フリーコンサルの案件紹介を行う中で、この1年は大きな変化のあった一年だったと言える。
この1年でフリーランスとして独立する人だけでなく、日本経済新聞でも取り上げられていたが、副業コンサル人材も急増した。
コロナ禍や働き方改革を機に会社員でも柔軟な働き方が可能になり競合が増えた
その中で、フリーコンサル市場としては、以下の4つの変化・トレンドがあったと感じる。
- 参画機会の拡大
- 単価の二極化
- 「経歴」<「実績」重視
- 独立のカジュアル化
本記事では、フリーコンサル向けの案件紹介マッチングサービス「コンサルキャリアナビ」を運営し、自身でもフリーコンサルとしての活動経験があるコンサルキャリア運営メンバーが、上記のトレンド・変化について解説していく。
Contents
参画機会の拡大
ここ1-2年でコンサル市場で存在感を高めているのが、大手コンサルファーム出身者らが立ち上げたブティックファームである。
特にDX・AI関連のニーズに応える形で急成長しているファームも多く、事業拡大に人材採用が追いついておらず、フリーコンサルを積極的に活用しているファームも見られる。
また、特にこの一年の目立った動向と言えるのが、他業種からコンサル部門の立ち上げである。
SaaSやデジタルマーケティング、SES、M&A仲介などが続々とコンサル部門を立ち上げており、部門のトップにはファーム出身者を正社員で置き、ファーム出身の採用活動も積極的に行いつつ、足りない部分はフリーコンサルで補うという動きが目立っている。
その中にはプロジェクトのデリバリーだけでなく、サービスラインの検討や、デリバリーの型化といった業務をフリーコンサルに依頼する事例も出てきている。
正社員マーケットではコンサル人材は圧倒的に需要過多になっており、好条件でもなかなか採用できないという状況になっている。
こうしたブティックファームの成長や異業種からの参入の動きは2025年も見逃せない動きになると想定され、フリーコンサル活用は来年以降も引き続き堅調と予測される。
単価の二極化
単価の二極化というのもこの一年で見られた変化の一つと言える。
この裏側にあるのが「"知見者型"と"ワーカー型"ニーズの二極化」である。
対象領域のプロジェクトで複数の経験があり、その道のプロフェッショナルとしてのバリューを期待される"知見者型"のニーズと、領域知見はそこまであるわけではないが、キャッチアップ力でバリューを出す"ワーカー型"のニーズが存在する。
"知見者型"の場合は、「〇〇業界で〇〇規模の新規事業の立案支援のPJTをリードしたことがある」「〇〇業界の〇〇システムのPMOのPJTを〇〇年以上やったことがある」など、かなりピンポイントの人材要件となっている。
一方、”ワーカー型”の場合、「大手ファーム在籍〇〇年以上、戦略案件を経験したことがある」程度の要件で、ある程度優秀であれば誰でも処理できる系の案件ニーズになっている。
その中で、”知見者型”のニーズは引き続き堅調であり単価も上昇傾向にある(もちろん領域による)一方で、”ワーカー型”のニーズは微減傾向+条件が厳しくなっている印象である。
”ワーカー型”のニーズ減少については、2010年代後半からコンサル人口も爆発的に増加し、その時期にコンサルに入社された方たちが転職マーケットにも出てきたことで、ただ優秀な層は正社員で補えるようになってきていることが大きな要因と言える。
当然、需要<供給になれば受注率だけでなく単価も下がるため、"ワーカー型"のフリーコンサルの人であれば、ある程度稼働率高く制約条件少なく稼働することがより強く求められるようになって来ている。
2-3年前までフリーコンサルをやっていた方々と話すと、「あの会社の案件でそんな単価低くなってるの?」や「今そんな高単価の案件あるの?」のような反応もあり、やはり二極化が進んでいるんだと感じた一年であった。
「経歴」<「実績」重視
そもそもフリーコンサル市場は少し特殊で、他のフリーランス市場と異なり、「実績」というよりも「経歴」で仕事の受注ができてきた。
そのため、目立った実績がなくても大手ファームで3~4年程度経験があればある程度仕事が選べていた。(ファームで経験は実力の証明として十分機能していた)
一方でファーム自体が採用規模を拡大し、かつフリーコンサル人口は急増しており、似た経歴の人もその分増えている中で、「経歴」だけで仕事がもらえていたフェーズから徐々に変わりつつあると感じる。
ここ一年では、PJTでどんなロールを担い、どのようなクライアントインパクトを出したかなどだけでなく、同一ファームで昇進しているかといった点も含めて、より詳細に問われることが増えてきた印象である。
物事が進まなくても楽して稼げればいいやというスタンスで何も進まないPJTにい続けた人は、今後フリーコンサル市場では厳しくなっていくと予測される。
逆に、目先の単価や楽さに惑わされず、自身の経験の深堀りや拡張を戦略的に行ってきたコンサルタントの方は受注率や単価のUPがより狙いやすい市場になったとも言える。
独立のカジュアル化
これまでは独立=「”自分”という看板を掲げた一世一代の勝負」という世界だったが、特にここ一年は独立のカジュアル化が進み、気軽に独立する人が増えた印象である。
大抵の場合、フリーコンサルとして独立した場合は収入が増え、かつ自由な時間も増える。
そうしたフリーコンサルの魅力が独り歩きした結果、「フリーコンサル=楽して稼げる」という認識を持つ方が増え、ファーム在籍時には持っていた”クライアントファーストの姿勢”を失っている人も増えている印象である。
実際、ここ一年で独立した方の中で、事前面談で「自分都合で仕事をしそう」という評価でお見送りになるケースや、参画後に「コミットが明らかに弱かった」、「アウトプットから手抜き感が滲み出ていた」といった評価も増えてきている。
フリーコンサルで働き方の自由を求める人は多く、それ自体は権利でもあるので、決して悪いことではない。
一方で、クライアントの要望や気持ちを考えずに自分の要望・権利だけを主張すると当然クライアントの信頼も得られなくなってしまう。
クライアントとしては決して安くはない報酬を支払う中で不安もあるので、その不安を払拭するということが重要である。
例えば、信頼を勝ち取っているフリーコンサルの方の例で言うと、自分がフルリモートで働きたい場合でも、クライアントが不安そうにしていたら、「まずは信頼関係を築くことが重要だと思うので、最初は頻度高く出社します。その後信頼関係が築けたらリモート比率を上げさせてください」という提案ができる方である。
また、参画後に「コミットが明らかに弱かった」、「アウトプットから手抜き感が滲み出ていた」といった評価は致命的になる。
プロジェクトが炎上してしまったといった評価は、それ自体が本当にそのフリーコンサルだけが原因なのか微妙であり、それが致命的になることは少ない。
一方で、コミットが弱いというのはクライアントからも印象が非常に悪く、また手抜き癖は中々治るものではないので、一度でもそういう評価になると中々案件を紹介してもらえなくなる。
並行稼働してる案件がある、本業がある、起業と並行しているなどはクライアントからすれば関係なく、目の前のプロジェクトにしっかりコミットすることが重要である。
2025年のフリーコンサル市場の展望
企業ニーズ側、人材ニーズ側ともに2024年のトレンドは引き続き続いていくと想定される。
新規ブティックファームの立ち上げや、新興ブティックファームの成長に伴うフリーコンサルニーズは堅調に推移していくと想定され、そうしたクライアントニーズに牽引される形で、独立のカジュアル化および独立の増加が行われる。
一方で、単価の二極化や競争激化による受注率減により、当初の想定していた収入を得られないことで、フリーコンサルから正社員への転職というのも2025年は増えてくると予想している。
実際、正社員マーケットではコンサル人材は圧倒的に需要過多になっていることを受けて、採用ターゲットを「フリーコンサル」まで広げているファームも現時点で出てきている。
【参考】フリーコンサル市場で安定的に案件を獲得するために
フリーコンサル市場はまだまだ若く、今後も日々変化していくと予測される。
その中でも安定的に案件を獲得するためには、コンサルタントとして武器にできる経験を積んでおくことが重要である。
- 大手ファームでの経験年数を積む(4~5年)
- 経験テーマの密度を高める(4~5年の在籍期間でも分散させずに特定テーマで経験を積む)
また、参画前に「期待値ギャップを生まないように大きく見せすぎない」、一度参画したら「クライアントファーストで信頼を蓄積する」ことが重要である。
- できるだけ制約条件をなくす(稼働率、出社可否など)
- クライアントファーストで期待値を超え続ける(権利の過度な主張や強気すぎる交渉はNG)
- 特定のCLと長く付き合う(継続をもらう)
- 上記が叶わない場合でも特定のエージェントと長く付き合う(信用/実績を貯めれば単価をあげた提案をしてくれる)
独立すると個人の看板で評価されることになり、その看板はこの先の長い人生の中で一生ついてまわることになる。
その中で軽い気持ちで稼働して信用が毀損してしまうと、長期的にフリーコンサルを続ける場合でも、転職や起業をする場合でも、大きなディスアドバンテージになる。
生産性を高めるという発想は重要ではあるが、いかに楽して稼ぐかの姿勢で仕事をしてしまったり、小手先のテクニックで単価交渉して変に期待値を上げてしまった結果、クライアントからクレームまでは行かずとも微妙という評価をもらい、信用を代償にお金をもらっているだけ(信用毀損)になってしまうので、ただただ真摯に取り組むという姿勢が欠かせない。
フリーランスのコンサルタントとして独立することは、コンサルティングファームの次のキャリアとして非常に有用である。 とは言え、いきなり完全な独力で顧客獲得を行い独立するのは非常に難易度が高いため、まずは案件マッチングサービス(=エージェント)に登録することになる。 フリーコンサルタント向けの案件紹介マッチング・エージェント市場というのはまだまだ黎明期であり、有象無象の事業者が存在する。 悪質なフリーコンサルタント向けの案件紹介マッチング・エージェントを信じ切って、相場よりも遥かに低い価格で案件をデリバリーしていたというケースも多い。(その分、エージェントが相場以上の手数料を抜いていた) そのため、絶対にやるべきことはできるだけ信頼できるフリーコンサルタント向けの案件紹介マッチング・エージェントを見つけて、中長期的な関係を築くことである。 コンサルキャリアは株式会社Flow Groupが運営しています。当社は厚生労働省から有料職業紹介事業の認可を取得し、求職者の転職支援と企業の採用支援を行っています。おすすめのフリーコンサル向け案件紹介エージェント
会社名
株式会社Flow Group
会社HP
https://consul-career.com/corp/
所在地
東京都新宿区市谷田町3丁目8 市ヶ谷科学技術イノベーションセンタービル 2F
法人番号
5011001129632
厚生労働省 有料職業紹介事業認可番号
13ーユー315272
適格請求書事業者登録番号
T5011001129632