや興味、今後のキャリア戦略を検討する上で重要な項目になる。
戦略策定、業務改善、IT導入支援、SCM、組織再編、M&A支援などコンサルティングファームは幅広いサービスを提供している。
それは、戦略ファームと呼ばれるファームも例外ではない。
また戦略策定と一口に言っても、事業ポートフォリオ変革から、個別事業の競争戦略、新規事業構想やIT戦略、知財戦略など多岐に渡る。
そうした各ファームが保有する「Function」と自身の希望を明確にした上で志望動機に繋げると、聞き手としても非常に納得感のある志望動機になる。