ここ数年でコンサルと広告代理店の違いがなくなりつつあると言われているが、実際のところ両社の現状がどうなっているかを把握している人は少ない。
本記事ではそんなコンサルと広告代理店で「今、起きているリアル」について徹底解説していく。
- コンサルト広告代理店の違い
- コンサルと広告代理店の最新動向
コンサルへの転職を目指す上では、おすすめのコンサル転職エージェントの記事を参考にして頂きたい。
Contents
コンサルと広告代理店の違い
結論から言うと、コンサルと広告代理店の違いはなくなりつつある。
電通をはじめとする広告代理店は戦略策定からシステム開発などにバリューチェーンを広げており、一方のコンサルファームもマーケティングやクリエイティブにバリューチェーンを広げている。
https://twitter.com/mr_grayhair/status/1629749813083537408
ではコンサルと広告代理店は両社の境目を超えて互いの違いがなくなったかと問われると、現状はそこまでの状態にはなっていないと言うのがリアルな実態である。
表面的にはコンサルは「戦略策定に留まらずマーケティング支援まで」、広告代理店は「マーケティング支援だけでなく戦略策定から」と掲げてはいるものの、一気通貫でクライアントを支援するという状況には至っていない。
- 両者で求められるケイパビリティが異なる
- 両者で最適な組織体制が異なる
例えば広告代理店の場合は、マーケティング支援の場合は営業担当が顧客窓口となり、マーケティングプランナーやアートディレクター、コピーライターなどがチームを組んで支援することになる。
上記体制で広告代理店がコンサルティングを行う場合、体制が肥大化してしまい様々なロスが起きるが、かと言って現体制の誰から仕事を奪い取るというのも中々難しい。
このような文脈の中で電通とドリームインキュベータの資本業務提携というのは、本当にコンサルと広告代理店の違いがなくなるのかという点で、今後注視していくべき事例である。
コンサルファームの広告代理業へ進出の動き
コンサルと広告代理店は互いの領域に進出しようとしていると言われている。
以下ではコンサル・広告代理店の両社の動きについて解説する。
アクセンチュアやデロイト、PwC、IBMといった大手コンサルファームは買収を軸に、広告代理店機能を社内に取り込む動きが数年前から見られている。
ファーム | 動向 |
アクセンチュア | Accenture Interactive(現Accenture Song)の立ち上げ |
2013年:英Fjordの買収 | |
2013年:英Acquity Group買収 | |
2015年:豪Reactive Media買収 | |
2015年:典Brightstep買収 | |
2015年:米Chaotic Moon買収 | |
2015年:米Boomerang Pharmaceutical Communication買収 | |
2015年:伯AD.Dialeto買収 | |
2019年:米Droga5買収 | |
Deloitte | Dloitte Digitalの立ち上げ |
2016年:米Heatの買収 | |
PwC | Digital Servicesの立ち上げ |
2013年:米BGT買収 |
上記のようにコンサルファームは戦略策定だけでに留まらず、実際のマーケティング支援にまで踏み込んでいるのだ。
これがコンサル側から見た「コンサルと広告代理店の境目がなくなりつつある」と言われる理由である。
広告代理店のコンサル業への進出の動き
一方の広告代理店もコンサル会社を立ち上げるなど、マーケティング支援に留まらずに戦略策定の領域まで進出しようと試みている。
会社名 | 動向 |
電通 | 2016年:電通デジタル立ち上げ |
2021年:ドリームインキュベータと資本業務提携 | |
2021年:イグニション・ポイントと資本業務提携 | |
博報堂 | 2001年:博報堂コンサルティング立ち上げ |
ADK | 2022年:TOKZUMと新規事業コンサル事業の立ち上げ |
博報堂コンサルティングは設立こそ2001年であるが、より力を入れ始めたのは企業名は博報堂デザインコンサルティングから博報堂コンサルティングに変更した2011年以降である。
また、広告代理店・コンサル両業界を賑わせたのが2021年の電通とドリームインキュベータの資本業務提携である。
電通としてもコンサルティング強化の方針を掲げるもののなかなか強化しきれておらず、一方のドリームインキュベータもコンサル事業で苦戦する中で、両社の思惑が一致した形となった。
実際、電通とドリームインキュベータの資本業務提携後に新規のコンサルティングメニュー発表が相次いでいる。
ドリームインキュベータと電通の連携についてこれまでのプレスリリースよりも多くの情報量が開示されてた。
— コンサルマン (@mr_grayhair) December 29, 2022
両社の”プロデュース力”でトップラインを伸ばしていくことにコミットしていくとのこと。
電通が戦略コンサルとタッグを組んだ理由——カギは顧客との仲間づくりにありhttps://t.co/wtL7o2NBYh pic.twitter.com/YOccADJTg1
個人的に電通×ドリームインキュベータの動きに注目してるけど、2社の協業によるクライアントのASEAN事業支援メニューを発表してる。
— コンサルマン (@mr_grayhair) January 23, 2023
電通とドリームインキュベータ、事業変革の促進プログラムを開始 新規参入・拡大・デザインの3領域で支援https://t.co/XWQLwXPA76 pic.twitter.com/cxsDjNCuet
また、電通はアクセンチュアやPwCに対抗すべく5年掛けてDX人材を500人規模の採用を行うことを発表しており、電通の動向は要注目である。
電通がアクセンチュアやPwCに対抗すべく5年掛けてDX人材を500人規模採用するというニュース。
— コンサルマン (@mr_grayhair) February 2, 2023
ただアクセンチュアは20-21年で従業員数が2000人程度増加しており、全員がDX人材じゃないとしても勢いの違いが顕著。https://t.co/O6fmKFFRz6 pic.twitter.com/fCSoVR6bp4
コンサル・広告代理店における注目の動向
コンサルと広告代理店をいう2つのキーワードを語る上で欠かせないのが、アクセンチュアソングの存在である。
アクセンチュアソングとは、成長戦略、製品/顧客体験の設計から、テクノロジーを活用した顧客体験のプラットフォームやクリエイティブ、メディア、マーケティング戦略、さらにはキャンペーン、コンテンツ、チャネルの編成などを一気通貫で支援する組織である。
もともとはアクセンチュアインタラクティブという名称で事業展開していたが、2022年4月にアクセンチュアソングへと改名している。
参考:「アクセンチュア インタラクティブ、「アクセンチュア ソング」に改称」
広告業界のバックグラウンドを持つ人材が多数集結しているようで、日本コカ・コーラや電通グループ、博報堂グループなどで要職に就かれていた方々が集結して、まるで"アベンジャーズ"のようだということで話題になっている。
広告業界の役員クラスの人材が”アベンジャーズ “のように集結するアクセンチュアソング。
— コンサルマン (@mr_grayhair) January 16, 2023
なぜトップ人材たちからアクセンチュアソングが選ばれているかについてインタビューした記事。
「彼ら」がアクセンチュア ソング(Accenture Song)を選んだ理由https://t.co/NqLQzqaQGF pic.twitter.com/61bXNqMq5h
広告代理店からコンサルの転職は多い
今後違いがなくなっていく可能性があるコンサルと広告代理店だが、筆者の周囲を見ると「広告代理店からコンサルへの転職」はいても「コンサルから広告代理店への転職」はそこまで多くない印象である。
特にマッキンゼーがマッキンゼーデジタル、BCGがBCG Digitalを立ち上げて採用を積極化させて以降、アクセンチュアやデロイト、PwCの人材は広告代理店よりもマッキンゼーやBCGに転職することが有用な選択肢となっている。
一方で、電通・博報堂を始めとした広告代理店からは、Accenture Songなどのコンサル内広告代理店だけでなく、コンサル部門への転職も多い。
SEOコンサルティングについてはこちらの記事で詳しく解説されているので、あわせてご確認いただきたい。
参考:【2023年最新】SEOコンサルティングとは?依頼する際のポイントやおすすめの会社20選を紹介! - 合同会社PENGIN