本記事では営業職からコンサルへの転職について、成功のポイントや採用ニーズ、営業職からコンサルに転職するメリット・デメリットなどについて徹底解説していく。
本記事を執筆する上では、メーカーの営業職からアクセンチュアに転職した方、通信会社の営業職からベイカレントに転職した方にインタビューを実施している。
- 営業職からコンサル転職を成功させるためのポイント
- コンサルファームにおける営業職の採用ニーズ
- 営業職からコンサルに転職するメリット・デメリット
営業職からコンサル転職を目指す上でぜひ参考にしていただきたい。
Contents
営業職からコンサル転職の可能性
営業職から転職を考えている人の中には、以下の理由からコンサルへの転職を希望する人が多数いる。
- 今後のキャリアアップに備えて汎用性の高いスキルを身に着けておきたい
- 経営に近いポジションで仕事をしてきた経験があり、より上流部分で経営のサポートに携わりたい
しかし、フロントで顧客にモノやサービスを提供していた立場から、ナレッジワーカーのイメージが強いコンサルへの転職は難易度が高いのではと萎縮してしまう人も多いのではないだろうか。
結論から言うと、営業職からコンサルへの転職は大いに可能である。
なぜなら、営業職を通じて培ったコミュニケーションスキルやインダストリーの深い知識と感度は、コンサルでも即戦力として活かすことができるからだ。
コンサルに求められる基礎素養(ロジカルシンキングや資料作成など)は、ほとんどがビハインドでのスタートにはなるものの、営業職で身に着けた知見をコンサルでも再現性のあるスキルとして語ることができれば、営業職からコンサルへの転職は決して難しくない。
営業とコンサルの違い【役割編】
ここでは、営業とコンサルの違いについて解説する。
ビジネスモデルの違い
営業が自社のモノやサービスといったコンテンツを提供するのに対して、コンサルの場合、多くが自社で製品やサービスを保有していないためクライアントが抱えている課題から議論を展開させ、課題解決に向けたソリューションを提供する。
工程の違い
営業は、最終ランナーとして自社のモノやサービスを提供する下流の位置づけにあるのに対し、コンサルは、上流部分からクライアントの課題解決に向けて伴走していく違いがある。
ソリューションの違い
営業の場合は、ソリューションありきでクライアントの課題解決に向けた提案を行うのに対して、コンサルは、クライアントが漠然と抱える課題の解像度を上げ、取りうるソリューションの中から、効果性と実現可能性を見極めたうえで提案を行うという違いがある。
営業とコンサルの違いについて、前者は自社製品・サービスを提供するのに対して、後者は自分自身が商品となり、ソリューションを提供していく点にあります。営業の場合、商品やサービスなど自社のネームバリュが実績に直結することもありますが、コンサルは、常に自分との戦いです。
営業からコンサル転職したK.K氏
営業とコンサルの違い【スキル編】
次に、営業とコンサルのスキルの違いについて解説する
実際に営業からコンサルに転職した方に話を伺うと、営業とコンサルで大きく違うスキルとして以下の3点があがった。
- 論理的思考力
- 仮説思考力
- 資料作成スキル
営業職からコンサルに転職する上では、上記のスキルをキャッチアップする必要があるが、その過程で苦労したという声もあがっている。
営業職に従事していた時代も、資料作成の場面はあったがコンサルで求められる資料作成スキルは一段高いレベルのアウトプットになる。ストーリーテリングのあるスライド構成と研ぎ澄まされた日本語で表現するスキルが求められ、一定のレベルに達するまで非常に苦労をした。
営業職からコンサル転職したK.K氏
一方で、営業とコンサルでスキルが違う部分だけではなく、通ずる部分もあるようだ。
例えば、以下のようなスキルは営業とコンサルで通ずるものがあり、転職後も活かせるようだ。
- コミュニケーション能力
- リレーション構築力
- インダストリーの知識と感度
営業職からコンサル転職を成功させるためのポイント
営業職からコンサル転職を成功させるためには、営業職を通じて培った知見がコンサルでも通用することを合理的かつ再現性のある形で語ることが重要になる。
ポイント1:クライアントコミュニケーションの強みを語る
営業職を通じて身に着けたコミュニケーションスキルはコンサル転職後も十分活かすことができるため、面接の場面でも自信を持って語って頂きたい。
ただし、単にクライアントと会話できるレベルのコミュニケーションスキルではなく、最終得たいゴールに向けて、どのようにリレーションを構築してきたか、再現性のある形で説明する必要がある。
余談にはなるが、コンサルにおけるクライアントコミュニケーションの場面でも、一見、無駄に思えるような無機質な会話が相手の心を掴み、プロジェクトが前進することもある。
詰まるところ、人対人がする仕事であり、ロジックでは語り切れない一面があることも一言追記しておきたい。
コンサルはクライアントワークが中心なので、営業時代に培ったクライアントの期待値のコントロールが出来る経験を語ることが重要だと思います。
営業からコンサル転職したYA氏
ポイント2:コンサルで活かせる業界知識の強みを語る
コンサル転職後は、基本的にプロジェクト毎によって1からクライアントの業界知識をキャッチアップすることになる。
キャッチアップのレベルも、書籍やネット、プロジェクトの過去資料など二次情報から得る内容が多く、現場レベルの深い知見を身に着けている人は意外と少ない。
そこで、営業を通じて得たインダストリーの深い知識と感度は即戦力としての強みになる。
加えて、コンサル転職面接の場面では、営業の現場で体感した課題を入社先のファームが持つケイパビリティをもってどう課題解決できるかまで落とし込めるとよい。
コンサルになったらどのような価値を提供出来るのか、自身の言葉でわかりやすく伝えることと、自身のKPI(営業なら売上や粗利)を達成する上で課題をどう把握し乗り越えてきたか、達成のためのKSFをどう定め、それを実行したかを語れることが重要になります。
営業からコンサル転職したYA氏
コンサルファームから営業職採用ニーズ
コンサルファームが営業出身者を採用する場合は、コンサルとして活躍できるポテンシャルがあるかを評価し、採用に繋げることが多い。
論理的に物事を考えることが出来る地頭力を持ち合わせており、かつコンサルとして一定のハードワークに耐えられる体力と精神力があれば、ポテンシャルを見込んで採用される傾向にある。
営業からコンサルに転職される方は、「今後、コンサルとして活躍できるポテンシャルがあるか」を見込まれて入社されるケースが多いと感じています。戦略コンサルタントの場合、インダストリー軸で入社後のアサイン先が決まる傾向にあり、プロジェクトでは即戦力として転職前に培った業界知識や業務レベルの知見が求められます。
営業職からコンサル転職したK.K氏
一方、30代からコンサル転職を目指す人は、よりコンサルティングワークに近しい経験が求められるため、プロジェクトマネジメントなど社内でも上流部分に携わっていた経験が必要になる。
営業職からコンサルへ転職する成功確率を上げるためには、第二新卒から30歳手前の若いうちにチャレンジする方が得策といえる。
営業職からコンサル転職成功例
上述の通り、営業職からコンサルへの転職は大いに可能であり、実際に多くの方が営業職からコンサル転職を成功させている。
以下は営業職からコンサル転職を成功させ、コンサルキャリアにて独自インタビューを行った方々である。
営業職からのコンサル転職のイメージを具体化させる上で、ぜひ参考にしていただきたい。
>>コンサル転職体験談はこちら
前職 | 転職時年齢 | 転職先 |
メガベンチャー 営業職 | 29歳 | デロイトトーマツコンサルティング |
自動車部品メーカー 営業職 | 26歳 | ベイカレント・コンサルティング |
繊維メーカー 営業職 | 29歳 | アクセンチュア |
ベンチャー企業 営業職 | 27歳 | PwCコンサルティング |
大手日系電機メーカー 営業職 | 25歳 | アクセンチュア |
営業職からコンサル転職のメリット
営業職からコンサルへ転職するメリットは、汎用性が高いスキルを身につけることでキャリアの選択肢が広がる点にある。
メリット1:ポータブルスキルの取得
ポータブルスキルの取得は、営業職からコンサルへ転職するメリットの代表的なものといえる。
営業の場合、属人化しやすい職種柄、汎用性のあるスキルの取得が難しい。
一方、コンサルでは論理的思考力や構造化思考、資料作成スキルといった汎用性が高く、業界・職種を問わず活かせるスキルを獲得することができる。
ポータブルスキルはあらゆるビジネスにおいて必要とされるスキルであるため、コンサルを通じてキャリアの浅いうちにベースを固めておいて損はない。
メリット2:キャリア選択の幅が広がる
営業職から転職を検討する場合、取りうる選択肢は同じ業界で職種転換するか、同じ職種(営業)で業界を変えるかのいずれかが多い。
いずれにせよ、職種または業界を軸足にしたキャリア選択を強いられることになるが、コンサルで一定のスキルを身に着けておくとその後の選択肢は営業職と比較して遥かに広がる。
上記に述べたポータブルスキルの他、コンサル特有のキャッチアップの速さは、専門性を持っていなくても知識の吸収が早いため、即戦力として活躍できるポテンシャルがあるとして市場での評価も高い。
例えば、営業から経営企画や事業開発、マーケティングなどの職に一足飛びに転向することは一般的には難しいとされるが、一度コンサルを経験するとその後のキャリアの選択オプションが増えるようになる。自身の可能性を押し広げるという観点だと非常に良い選択肢だと思う。
営業からコンサル転職したYA氏
営業職からコンサル転職のデメリット・苦労する点
営業職に長年従事していた人や、個人成果で営業のメリットを享受していた人にとってコンサルに転職することでデメリットや苦労を経験するかもしれない。
デメリット・苦労する点1:キャッチアップ量の多さ
デメリット・苦労する点2:チームワーク
営業の場合、比較的個人の自由度が高いとされるが、コンサルでは、社内外含め多くの関係者を巻き込んでプロジェクトを推進していくため、チームメンバーとの協業が欠かせない。
納期に向けて遅延が発生しないよう、プロジェクト管理していく必要があるため報連相の粒度も営業時代の感覚とは全く違う。
デメリット・苦労する点3:インセンティブの低さ
営業職からコンサルに転職すると、個人成果からチークの成果に変わるため、個人のインセンティブは見込みにくい。
勿論、賞与といった形でインセンティブは発生するものの、類稀なスキルやプロジェクトで目覚ましいパフォーマンスを発揮しない限り、インセンティブの期待度は低く、コンサルで営業の時のようなインセンティブをもらえることはほとんどないと言える。
パートナークラスにまで到達しない限り現実的に狙えるラインとしては2,000万前後になるかと想定。真に営業力がある人なら外資系IT等にいったほうが給与は青天井となる。
営業からコンサル転職したYA氏