ケース面接例題&解答:コンビニエンスストアの売上向上(DX活用編)

本シリーズはコンサル転職に際して出題される「ケース面接」の例題及び解答集である。
実際にケース面接を突破したことのある現役コンサルタントがケース問題を解き、回答や考え方をお見せする。

本記事では、「回答そのもの」に加え、その回答を導く為の「考え方」にも比重をおいて解説する。

中野周平
解答者

中野周平

欧州系戦略コンサルタントティングファームのローランド・ベルガー入社→フリーコンサルにて大小様々なファームの案件を経験→Webマーケティング系ベンチャーを2社を経験。現在は株式会社Flow Group代表取締役、とあるスタートアップのCMOを兼任。

コンサルマン
監修者

コンサルマン

コンサルキャリア編集部。コンサルキャリアおよびコンサルマンは株式会社Flow Groupが運営しています。Twitterフォロワー1.9万人

問題

お題:DXを活用してコンビニエンスストアの売上を伸ばすには
考える時間:10分
難易度:★★★★★
種類タグ:その他ビジネス系、DX、手書き回答

回答

(i)前提確認

前提として、今回の対象は以下と定義↓

  • 業界TOPのコンビニチェーン
  • 個別店舗ではなくグループ全体を対象とする

今回のお題の特徴は「近場のカフェ」というような個別店舗ではなく、「グループ全体」に対する売上向上施策を考えなければいけない点、そして"DX"というキーワードが定義されている点。

自分自身で解いていても感じたが、店舗ではなくグループ全体、かつ、DXという非常にふわっとしたキーワードが設定されている分、具体的なイメージがしにくく、非常に難易度があがるなぁという印象がある。

(ⅱ)(仮説出し)

※本章は「答え」を出すために挟んだ思考のステップとなります。

どんな整理・ロジックの切り口があるか考える為、一旦、仮説を出してみる。
今回、思いついた仮説は以下の通り(ここはかなりアイディアベース)

  • (データを活かして)商品の最適配置/新企画
  • (データを活かして)店舗出店戦略の見直し
  • ECサイト・デリバリーサービス

本来はもう少し時間があればもっと多くの仮説を出したかったところですが、10分という限られた時間でしたので、一旦これで良しとします。

(ⅲ)現状分析・構造化

上記の仮説をもとに「フレームワークへの落とし込み」を行っていきます。(フレームワークへの落とし込みは、別の言葉を使うと、「抽象化」と言えます)

Q. なぜフレームワークへの落とし込みが必要になるのか?

「網羅感を担保し、納得感のある答えを出す為」に必要になります。

施策を抽象化すると、以下のように「チャネル別」で売上向上施策が分解できると思い、そのように整理します。

  • 売上向上施策
    • 既存店舗
    • 新規店舗
    • その他チャネル

コンビニチェーンの売上分解_ケース面接解答

ここは振り返ると、もう少し良い整理ができたかなぁと思います。例えば、以下のように4Pで整理をした方がわかりやすい整理になっていたかなぁと思います。

  • 売上向上施策
    • Product/Price
    • Place
    • Promotion
    • Others

ここの「売上分解」について、ありがちなのは、何も考えずに「客数×単価」で売上を分解し、考えることです。
当然、「客数×単価」で売上を分解してみることも、1つの手法ではあるものの、施策が現実離れしてしまったり、10人いたら8人が同じような答えになってしまい、面接官からもあまり評価をもらえないケースがあります。

ですので、個人的には、一旦、仮説を抽出してから、それを最もよく表現できるようなフレームに抽象化して当てはめていく、という方法を推奨しています。
そうすることで、より現実に即した施策を、網羅感もって提示することが出来ます。

(ⅳ)施策出し・施策評価

最後に、上記のフレームワークに合わせて、施策をアイディアベースで当てはめていきます。

コンビニチェーンの売上向上DX施策_ケース面接解答

最終的には、以下のような結論が出ました。

「コンビニエンスストアのデジタルを活用した売上向上施策としては大きく3つの視点で施策を出しました。

まず既存店に向けては、顧客データを活用した最適商品配置や新商品企画です。
アプリを利用し、地域の顧客データを蓄積・分析し、個々の地域に合わせて最適化された商品を出していくという施策です。例えば、スーパーが近くになくスーパー需要がない地域に対しては、スーパーのような品揃え、比較的富裕層が多く顧客単価が高い地域ではプレミアム商品を企画・展開していく、という施策です。

次に新規店については、出店計画へのデータ活用が考えられると思いました。
上記の施策を通じて、貯めたデータを通じて、コンビニの肝とも言える出店戦略へ活かすというデジタル施策です。

最後に、新たなチャネルとして地域内のECサイト・デリバリーサービスを展開する、ということも考えられると思います。
上記のアプリを活用して、ECサイト・デリバリーサービスを展開することで、普段なかなかコンビニへ来店できない顧客に対しても商品を届け、売上を作る、という施策です」

ケース面接での想定質問・ディスカッション

改めて、文字に起こして「自分が面接官だったら」どんな点に質問するか?突っ込むか?を以下に整理しておきます。

  • 既に各社がやっていそうな施策だが、なぜ進んでなそうか?何がボトルネックとなっていそうか?
  • 現状のコンビニのデジタル活用における課題はどんな点にありそうか?

あとがき・ケース対策中の方へのコメント

前提部分でも明記したが、やはり店舗系の中でも「グループ全体」が主体のものは難しい。。

やはり仮説時点での施策出しが甘いと、抽象化部分の幅・精度が低くなってしまうので、一定時間は仮説のブレストに時間を使ったほうがいいと改めて感じました。

以上、参考になりましたら幸いです。

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