PwC出身者が語るコンサルから起業のリアル | ハイマネージャーCEO森氏

森謙吾氏。慶應義塾大学法学部を卒業後、PwCコンサルティング合同会社に入社。人事コンサルティング領域に従事し、製造・小売・通信・金融等の大手企業に対して、人材マネジメント戦略策定および人事制度構築、役員報酬設計、残業削減・退職率低下などのプロジェクト実績を有する。2017年にハイマネージャー株式会社を創業し、現職。組織のエンゲージメントやパフォーマンス向上を支援する、ピープルマネジメント・プラットフォーム「HiManager」の提供およびマネジメント・評価に関するコンサルティングを行っている。

コンサル後のキャリアとして「起業」というキャリアも人気の選択肢の一つである。そんなコンサルから起業というキャリアにはどんな魅力や困難があるのか。今回は2018年にPwCコンサルティングを経てハイマネージャー株式会社を起業した代表取締役CEOの森氏に起業のリアルを聞いた。

ハイマネージャー創業まで経緯

ー新卒でコンサルに入社した理由から、その後ハイマネージャーを設立した経緯を教えてください。

学生時代から起業したいと考えていたため、ビジネス戦闘力を身につけられるコンサルに入社しました。起業する時は「心理的安全性」をテーマにしたいと考えていたこと、魅力を感じたPwCの面接官が人事・組織領域のコンサルタントであったことの影響で、人事・組織領域のコンサルタントになることを前提にPwCに入社しました。

1年でPwCを辞めて起業することを考えて、入社前からニーズの検証やVCとの討議を行っていました。しかし、これらに思いの外時間が掛かってしまい、結果的に丸3年PwCに在籍したのち、ハイマネージャーを創業しました。

ー学生時代から明確に起業のテーマを決めて、それをぶらさず創業されているんですね。

「心理的安全性」というテーマは一貫していますが、当初はC向けの事業を志向していました。ニーズ検証やVCとの討議を経て結果的にB向けの事業で勝負しています。自分自身としては将来的には「心理的安全性」をテーマとしたC向けの事業も手掛けていきたいなと考えています。

起業家から見たコンサルキャリアの魅力

ー実際にコンサルを経て起業された森さんから見たコンサルキャリアの魅力について教えてください。

コンサルキャリアの魅力は4つあると思います。1つ目が「キャッチアップ力が磨けること」、2つ目が「優秀な人材と関係を築けること」、3つ目は自分のケースならではですが「対象領域の知見を深められること」、最後は最悪のケースではありますが「いざとなった時にコンサルでキャッシュを作れること」です。

起業をするとコア・非コア業務問わず沢山の未経験のことをとにかく捌いていかなければいけません。その中で、コンサル時代に磨いた「キャッチアップ力」というのはすごく役立っていますし、コンサル出身者の強みだなと思います。また、弊社の場合COOがPwC時代の同僚ということもあり、こうした優秀な人材と関係を築けるというのもコンサルキャリアの魅力だと思います。

3つ目は自分ならではですが、人事・組織領域のコンサルタントとして培った経験・知見というのは起業するにあたってとても役に立っています。こうした起業に直結する経験を能動的に得られるというのはコンサルキャリアの魅力と言えます。

4つ目はできるだけ使いたくない手ではありますが、会社のキャッシュが足りなくなった時に自分がコンサルとして受託するという"奥の手"があるというのは経営者として大きなセーフティネットになります。

コンサルから起業のリアル

ーコンサルを経て起業してみて印象的な大変だったことを教えてください。

営業の経験がなかったのが最も苦労した点でした。そもそも「営業となどんなことをするのか?」というイメージもない中で、創業当初にKPIを「顧客候補に100人会う」に設定したこともあり、かなり辛かったです。連絡しても無視されたり、「で、森さんは何ができるの?」と問われることもあり精神的に堪えました(笑)。

PwC時代はシニアアソシエイトという職位であったこともあり上司あっての自分でした。営業の話にも繋がる点ですが、起業して自分1人で顧客の前に立って全て自分で打ち返さなければいけないというのも大変だったことです。

また、今となってはですが、売上を生むまでの期間は「自分の仕事が社会から必要とされていないんじゃないか」と精神的に追い込まれたことも大変だったことです。

ー逆に起業してみて改めて感じた魅力について教えてください。

まず自分自身がずっと向き合いたかったテーマで、かつプロダクトとテクノロジーを使って顧客の課題を解決できるというのは大きな魅力です。PwC時代は常に手ぶら(=プロダクトがない)状態で顧客課題を解決しなければならず拠り所がなかったのですが、自分たちが作り上げたプロダクトをベースに、自分たちにしかできない課題解決ができるのは大きな魅力です。

また、頑張れば頑張った分だけアップサイドがあるというのも起業の魅力だと思います。ハイマネージャーとしてもIPOやM&Aを目指しているので、会社として起業家としてもより高い目標を目指していきたいと思っています。

ー起業に必要でもコンサルでは得られなかった経験について教えてください。

さきほどお話した営業を除くと、「エンジニアマネジメント」と「資金繰り」というのは起業に必要でもコンサルでは得られなかった経験だと思います。社会的なエンジニア不足の中でできるだけエンジニアに働きやすい環境を提供するというのも難しいですし、技術的なことや工数的なことが分からない中で、開発を主導していかないといけないことは今でも苦労しています。

また、経営者として資金をどうやりくりするかというのも重要なミッションで、これもコンサルでは学べなかった経験です。

ハイマネージャーで欲しい人材

ーハイマネージャーではどのような人材を採用したいですか?

ビジネスサイドで言うとカスタマーサクセス(プロダクトから得られる示唆を踏まえた打ち手の検討支援)を採用したいです。具体的には20代中盤~後半くらいで組織・人事領域のコンサル経験者であればドンピシャです。ただ、コンサル出身者であれば高いキャッチアップ力があると思うので、必ずしも組織・人事領域のコンサル経験がある必要はありません。

また、志向性で言うと「テクノロジーを活用して顧客を支援したい」「HRテック領域に興味がある」という人には面白い環境だと思います。ぜひハイマネージャーの事業領域に興味・共感がある人はお声がけください。

ハイマネージャー株式会社HP:
会社HP:https://peerly.jp/
プロダクトページ:https://himanager.me/

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