ケース面接例題&解答:屋外看板広告会社の売上向上

本シリーズはコンサル転職に際して出題される「ケース面接」の例題及び解答集である。
実際にケース面接を突破したことのある現役コンサルタントがケース問題を解き、回答や考え方をお見せする。

本記事では、「回答そのもの」に加え、その回答を導く為の「考え方」にも比重をおいて解説する。

中野周平
解答者

中野周平

欧州系戦略コンサルタントティングファームのローランド・ベルガー入社→フリーコンサルにて大小様々なファームの案件を経験→Webマーケティング系ベンチャーを2社を経験。現在は株式会社Flow Group代表取締役、とあるスタートアップのCMOを兼任。

コンサルマン
監修者

コンサルマン

コンサルキャリア編集部。コンサルキャリアおよびコンサルマンは株式会社Flow Groupが運営しています。Twitterフォロワー1.9万人

問題

お題:屋外看板広告会社の売上向上施策
想定の考える時間:10分
難易度:★★★
種類タグ:売上向上、BtoB、営業系

回答

(ⅰ)前提整理

今回のお題を解く上で、以下のような前提を置いた(実際の面接では面接官へ確認が必要)

  • 対象:高速道路を専門とする都内の屋外看板広告会社
  • マネタイズ方法:売上は広告主からもらうBtoBモデル
  • 施策範囲:既存事業での売上向上のみを考えることとする(あくまでも看板広告事業の売上向上を考える)
  • 事業モデル:看板は「自社保有」と「看板オーナーからの賃貸」の2種類。

1つ目の前提はあくまでも自分の中でイメージしやすくする為の前提ではあるが、ケースを解く上で重要なのは後者3点。
特にBtoBビジネスの場合はマネタイズ方法が不明瞭な場合が多いので、面接の中でも確認しておきたい。

Key Point
「マネタイズ方法」「施策範囲」「事業モデル」を明確にしておく。

(ⅱ)現状分析/売上分解

まずはじめに看板広告事業の売上を以下のように分解しました↓

屋外看板広告会社の売上分解_ケース面接解答

売上は「既存看板」と、今後新規に契約していく「新規看板」に分けることが出来ます。
(今回、これをファーストカットにした理由は後々わかります)

既存看板とは、既にこの会社が保有もしくは看板オーナーから借りている看板を指します。
新規看板とは、将来的にこの会社が保有・借りる看板を指します。

さらに既存看板の売上を「顧客数(広告主数)」と「単価」に分け、顧客数も「訪問回数」と「成約率」に分けます。
(看板広告事業はBtoB事業であり、営業担当が広告主へ訪問し、契約を取ってくるような事業と推察)

(ⅲ)課題特定

次に、この会社の課題を仮説ベースで定義/特定します。

  • 都内における新規看板数を横ばい傾向で、看板オーナーと新規に契約するのは非常に難易度が高いと判断し、「新規看板からの売上」は検討対象外とする
  • 商材の特性上、広告主向けの営業活動の訪問回数が課題ではない(BtoC商材のように数をこなす営業ではなく、狙った広告主を攻略する営業が重要)と判断
  • 逆説的に課題としては、狙った広告主を落とす為の「成約率」と「顧客当りの単価」と定義

上記のロジックで今回の課題は「(対広告主営業)の成約率」と「広告主当りの単価」と特定し、それぞれに対して施策を考えていく。

屋外看板広告会社の課題特定_ケース面接解答

(ⅳ)施策出し

課題が特定できたら次に施策案を出していきます。以下の5つの施策を考えつきました。

成約率の向上

a. インバウンド型営業チャネルの構築:自社でアウトバウンド的に営業をするのではなく、インバウンド的に問い合わせが来るような施策を実施(例)看板広告主比較サイトへの出稿、看板へQRコードを設置、自社HPの注力

b. 営業担当へのインセンティブ付与:営業担当へのインセンティブを付与することで、モチベーションを高める施策

c. 広告地域に適合した企業リストの作成:そもそも現在営業している企業群を見直し、各看板が設置されているエリアや地域特性を鑑みて営業リストを作成する施策(例)サッカースタジアム近くの看板→スポーツメーカーへ営業

d. 看板実績の集計・データベース化:新規の広告主の獲得には「この看板に広告を出すことで投資回収が出来て売上が上がる」ということを説明しなければならない。各看板の実績を集計し、データとして溜めておくことで、より成約率を高めることが出来る

単価向上

e. デザイナー連携により広告効果増:一般的なデザインの看板広告ではなく、より視認性・話題性に優れた広告を出せるデザイン機能を持つことで、広告単価を向上させる施策

(ⅴ)施策評価/結論

最終的には以下のように施策を評価し、結論を出した。

a. インバウンド型営業チャネルの構築:既にやっていない場合、実現性も高く、効果が高い。ただしやや効果が出るまでに時間がかかりそう。
b. 営業担当へのインセンティブ付与:コストや既存の人事制度との兼ね合いもあり、実現性が低い
c. 広告地域に適合した企業リストの作成:実現性が高い、効果については一定ありそう
d. 看板実績の集計・データベース化:そもそも看板実績を測定するのが非常に難しく、実現性が低い
e. デザイナー連携により広告効果増:実現性も高く、効果が高い

「この屋外看板広告会社の売上向上施策としては、まずは短期的に実現性が高く効果が高そうなc. 広告地域に適合した企業リストの作成とe. デザイナー連携により広告効果増を行い、長期的な目線でa. インバウンド型営業チャネルの構築に投資をしていくべき」

ケース面接での想定質問・ディスカッション

実際のケース面接は以下のような質問やディスカッションが想定される↓

  • 新規看板を増やしていく為にはどのような施策が考えられるか?
  • 看板単価を上げていく施策としては他にどのような施策が考えられるか?
  • 既に既存看板は既存広告主との契約があると思うが、その点はどのように考えたか?

あとがき

今回のBtoBケース問題の場合は、看板オーナー→看板会社→広告主、という構造があり、その点を上手く理解できないと解けない。

日常生活の中でイメージしにくい事業や会社を対象とするケース問題については、「事業理解」に時間を使うのがコツとなる。

より詳しく知りたい方は、【ケース面接対策】屋外看板広告の売上向上を考えよ

また、本記事(フェルミ推定・ケース対策)に関するご質問はコメント・Twitter・問い合わせフォームにて受け付けているため、お気軽にご質問いただきたい。

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