ロジカルシンキングとは?意味やビジネスでのメリットをコンサルが解説

本記事では、ロジカルシンキングという思考法の意味や、ロジカルシンキングをビジネスシーンで活用するメリットについて解説していく。

特に筆者が所属するコンサル業界ではロジカルシンキングは日常的に使用する思考法であり、その点も踏まえてリアルを解説していく。

ロジカルシンキングとは

ロジカルシンキングとは論理的思考という意味で、論理を組み立てて考え結論を出すことを指す。

ロジカルシンキングは個人の思考やバイアスに偏らず論理的に物事を考えられるため、ビジネスシーンで非常に役立つ思考法である。

逆にロジカルシンキングが"弱い"場合、他者を説得したり、共通認識を醸成することができず、円滑に仕事を進めることができなくなってしまう。

また、ビジネスにおいて重要な売り上げや顧客数などの数字データを適切に扱い、問題解決に役立てていくことにも活用することができる。

ロジカルシンキングの代表的手法

ロジカルシンキングの代表的手法は「帰納法」と「演繹法」の2つが存在する。

帰納法は多くの事例やデータから共通点を見出して結論を導き出す方法で、ビジネスシーンの大半では帰納法が用いられている。

論理的思考力_帰納法とは

たとえば、「A社では商品Zが人気」「B社でも商品Zが人気」「C社も同じ」というデータから、「商品Zは人気商品」という結論を導き出すというように使用していく。

一方、もう1つの演繹法はルールや前提から論理的に考え、結論を出する手法である。

たとえば「商品Zは女性をターゲットにした会社で売り上げが高い」という前提があったとする。

仮に新規顧客のD社が女性ターゲットの会社だったとすると、この前提から考えて商品Zをおすすめできるということになる。

ただし、このような短絡的な論理が成り立つことは、複雑性の高いビジネスシーンではほとんどなく、結果として帰納法が使用されることが多くなっている。

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングとの違い

ロジカルシンキングと似た言葉で、クリティカルシンキングというものがある。

クリティカルシンキングの意味は批判的思考である。ただしやみくもに批判するのではなく、「本当にそうか?」という客観的・批判的な視点をもって前提や物事を捉え直すことを指す。

たとえば「A社の営業部の売り上げが落ちて、会社の業績が下がった」という問題があったとする。

ロジカルシンキングを使って営業部の売り上げ低下の原因を探ると、「新規の開拓ができていない」「高い商品が売れていない」などが出てきた。

一方でクリティカルシンキングの観点に立つと、「そもそも業績低迷の原因は営業部なのか?他の事業部はどうか?」「経費が上がっているのでは?」など、前提から考え直していくことになる。

この2つの思考は対立するものではなくお互いに補完関係があると認識していただきたい。

ロジカルシンキングは決まった前提や枠組みの中で論理的に思考を回す方法であり、仮にその前提が間違っていた場合に正しい結論を導き出せない可能性がある。

そこをクリティカルシンキングで前提から考え直すことで補完することができる。

一方で、クリティカルシンキングだけでは物事を論理的に組み立て、相手に分かりやすく伝えることには不向きであるが、その点は逆にロジカルシンキングが補完することができる。

このように2つの思考を活用することで、より効率的に論理的な結論を導き出せる。

筆者の経験ベースでは、はじめにクリティカルシンキングで幅広い捉え方から前提を決定し、ロジカルシンキングで結論を出すやり方がおすすめと言える。

さらに導き出した結論をもう一度クリティカルシンキングで「本当に合っているか?」とセルフレビューすることでより精度を高めることができる。

ロジカルシンキングのビジネス上のメリット

ここまでロジカルシンキングはビジネスシーンで非常に役に立つと説明してきた。ここではメリットをより具体的に解説していく。

分析力や問題解決能力がアップする

ロジカルシンキングを活用することで、ヌケモレやダブりなく物事を分析することができる。

たとえば「売り上げが悪い」という事象を、顧客数や単価、時期などから分析するといった形である。

ヌケモレやダブりなく要素分解することで、適切なアプローチを打ち出すことができ、効率的に分析作業を進めることができる。

結果として、分析力や問題解決能力の向上にもつなげることができる。

提案力やコミュニケーション能力がアップする

論理的に考えるということは矛盾なく筋道立っているため、他者の視点から見ても腹落ちしやすいという特徴がある。

"自分"だけでなく"相手"にも伝わりやすいため、提案力やコミュニケーション能力の向上につながり、営業シーンや社内会議のファシリテーションなどをよりスムーズに進めることができる。

生産性がアップする

ビジネスシーンで常時ロジカルシンキングを使うことは難易度は高いが、帰納法やロジックツリーなど思考の型もあるため、一度身に付いてしまえば息を吸うように活用することができる。

ロジカルシンキングを活用することで、無駄な作業や手戻りを削減することができ、仕事の生産性を大幅に向上することができる。

ロジカルシンキングの注意点

最後にロジカルシンキングの注意点について解説する。

前提やルールが間違っていた場合に対処できない

前述の通り、ロジカルシンキングは"前提の誤り"に対応しづらいという弱点がある。

当然、物事は前提が変わると正解も変わるため、特に前提やルールから考える演繹法では注意が必要である。

さきほどの通り、ぜひクリティカルシンキングとの併用をおすすめしたい。

データが変われば結論も変わる

上述の「前提」や「ルール」と近しい点ではあるが、同様にデータが変われば結論も変わることになる。

例えば、はじめにデータ収集したあとにあとから別の情報が追加されるということはビジネスシーンではよくあることだが、そうした時にうまく結論を修正できないということがある。

すでに出した結論に固執せず、結論はアップデートし続けるという意識を持つ必要がある。

常に目的を意識することが重要

ロジカルシンキングは一度思考を回し始めると「新しい観点に気づく」「分析が進む」という中で、徐々に枝葉の検討に入って言ってしまうこともある。

その結果、本来の目的を忘れてしまい、非効率な検討を進めてしまうリスクもある。

そのため、常に目的を意識し続ける必要があるという点は強く意識すべきである。

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