PwCコンサルティングは激務なのか?現役社員に実態や働き方改革について聞いてみた

コンサルティング業界の中でもBIG4コンサルファームの一角として、高いプレゼンスを誇るのがPwCコンサルティングである。

本記事ではPwCコンサルティングの現役社員にPwCコンサルティングが激務かどうかやその働き方についてインタビューを行った内容を紹介する。

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横山 諒平
監修者

Flow Group代表取締役/コンサルタント

株式会社Flow Group代表取締役。慶應義塾大学経済学部卒業。
大学卒業後はデロイト トーマツ コンサルティング合同会社に入社し、製造業のクライアントを中心に中期経営戦略の策定やM&A実行支援、新規事業立案・立ち上げ支援に従事。
その後、株式会社リクルートライフスタイル(現株式会社リクルート)における事業戦略・予算策定、事業開発に従事。フリーコンサルとして独立後、2019年8月株式会社Flow Groupを創業。

コンサルマン
執筆者

コンサルマン

コンサルキャリア編集部。コンサルキャリアおよびコンサルマンは株式会社Flow Groupが運営しています。Twitterフォロワー1.9万人

本記事を作成するにあたっては、実際に現役PwCコンサルティング社員複数人にインタビューを行っているためぜひ参考にして頂きたい。

本記事でわかること
  • PwCコンサルティングの激務度
  • PwCコンサルティングの激務の実態

PwCコンサルティングを含むコンサルへの転職を目指す上では、おすすめのコンサル転職エージェントおよび、PwCコンサルティング転職大全の記事を参考にして頂きたい。

PwCコンサルティングは本当に激務?ランキングを紹介

下記は主要コンサルファームの月間残業時間に基づいて作成した激務ランキングである。(出所:Open Work

順位 ファーム名 カテゴリ 月間残業時間(h)
1 アーサー・D・リトル 戦略 85.4
2 マッキンゼー・アンド・カンパニー 戦略 76.7
3 ドリームインキュベータ 戦略 75.5
4 A.T.カーニー 戦略 72.6
5 ローランド・ベルガー 戦略 68.2
6 ベイン・アンド・カンパニー 戦略 64.4
7 デロイト・トーマツ・コンサルティング 総合 63.1
8 ボストン・コンサルティング・グループ 戦略 62.8
9 PwCコンサルティング 総合 62.4
10 EYストラテジー・アンド・コンサルティング 総合 53.1
11 アクセンチュア 総合 52.1
12 KPMGコンサルティング 総合 43.4
13 アビームコンサルティング 総合 36.3
14 ベイカレント・コンサルティング 総合 33.0

上記を見てもPwCコンサルティングは激務ランキングで9位となっており、コンサル業界の中でも比較的ホワイトな方と言える。

激務度を表す数値(残業時間)を見ても、PwCコンサルティングは62.4時間と1位のアーサーDリトルと比較して20時間程度(約30%程度)少ない状況である。

コンサルの仕事は楽しいと感じている人でも「この激務な環境で中長期的には働き続けられない」と業界を去っていく人も多いが、PwCコンサルティングであれば比較的長く勤めることができると言え、魅力的な転職先となっている。

一方で、PwCコンサルティングに限らず、大半のコンサルファームに当てはまることだが、実際に激務になるかどうかはプロジェクトの内容や体制、フェーズによって大きく変わるという点はご留意いただきたい。

PwCコンサルティングはなぜ激務なのか?

ここではPwCコンサルティングがなぜ激務なのかを解説する。

世の中の働き方改革で多くの企業が働き方を見直す動きがみられ、アクセンチュアなどの総合系コンサルティングファームは働き方改革で成功しており、コンサルティングファームの働き方が変わりつつある。

そんな中、総合コンサルティングファームであるPwCコンサルティングでも働き方改革への取り組みは見られるものの、変わらず激務の状況のようだ。

理由をPwCコンサルティングで勤務経験がある複数の社員に赤裸々に語ってもらうと以下のような点があがった。

関係者が多く、調整や議論に時間がかかる

PwCコンサルティングは総合コンサルティングファームであるので、様々な専門知識(戦略、IT、組織改革、人事、会計など)を有する社員がいる。

また、クライアントもそういった様々な専門知識を持つ人材を豊富に有するPwCコンサルティングだからこそ、PwCコンサルティングに仕事を依頼することもある。

そこは総合コンサルティングファームの強みと言えるが、働いている従業員からすると、激務の原因の1つでもある。

なぜなら、クライアントの案件を勝ち取るために、「PwCコンサルティングからは様々な人材を今回のプロジェクトに参画させます。」という営業トークがあり、人員過剰なくらいのメンバー数でプロジェクトが始まることがある。

そういうプロジェクトの場合、社内外の会議調整や社内議論1つをとっても、調整に時間がかかる。また、議論も様々な従業員が参加するので、話がまとまらず、複数回会議をしないといけなくなる場合もある。

結果として、従業員は注力すべき論点出し、仮説検討、資料作成等に加えて、社内調整にも時間を取られてしまい、長時間労働になってしまっている。

ただでさえ、課題分析や仮説検討だけでも忙しいのに、プロジェクトに参画するメンバーが多いと社内調整も大変になります。ましてや、調整相手がディレクターやパートナーになると日中は忙しいので、夜に会議せざるを得ない場合も多々あります。

現役PwC社員A氏

時間をかければ良い提案・解決策が出てくるという長時間労働主義

PwCコンサルティングには、クライアントにとって価値あるアウトプットを出すために、クライアント会議や締切の直前まで、考える文化がいまだに根付いている。

仕事は時間ではなく成果(クライアントが納得する高品質なアウトプット)であるが、「更に良いアウトプットを出せるのではないか」という考えが締切直前まで続ける社員も多く、結果として、徹夜して激務になってでもアウトプットの品質を上げようとする傾向が多い。

もちろん、アウトプットの品質を上げようとすることは大切な考えだが、寝不足と疲労が蓄積された状態で長時間考え続けることは非効率であることを認識していない、もしくは認識しているが実行に移せていない空気・文化がPwCコンサルティングには残っているようだ。

やっぱり、まだまだ長時間労働や激務を是とする文化が残っていますね。特に経営陣等のコンサルティングの経歴が長い方々にはそういうマインドが根付いていると思います。働き方改革のプロジェクト等を担っているのに、我々ができてない時がありますね。

現役PwC社員B氏

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コンサルファームではケース面接を始めとする特殊な選考が行われ、非常に難易度が高いと言われている。

また、コンサル業界自体が外から見えづらい業界であるため、転職前にリアルな実態を把握することも難しい。

そのため、「コンサル転職の成功率を上げる」「コンサル転職を通じて理想のキャリアを実現する」上では、コンサル業界への知見や対策ノウハウを持つエージェントを選ぶことをおすすめしたい。

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PwCコンサルティングの激務の実態

PwCコンサルティングについては、他社の戦略コンサルティングファーム等ほど激務という印象が無いイメージかもしれないが、ここではその激務の実態について解説する。

実態としては、基本的に定時で仕事を終えることはほとんどなく、特に戦略系やシステム導入の終盤等は徹夜が続くほど激務であるという話も上がった。

基本的に定時までにその日の仕事が終わることはほぼないです。私の場合、子供を保育園に迎えに行き、家に帰り、寝かしつけから、またPCをつけて仕事をすることも多いです。家庭を持つ従業員の方々は、ほとんど同じような働き方をしていると思います。

現役PwC社員A氏

システム導入系の案件では、プロジェクト期間が長く最初の要件策定~設計等のフェーズではそれほど忙しくもありません。しかし、終盤の実装・テストを繰り返し、導入予定の時期に間に合わせるようにシステム導入を完了しなければいけない時は徹夜で働くこともあります。システム導入系は必ずと言っていいほど、最終局面の時は忙しくなりますね。

現役PwC社員B氏

戦略系案件は、短期間で経営方針に関わる戦略を立案しないといけないので、プレッシャーも高いですし、何より激務です。クライアント側も経営陣からの質問等に応えることができるようになるために、多くの調査・分析を要求してきます。なので、結果的に徹夜が続いたり、寝不足で頭がぼーっとしながら仕事をする時も多いです。戦略系は外から見ると、これこそコンサルって感じで花形案件に見られがちですが、いざ参画してから後悔する従業員も多いと思います。PwCでは戦略系を専門とする従業員が比較的少ない印象があるので、1つの案件が終わっても、すぐに次の案件にアサインされるので、常に忙しいです。また、参画する案件によっては、週末も仕事することを前提にしているマネージャーがいたりしますが、そういう案件に当たったらプライベートは無いですね。

現役PwC社員C氏

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PwCコンサルティングの働き方改革

直近のPwCコンサルティングの動きで見逃せないのが「やさしい、コンサル。」というメッセージを掲げたことである。

やさしいコンサル_PwC
出所:PwC中途採用「やさしい、コンサル。」ブランドムービー

激務な環境と自他ともに認識しているコンサル界隈ではおおいに話題になったが、PwCコンサルティングの中の人に話を聞くと、全社としてかなり本気度を持って「やさしい、コンサル。」を追求しているようだ。

もちろん100%やさしい環境にはなっていないようだが、それでも一昔前と比較して激務環境はかなり改善されているようだ。

実際、筆者の知人が転職エージェントより「働き方改革が進んでいる」という理由でPwCコンサルティングを激推しされたという。

一方で、実態についてはかなり生々しい声があがったので、PwCコンサルティング現役社員の声を紹介する。

激務が理由で辞める人もいるので、経営陣の中では働き方改革についての危機感はあるようです。しかし、危機感を持っているだけで、改革が進んでいるわけではないのが率直な印象です。「長時間労働は問題だ。」と言っているけど、現場の人間は今日も激務であることには変わりません。まだまだ、クライアントファーストの会社だと思います。

現役PwC社員C氏

家庭を持つ従業員どうしでコミュニティであったり、話し合いイベント等をしているが、そこまで浸透していないです。コミュニティとプロジェクトは、あくまで別物です。働き方改革について話し合う打合せが、夜の19時からだったりします。「結局、その人のスキル・能力で何とか残業を減らしてくれ。」というところが本音でしょうね。

現役PwC社員D氏

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PwCコンサルティングで激務になる人の特徴

PwCコンサルティングの激務実態を探っていくと「人による」という回答が

ここではPwCコンサルティングにおいて

完璧主義者

特徴の1つ目が、全てを完璧にやり切ろうとする社員である。

プロジェクトでは、上司の指示、もしくはクライアントの要求等、多くの対応した方が良い依頼が降ってくる。

全てに対応できれば御の字であるが、ビジネスの世界では時間が限られており、時には依頼の取捨選択をしたり、優先順位をしなければ仕事は終わらない。

しかし、完璧主義者の社員は、「全てを対応し、かつ、完璧に対応しなければならない。」と考えてしまい、対応に追われる中で、結果として徹夜続きとなってしまう。

全てを完璧にこなそうとする社員は一定数います。そして、みんな必ずと言っていいほど激務を強いられていました。「全てを完璧にこなすことがコンサルタントである」という美学を持っているのか、もしくは真面目な性格だからなのか、は分かりませんが、とりあえずプライベートと睡眠の時間は少なそうでしたね。

元PwC社員E氏

戦略系案件が専門

PwCコンサルティングで激務になる人の特徴の2つ目が、戦略系案件が専門分野となっている社員である。

戦略系案件は、「短期間で、クライアント側の経営陣・事業部長クラス向けに品質の高い戦略を提案しなければならない」というプロジェクトの性質上、激務になりやすい。

そういった戦略系案件を専門分野とする社員は、常に激務にさらされているが、専門分野となってしまったいるが故に戦略系以外の案件を担当できないという激務ループに入ってしまう可能性が高い。

戦略系案件に興味がある人は、このような激務ループに陥る可能性があることを踏まえて、自分の専門にする領域を考え直しても良さそうだ。

マネージャー以上

PwCコンサルティングで激務になる人の特徴の3つ目が、「役職がマネージャー以上」である。

マネージャー以上になると、クライアントワークでの会議に加えて、社内活動・貢献に関する会議が増える。

更に、社内活動等に関する会議は、基本的にクライアントワークが終わった夜である。そのため、どうしても夜遅くまで仕事をせざるを得なくなり、結果的に激務になってしまう。

家庭を持つ社員の中には、マネージャーに上がりたくないから、シニアアソシエイトのままでいる人もいました。マネージャーになると給料は上がりますが、一方で育児・家事の時間が無くなることは容易に想像できるので。

元PwC社員F氏

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PwCコンサルティングで激務を乗り越える方法

ここでは、そんなPwCコンサルティングにおいて、どのように激務を乗り越えていくのかを解説する。

どのように激務と向き合って、そして、乗り越えてきたのか、最前線で活躍されてきた元社員3人に話を伺った。

「資料作りは既存の資料を使い回す。アイデアのネタになることは他人に聞いてみる。」これに尽きると思います。何でも最初から作り出そうとすると時間がかかります。なので、使えるアセットやリソースは活用する癖をつけないと激務ループからは抜け出せないと思います。あと、細かい上司の指示は無視して良いです。無視して資料を作ったとしても、クライアントが喜んでくれれば、上司も喜びます。なので、「無駄だな。細かいな。意味ないな。」と思う指示や要求は、思い切って無視しましょう。意味のある内容だけを資料にすることもコンサルタントの仕事の1つですから。

元PwC社員E氏

メンタルケアの意味でアドバイスするとしたら「コンサルはプロジェクト単位での仕事。時には人間関係が合わないプロジェクトであったり、戦略系プロジェクトに参画してしまうこともあるが、いつかはプロジェクトの終わりがある。」というマインドを持つことがメンタルを保つ重要な考えだと思います。私も何度もそう思いながら乗り切ってきました。

元PwC社員F氏

とにかく、栄養のある食事を取り、週末は運動し、寝れる時に寝て体力をつけることです。電車では座った瞬間にスマホで到着時間にバイブレーションが起動するように目覚ましセットをかけてひたすら寝ていました。寝ないと頭がすっきりしませんし、いつまでも疲れが取れません。体力をつけ、休める時に休むことです。結局は、身体が何よりも資本なので。

元PwC社員G氏

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PwCコンサルティングの働き方に対する社員の捉え方

ここでは、PwCコンサルティングの働き方に対する社員のポジティブな声と、ネガティブな声を紹介する。

ポジティブな声

社員への投資が積極的な企業だと思います。例えば、英語学習の費用補助であったり、資格取得の費用補助の制度があったりします。そして、それらを「自分の為に積極的に利用しよう」という社内の雰囲気も素晴らしいと感じています。

現役PwCコンサルティング社員A氏

大企業とのプロジェクトだけでなく、自治体とのプロジェクトもあるので、経済的なインパクトや社会的なインパクトを与えていると感じ、やりがいのある職場だと思います。もちろん、プレッシャーもありますが、それくらい意義のある仕事をしていると感じています。

現役PwCコンサルティング社員B氏

近年では、IT案件だけでなく、戦略系、更には、他のPwCグループ会社との共同プロジェクトも増えてきました。経験値は間違いなく上がりますし、専門性を鍛えたいと思ったとしても、周辺領域の知見を持っておくのは、必要なことだと感じますね。

現役PwCコンサルティング社員C氏

ネガティブな声

プロジェクトの上司の働き方や考えが様々なので、参画するプロジェクトによっては、働き方や仕事の進め方に違和感を感じる人がいるかもしれません。しかし、できるだけ様々な経験をしておくことで、長いキャリアにとってはプラスになることも多いので、ポジティブに考えて良いかと思います。

現役PwCコンサルティング社員D氏

プロジェクト次第では、残業が多いこともあります。しかし、その分、プロジェクトが終了すれば、長い休みを取ることもできます。なお、最近では、残業自体も少なくしようとする雰囲気も広がっていますので、数年前と比べると、働きやすくなっていると感じます。

現役PwCコンサルティング社員E氏

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