大和証券グループのシンクタンクとして高い人気を誇るのが大和総研(DRI)である。
本記事では現役大和総研社員へのインタビューを踏まえて年収構造・事情など、様々な視点から大和総研の年収について徹底解説していく。
本記事を作成するにあたっては、実際に現役大和総研社員複数人にインタビューを行っている。
- 大和総研の年収(年齢別)
- 大和総研の年収比較
- 大和総研で年収を上げる方法
- 大和総研の年収のリアル(生活水準や口コミ)
大和総研への転職を目指す上では、大和総研転職大全およびおすすめのコンサル転職エージェントの記事を参考にして頂きたい。
Contents
大和総研の年齢別年収
年齢(目安) | 年収(目安) |
24~29歳 | 450~650万円 |
30~34歳 | 600~750万円 |
35~39歳 | 700~950万円 |
40~44歳 | 900~1100万円 |
45~49歳 | 1100~1300万円 |
上記は大和総研の年齢別の目安年収である。
24~29歳
大和総研の24~29歳は、リサーチ、データ解析、インタビュー、クライアント向け資料作成、タスク管理、クライアントへの報告等、幅広く担当する。
また、新入社員、第二新卒の大半、20代後半のコンサルティングファーム未経験者(事業会社経験者)の多くは、これらの業務を担当し、年収レンジは450万円~600万円程度となる。
30~34歳
大和総研の30~34歳は、24~29歳に比べて、対クライアントの業務が多くなる。
主な作業としては、プロジェクト全体のスケジュール、および、報告資料のストーリーの構築、クライアントとの会議体や頻度等の調整、クライアントへの報告等を担当する。
また、20代後半~30代前半のコンサルティングファーム未経験者(事業会社経験者)の多くは、これらの業務を担当し、年収レンジは600万円~750万円程度となる。
35~39歳
大和総研の35~39歳は、各メンバーの上司として、プロジェクトの管理・運営を担当する。
また、デリバリーだけでなく、提案活動も一部担当することもあり、更には、クライアントワーク以外にも、社内活動(ナレッジの共有、情報交換、社内イベント、若手コンサルの育成等)のリーダーとしても活動する。
特にメンバーのマネジメント能力が重要になる年代であり、30代で事業会社にて管理職の経験を有するコンサルティングファーム未経験者は、これらの業務を担当することが多い。年収レンジは700万円~950万円程度となる。
40~44歳
大和総研の40~44歳からは稼働率に加えて、売上、および、社内貢献活動が評価に加わる。
そのため、プロジェクトのデリバリーの責任者としての活動よりも、クライアントへの提案活動や社内活動の比重が高くなる。
案件獲得と会社経営という視点での活動が重視され、年主レンジは900万円~1,100万円程度となる。
45~49歳
大和総研の45~49歳では、大和総研の顔としてクライアントからの案件獲得だけでなく、育成、採用、ガバナンスの統制、多様性の促進等、様々な経営活動が求められる。
また、この年代にあると、売上貢献だけでなく、社内で「顔が利く」存在になる必要もあるため、他の部署の同年代からも、ある程度、認知されており、信頼されていることが重視される。
年収レンジは1,100万円~1,300万円程度となっている。
大和総研の年収制度
大和総研の年収制度としては、年2回の評価により賞与が決まり、2回の評価の総合によって年1回に昇給があるという特徴があげられる。
この特徴は、社員の考え方次第で、「ポジティブな効果」と「ネガティブな影響」が出ていると言える。
半期ごとに賞与をもらえることは社員にとっても嬉しいと思います。モチベーションの維持・向上にもつながりますので。一方で、年収に占める賞与の割合が比較的、大きめということもあるので、評価ばかりを気にする社員もいると思います。クライアントではなく、上司の方向を見て仕事をしているというか。
元大和総研社員A氏
大和総研の評価制度
大和総研では、年2回の評価会により賞与が決まり、2回の評価の総合評価として、次年度の昇給が決まる。
具体的には、各階級の従業員が下記の通りの評価ウエイトで査定される。
まず、20代・30代では、稼働率が評価の100%を占め、稼働率のノルマ(85%以上)を達成していることはもちろんのこと、従事したプロジェクトの貢献度合い(定例資料のストーリー構成、クライアントとのディスカッションの様子、成果物の品質等)を評価される。
40代以上は、売上が評価の60~70%であり、稼働率が評価の10%を占め、社内イベントや仕組み作り等の社内貢献が評価の20~30%を占めている。更には、会社経営の貢献度合い(若手育成、新規顧客の開拓等)も評価される。
こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、評価制度・内容は、いたって普通という印象です。しっかりやるべきことを実践して、成果を出せば賞与や昇給に繋がります。あえて言えば、上司との評価面談の際に、しっかりと成果をアピールできるように、日頃から実績をメモする等、整理しておくことをオススメします。
現役大和総研社員B氏
大和総研の残業代
大和総研ではみなし残業代として30時間分が給与に入っているが、月間の残業時間が30時間を超えれば、その分の残業代が支給される。
みなし残業の時間が少なめと思われるかもしれませんが、そもそも、残業を良しとせず、若手社員等には早く帰らせる文化なので、残業代で稼ごうという社員がいないですね。それよりも、効率的に成果を出して、賞与・昇給を目指す人が多いです。
現役大和総研社員C氏
大和総研の賞与
大和総研では半期ごとの評価会を通じた結果で賞与額が決まり、固定額ではなく、「年収の10~30%」といった形で年収に応じた割合で支給される。
評価が高い従業員ほど、割合が高くなる仕組みとなっている。
頑張れば頑張るほど、賞与額が増えるので、半期ごとの評価会は、社員にとっては大きなイベントと言えます。もちろん、クライアントワークで価値を出したり、案件を獲得してくる必要があるので、みんな、積極的に仕事をしていますね。
現役大和総研社員D氏
大和総研と他社の年収比較
ここでは大和総研と他のシンクタンクの平均年収をご紹介していく。(出所:Open Work)
ここでご紹介する平均年収はあくまでOpen Workにおける回答者平均である点はご留意いただきたい。
(あくまでOpen workにおける回答者の平均年収である)
# | コンサルファーム名 | 平均年収 |
1 | 野村総合研究所 | 1070万円 |
2 | 日本総合研究所 | 959万円 |
3 | 三菱UFJリサーチ&コンサルティング | 926万円 |
4 | NTTデータ経営研究所 | 805万円 |
5 | 三菱総合研究所 | 765万円 |
6 | 大和総研 | 749万円 |
7 | みずほリサーチ&テクノロジーズ | 716万円 |
8 | 富士通総研 | 682万円 |
上記を見ると、大和総研の年収は、ランキング6位となっており、他シンクタンクと比較して相対的に低い水準となっている。
一方で、平均年収が1000万円を超える野村総合研究所を筆頭に、シンクタンクの平均年収は全体的に高い傾向があるため、相対的に年収水準が低い大和総研だが、それでも平均年収が700万円を超える水準となっている。
また、大和総研は福利厚生が充実しており家賃補助や昼食補助など金銭的補助が多いため、最終的に手元に残るお金を考えると年収が特別高くなくても満足している社員も多いようだ。
大和総研の生活水準
以下では大和総研の年収を踏まえたリアルすぎる生活水準を紹介する。
実際のインタビューを踏まえた内容であるため、ぜひ参考にしていただきたい。
30~34歳の生活水準
大和総研の30~34歳の場合、評価にもよるがおおよそ手取りは35万円程度になる。
例えば、一人暮らしの場合の生活水準としては以下のようなイメージである。
項目 | 収入 | 支出 |
手取り | 35.0万円 | |
家賃 | 9.0万円 | |
食費 | 6.0万円 | |
光熱費 | 1.5万円 | |
通信費 | 1.5万円 | |
交際費・趣味娯楽費 | 6.0万円 | |
医療・保険費 | 1.0万円 | |
衣服・美容費 | 1.0万円 | |
交通費 | 0.5万円 | |
雑費 | 1.5万円 | |
貯金 | 7.0万円 |
手取り35万で一人暮らしであれば都心でも比較的余裕のある生活ができる。一方で、オフィスの近くに住むなど都心部に住もうと思うとなかなか厳しい水準ではある。(オフィス近くに住もうとすると12~15万円程度の家賃となる)
そのため、住まいとしてはオフィスから比較的アクセスが良い、東西線や三田線、千代田線などで15分程度離れたところに住んでいる人が多い。
とは言え、趣味娯楽へある程度自由に使えるお金が多く確保できるため、暮らしに困ることはほとんどないと言える。
また食費に関してもそこまで切り詰める必要はなく、6万円程度使うことができる。手取り35万であれば余程豪遊をしない限り、月に7~10万円程度の貯金もできるため、かなり余裕のある暮らしができる。
40~44歳の生活水準
大和総研の40~44歳だと、評価にもよるが、平均で年収1,000万円くらいになるが、月々の手取りベースにすると約60万円程度となる。
40~44歳でも独身の人もいるが、以下では配偶者・子ども(一人)と家族暮らしの場合の生活水準イメージをご紹介する。
項目 | 収入 | 支出 |
手取り | 60.0万円 | |
家賃 | 20.0万円 | |
食費 | 10.0万円 | |
光熱費 | 2.5万円 | |
通信費 | 2.5万円 | |
養育費 | 2.0万円 | |
交際費・趣味娯楽費 | 4.0万円 | |
医療・保険費 | 2.5万円 | |
衣服・美容費 | 3.0万円 | |
交通費 | 1.0万円 | |
雑費 | 2.0万円 | |
貯金 | 10.5万円 |
年収1,000万円で家族3人で暮らす場合は、大きな不自由をすることなく暮らすことはできる。
ただ配偶者+子供となると、住まいに関しては最低でも2~3DLKは確保したいところであり、東京都内の主要区に暮らす場合は家賃18~20万円ほどになる。
また子供の年齢にもよるが、習い事や塾、私立への進学もある程度は無理なく対応できるため、教育面での心配も大きくはない。ただし、年収1,000万円では決して贅沢な暮らしはできないという点を肝に命じて置く必要がある。
年収1,000万円というとどうしても「高年収」という意識を持ってしまう人もいるが、家族3人暮らしの場合は都心に住むことは難しく(築年数やマンショングレードなど何かしらの妥協は必要)、外食などを頻繁に行くことも難しい。
そのため、例えば大和総研の40~44歳でも、東京の練馬区や江東区、江戸川区に住んだり、あるいは千葉や埼玉で比較的アクセスの良いエリアに住む人が多い。
【現役社員が教える】大和総研で年収を上げる方法
以下では大和総研で年収を上げる方法を「転職時」と「転職後」に分けてご紹介する。
転職時
転職の場合、「本人の希望年収」、「現職の年収」、「本人の専門性」を総合的に考慮して年収が決まる。
年収を上げる方法としては、「面接でのきちんとした受け答えができる」という前提ではあるが、基本的に他ファーム・企業から高い年収でオファーをもらっていることをチラかせながら提示された年収から+α乗せて「本人の希望年収」を伝えれば十分に年収を上げることは可能である。
特に、大和総研ではコンサル事業として多角化を図りつつも、やはり、金融・投資・M&A等の領域が強みとしてあるため、そういった領域の経験を有する人材は高く評価される傾向にある。
そのため、金融コンサルタントの経験を有する応募者等は、高い年収のオファーをもらえるチャンスがある。
コンサルタント業界出身者もさることながら、金融・投資・M&A系の経験を持っていれば、年収交渉はやりやすくなると思います。やはり、金融領域に強みがある分、競合他社には獲得されないようにするために、良いオファーを出すことが多いですね。
現役大和総研社員B氏
転職後
大和総研への転職後の年収は評価に大きく依存することになる。
そのため、20代・30代は目の前のプロジェクトで成果を出すこと、40代以上は契約案件を獲得することに加えて、評価者との関係構築も非常に重要になる。
実際、現役大和総研社員に話を伺うと以下にようなTipsがあがっていた。
期初の段階で決めた目標を達成できているかが、評価の分かれ目になることが多いため、期初の段階で評価者と実現可能な目標を定めることが重要になります。「チャレンジングだけど、実現可能がある」というバランスが大事なので、必要なら、複数回、期初面談をすることも有効だと思います。評価は期初から始まっていると認識しておいた方が良いですね。
現役大和総研社員C氏
大和総研現役社員が教える年収の"リアル"
年収に占める賞与の割合が高いという特徴を持つ大和総研であるが、現役大和総研社員に現状の年収に対してポジティブ・ネガティブに思うことをお聞きした。
リアルな生の声であるためぜひ参考にしていただきたい。
ポジティブ
やはり、賞与額が大きいのは、モチベーションの維持・向上につながると思います。しかも、年齢・責任が上がるにつれて、賞与額も上がっていくのて、頑張る気持ちにさせてくれます。40代になると、案件獲得のノルマ等も出てきて仕事はキツくなりますが、その分、年収もUPするので、それ相応になっていると思います。
現役大和総研社員D氏
20代~30代前半くらいの若手社員は、大きな問題等を起こさなければ、順調に昇給できるので、年収面については、心配事は少ないと思います。もちろん、連日の豪遊やギャンブル等したらお金が無くなると思いますが、普通の生活をしていれば、順調に貯金が増えていくと思うので、年収面で文句を言っている社員は少ないと思いますね。
現役大和総研社員E氏
ネガティブ
基本給・残業代が少ないのではないか、と思われがちですが、その分、賞与が多いので、トータルで考えると、基本給・残業代については、あまり気にすること無いと思います。賞与の額自体は、競合他社に比べても、高い水準だと思います。
現役大和総研社員B氏
年齢が上がるにつれて、年収が上がるので、年功序列みたいに見えますが、決してそんなことないです。若手でも高い年収をもらっている社員もいますし、なによりも、年齢が高めのベテラン社員の方々は、みなさん、多くの経験・スキルを有していますよ。いわゆる、「使えない中年社員」という人は、1人もいません。年齢が高くなるにつれて、実力のある人が圧倒的に多いですね。
現役大和総研社員C氏
コンサルファームではケース面接を始めとする特殊な選考が行われ、非常に難易度が高いと言われている。 また、コンサル業界自体が外から見えづらい業界であるため、転職前にリアルな実態を把握することも難しい。 そのため、「コンサル転職の成功率を上げる」「コンサル転職を通じて理想のキャリアを実現する」上では、コンサル業界への知見や対策ノウハウを持つエージェントを選ぶことをおすすめしたい。コンサルへの転職を成功させるためには
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