【PMOコンサル転職】つまらないと言われる理由から魅力まで現役社員へインタビュー

コンサル業界の中でも特に近年需要が拡大しているのがPMOコンサルである。

本記事は、そんなPMOコンサルの仕事内容から魅力、つまらないと言われる理由、転職するためのコツまで徹底的に解説していく。

本記事を執筆する上ではアクセンチュアやアビームコンサルティングにおいて、現役でPMOコンサルに従事される方々にインタビューを行っているため、ぜひ参考にして頂きたい。

横山 諒平
監修者

Flow Group代表取締役/コンサルタント

株式会社Flow Group代表取締役。慶應義塾大学経済学部卒業。
大学卒業後はデロイト トーマツ コンサルティング合同会社に入社し、製造業のクライアントを中心に中期経営戦略の策定やM&A実行支援、新規事業立案・立ち上げ支援に従事。
その後、株式会社リクルートライフスタイル(現株式会社リクルート)における事業戦略・予算策定、事業開発に従事。フリーコンサルとして独立後、2019年8月株式会社Flow Groupを創業。

コンサルマン
執筆者

コンサルマン

コンサルキャリア編集部。コンサルキャリアおよびコンサルマンは株式会社Flow Groupが運営しています。Twitterフォロワー1.9万人

本記事でわかること
  • PMOコンサルの仕事内容・魅力
  • PMOコンサルの市場価値・キャリアパス
  • PMOコンサルがつまらないと言われる理由
  • PMOコンサルに転職するためのコツ

PMOコンサルとは

PMOコンサルとは、PMOに特化したコンサルタントのことを指し、主にユーザー側とベンダー側で役割を担うことになる。

PMOについて簡単に補足をすると、PMOとは プロジェクトマネジメントの支援や調整などを横断的に行う部門や構造システのことを指す。

具体的な業務内容としてプロジェクトの品質・納期の標準化、人材・コスト管理、プロジェクト全体の進行管理などがあげられる。

PMOにおけるユーザー側/ベンダー側とは

PMOと一言で言ってもユーザー側とベンダー側の二つの立場が存在しており、それぞれで仕事内容ややりがい、良い点・悪い点が異なる。

ユーザー側PMO

企業の経営戦略に準拠したビジネス要求の徹底、プロジェクト推進管理、ステークホルダーマネジメントとベンダーコントロールなどを担う。企業の経営戦略に基づいた判断力と履行できる推進力が評価される。

ベンダー側PMO

顧客の要求するゴールに対して、ビジネス価値の提案や適切な対応策についてサポートを行う。顧客の経営戦略を把握したうえで、自社のケイパビリティを活かして、いかに価値提供できるかが問われる。

ユーザー側/ベンダー側の違い

ユーザー側とベンダー側でそれぞれ以下のような違いがある。

ユーザー側PMO ベンダー側PMO
やりがい 事業の意思決定を身近なポジションでサポートできる 幅広い案件に携わる過程で専門領域の知見を突き詰めることができる
良い点 プロジェクト推進管理の主体を担っているため、業務コントロールがしやすい プロジェクト毎に様々な業界・業種の知見をキャッチアップできる
悪い点 社内調整や根回しが必要なため、些末な業務に追われる あくまでサポート側であり、最終的な意思決定に携われない

PMOコンサルの対象レイヤー・プロジェクト種類

ここでは、具体的にどのようなレイヤーやどのようなプロジェクトでPMOが活用されているかについて解説する。

以下のPMOコンサルに強みを持つMSOL社の領域別PMOコンサル案件比率である。

PMOコンサル案件比率
出所:「1分でわかるMSOL」(MSOL社)

あくまでMSOL社の案件比率ではあるものの、PMOコンサルが主に対象とするプロジェクト種類は「IT系」「業務/組織改善系」の2種類であり、ビジネス系(新規事業/経営改革系)のPMOコンサルニーズは少ないと言える。

「IT系」「業務/組織改善系」のPMOコンサルニーズが多い理由として最も大きいのは、「ビジネス系の案件に比べてより多くの人数が係る」ことがあげられる。

システム開発の場合、数百人単位で開発会社等の人員が係るため、よりPMOコンサルが求められることになる。

一方で、新規事業を推進するといったプロジェクトの場合、どんなに大企業でも多くても5-10人程度のチームで事足りるケースが多く、そもそもPMOコンサルに対するニーズが少ないと言える。

上記の理由も相まって、経営/全社レベルの支援よりも、部門や現場レベルへの支援が市場全体の中では相対的に多い。

PMOコンサルとITコンサルの違い

下記の図はITコンサルとPMOコンサル、SEの違いを表している。

ITコンサル、PMOコンサル、SEの違い

ITコンサルは、ITプロジェクトにおける企画/計画フェーズから稼働までの工程を業務範囲となる。

一方でPMOコンサルはITコンサルの業務内容のうち、設計~稼働までの工程が業務範囲となっており、ITコンサルとPMOコンサルは包含関係にあると言える。

あえて「違い」を軸に説明すると、ITプロジェクトの上流を担うIT戦略・企画コンサルと、ITプロジェクトの下流を担うPMOコンサルは大きく役回りが違う。

ただし、ITプロジェクトにおいて上流から下流まで一気通貫に手掛けるITコンサルの方がもいることはご留意頂きたい。

PMOコンサルに求められる能力

PMOコンサルに求められるスキルは多岐に渡り、プロジェクトによって具体的なスキルセットに差があるものの、共通して必要とされる能力は以下の通りとなる。

1.キャッチアップ力

PMOは、部門横断のプロジェクトマネジメントが求められるため、ステークホルダー間でコミュニケーションできる知識のキャッチアップ力は欠かせない。

大規模プロジェクトになるにつれて、キャッチアップを求められる場面も増えるが、ポイントは、如何にして要点を押さえた情報収集、知識の獲得に注力するかである。

PMOの求められる素養は、あくまでプロジェクトマネジメントの支援であり、調整であるため、チャッチアップすべき程度感を見極める必要がある。

ここに関しては、経験値も必要になってくるが、全体感を把握したうえで、クリティカルなポイントに注力できるか見極める能力が必要となってくる。

複数の会議に出席することが多いため、会話の流れを理解するためにも前提知識や専門用語のキャッチアップは欠かせません。

現役PMOコンサルA氏(アクセンチュア)

2.コミュニケーションスキル

ステークホルダー間で密に連携を取り、適切に対応できるコミュニケーションスキルが重要となる。

特に社外の関係者とコミュニケーションをとる場面では、相手側の心情と置かれている環境を理解しておく必要がある。

PMO業務が多岐に渡っているが故、おざなりになりがちなコミュニケーションも丁寧にケアできるコンサルは以外と少ない。 

PMOは、関係者間の意思疎通を円滑に進めることに価値が発揮されるため、主体的に関係者を巻き込んでプロジェクトを推進/支援していく姿勢が非常に重要。

現役PMOコンサルA氏(アクセンチュア)

プロジェクトには、規模に応じて様々なステークホルダーが関係することから、プロジェクトを実行に移すために必要な対応、課題の解決策を適切な手法・表現で伝える能力が必要となります。

現役PMOコンサルB氏(アビーム)

3.調整力・マルチタスクスキル

PMOコンサルタントは、同時に多種多様なプロジェクトを管理・分析・支援を行うため、同時に複数案件を進行させるスキル、状況に応じて適切な会議体を設計・調整することが必要とされる。

特定のプロジェクトにアサインされていても多数の課題や論点が並行して進んでおり、それらを漏れなく拾い上げることも重要なスキルになる。

多数のステークホルダーを巻き込みプロジェクトを推進していく能力が求められるため、社内外の調整力が重要になる。

現役PMOコンサルA氏

補足として、PMOコンサルに求められるスキルをストレングスファインダーで整理してみたので、ストレングスファインダーの診断経験がある読者は、以下を参照いただきたい。

  • 規律性
  • コミュニケーション
  • 収集心
  • 戦略性
  • 目標志向

    PMOコンサルの市場価値

    以下はPMOコンサルに強みをもつMSOLが決算資料の中で示しているPMOコンサルの将来性である。

    PMOコンサル将来性
    出所:「2022年10⽉期 決算説明資料」MSOL社

    テクノロジーの発展を含むマクロ動向の変化により、企業を取り巻く環境は激変しており、それに対応すべく"プロジェクト数"が激増している状況のようだ。

    その結果、プロジェクトマネージャー人材が不足するという自体に陥っており、PMOコンサルニーズは急拡大していると言える。

    実際、MSOL社自身も急激に採用数を増やしている。

    PMOコンサル採用数
    出所:「2022年10⽉期 決算説明資料」MSOL社

    MSOL社以外にも、BIG4コンサルやアクセンチュア、アビーム、ベイカレントなどの大手ファームがPMOコンサルの採用を拡大しており、各社で取り合いの状況となっている。

    その結果、独立したフリーランスPMOコンサルも引く手数多の状況であり、年収2000万円を稼ぐフリーランスPMOコンサルも決して珍しくない。

    PMOコンサルがつまらないと言われる理由

    PMOコンサルタントは、プロジェクトを円滑に運営・進行できるよう黒子に徹する場面が多いため、「つまらない」と感じる人が一定数いるかもしれない。

    PMOコンサルがつまらないと言われる理由について、実際に現役PMOコンサル(アクセンチュア、アビーム)に話を伺ったのでご紹介する。

    つまらないと言われる理由1:日の目を浴びる機会が少ない

    プロジェクトの成功可否は、具体的な数値や実績で評価されるものの、それまでの過程を評価されることはあまりない。

    勿論、プロジェクトの成功過程には、PMOのアシストがあってのことだが、表立って評価・称賛されることがないことから、介在価値の希薄さを感じるかもしれない。

    裏方的な仕事が多いため、コンサルタントとして華やかな分析や提案の仕事がしたい人にとっては”つまらない”ように感じるかもしれません。

    現役PMOコンサルB氏(アビーム)

    つまらないと言われる理由2:管理業務がメインになりがち

    課題管理や進捗状況がPMOに求められる業務であるが故、主体性を発揮する場面が少ないのは事実だろう。

    しかし、プロジェクト規模が大きくなるほど、PMOの存在は欠かせないものであるが、PMOとしての経験値が浅いと、管理業務に追われる印象が強く、「つまらない」と感じる人もいるようだ。

    小規模のプロジェクトだと課題発生の場面が少なく、会議調整や意見の取りまとめで完了するような単調な業務が多く、コンサルタントとしての成長が感じにくいのも事実です。

    現役PMOコンサルA氏(アクセンチュア)

    課題管理や進捗管理など情報整理の役割だと認識している人にとっては、つまらないと感じる傾向にあります。

    現役PMOコンサルB氏(アビーム)

    つまらないと言われる理由3:PMOがいなくてもプロジェクトが回ってしまうこともある

    プロジェクトの状況やタイミングによってはPMOがいなくても問題ないという時が来る。

    プロジェクトに関わる一員として自分がいなくても回るというのは、正直やりがいを感じられなくなってしまうのもよく分かる。

    こうした自分がいなくても回ってしまうという事実と、それに伴うやりがいの欠如がPMOコンサルは「つまらない」と言われてしまう理由の一つである。

    「今週特にやることないな」という日もあります。そういうタイミングが来ると自分の存在意義は何なのかと自問自答してしまい、PMOコンサルがつまらないなと感じてしまうこともあります。

    現役PMOコンサルA氏(アクセンチュア)

    PMOコンサルを経験するメリット

    PMOコンサルのメリットとして、実際に現役PMOコンサルに話を伺うと以下の4点があがった。

    • 俯瞰する力が身に付く
    • マーケットバリューの高さ
    • 若くしてプロジェクトマネジメント経験が詰める
    • クライアントと密にコミュニケーションを取ることができる

    メリット1:俯瞰する力が身につく

    PMOは、細部にとらわれることなくプロジェクトが目指すゴールに向けてクリティカルな論点を整理しながら推進していく必要があるため、その過程において自ずと全体を俯瞰する能力が身につく。

    左記に述べた能力は、マネージャーや管理職など未来を見据えたうえでも重宝されるスキルであり、今後のキャリアを後押するスキルといっても過言ではない。

    プロジェクトの構造や組織体系を理解し設計する力が身につく他、アプローチ立案の仕方や俯瞰的にプロジェクトを理解できることがPMOを経験するメリットになる。

    現役PMOコンサルA氏(アクセンチュア)

    特に若手コンサルタントのうちは、報告資料の一部分だけを担当ような仕事が多く、プロジェクトの全体を捉える経験がないため、PMOとしてプロジェクトマネジメントやクライアントワークを若手のうちに経験できる点はメリットと考えます。

    現役PMOコンサルB氏(アビーム)

    メリット2:マーケットバリューの高さ

    不確実性が高まる現代において、従来のビジネススキームでは太刀打ちできない状況下にあり、昨今、様々な業界・企業においてDX推進や組織改革などに取り組むプロジェクト型ワークスタイルの導入が増えている。

    勿論、初めてプロジェクトを導入する企業は、社内にプロジェクトを推進していく知見が不足しており、ステークホルダーの規模が大きくなるほど、目的を達成することは難しくなってくる。

    そこで、PMOの任務にあたるPMOコンサルの需要が高まっており、今後も安定した需要予測が見込めることからもPMOコンサルのマーケットバリューの高さが伺える。

    メリット3:若くしてプロジェクトマネジメント経験が詰める

    PMOコンサルという立場でない限り、プロジェクトマネジメント経験を詰めるのはシニアコンサル/アソシエイトの職位になる。

    年齢的には30歳手前から30代半ばという形になる。

    しかしPMOコンサルであれば20代半ばから20代後半あたりでプロジェクトマネジメント経験を詰めるというメリットがあるのだ。

    メリット4:クライアントと密にコミュニケーションを取ることができる

    PMOコンサルという立場でない限り、基本的にクライアントとコミュニケーションは上位者が取るため、ジュニアランクでは密にコミュニケーションを取る機会はほとんどない。

    一方でコンサルはクライアントと対話できるようになって初めて一人前と言われるように、コミュニケーション機会が後ろに倒れれば倒れるほど一人前になるのが遅くなってしまう。

    そうした中で早期にクライアントとコミュニケーションを取れることはPMOコンサルのメリットと言える。

    PMOコンサルキャリアで気をつけるべき点

    一方で、PMOコンサルになる上で気をつけるべきポイントとしては以下の2点がある。

    • PMOコンサルは転職でアピールにしにくい
    • PMOコンサルで得られる経験は横展しにくい

    PMOコンサルは転職でアピールにしにくい

    PMOコンサルは「つまらない」という印象が独り歩きしてしまっているが、実際に転職市場でもアピールしにくいという特徴がある。

    明確なスキルとして語りにくいというのもその一因である。

    実際PMOコンサルの腕の見せ所として語れる部分は、プロジェクトメンバーの人間性や関係性、プロジェクトの状況などを踏まえた"痒いところに手が届く"仕事であり、かなり個別具体の話になってしまうため、初対面の相手には受けにくい。

    PMOコンサルで得られる経験は横展しにくい

    PMOコンサルからのネクストキャリアを考えた時に、ただ「プロジェクトマネジメントができます」ではなかなか横展しずらいという面がある。

    例えば、事業会社でプロジェクトマネジメントをするとなった場合に、当該領域における知識・経験の掛け合わせが必要になる。

    もちろん事業会社にプロジェクトマネジメントというロールで転職することも可能だが、どうしてもディスカウントされた評価での転職となってしまうことが多い。

    PMOコンサルのキャリアパス

    PMOコンサルタントのキャリアパスとして、あくまで一例ではあるが以下のようなものがあげられる。

    • コンサルティングファームでハイレベルなポジションにつく
    • 独立してフリーランスPMO

      PMOコンサルを軸足にコンサルティングファームでコンサルタントとしてのキャリアアップを目指すか、フリーランスとして自身が望むPMO案件にアサインし、自由度の高い働き方を選択する人が多い。

      PMOコンサルとして組織に属している以上、基本的に業界に特化したPMO案件にアサインされることはほとんどなく、個人の特性や知見を活かしたい人や自身が望むキャリヤが明確な人はフリーランスとして活動していく傾向にあるようだ。

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