ケース面接例題&解答:マクドナルド店舗の売上向上(考え方編)

本シリーズはコンサル転職に際して出題される「ケース面接」の例題及び解答集である。
実際にケース面接を突破したことのある現役コンサルタントがケース問題を解き、回答や考え方をお見せする。

本記事では、「回答そのもの」に加え、その回答を導く為の「考え方」にも比重をおいて解説する。

中野周平
解答者

中野周平

欧州系戦略コンサルタントティングファームのローランド・ベルガー入社→フリーコンサルにて大小様々なファームの案件を経験→Webマーケティング系ベンチャーを2社を経験。現在は株式会社Flow Group代表取締役、とあるスタートアップのCMOを兼任。

コンサルマン
監修者

コンサルマン

コンサルキャリア編集部。コンサルキャリアおよびコンサルマンは株式会社Flow Groupが運営しています。Twitterフォロワー1.9万人

問題

お題:マクドナルドの売上を上げるには?
考える時間:5分
難易度:★
想定面接場面:戦略コンサル、1次面接

解答及び考え方

(i)前提のすり合わせ

お題だけでは売上の主体が不明確な為、まずはじめに、誰の売上なのか?(主体)の確認を行います。(マクドナルド全体なのか?マクドナルドの店舗なのか?、等)

実際の面接の場面では面接官に聞きますが、今回のケースでは、とあるマクドナルドの1店舗の売上の向上施策を考える、という風に自分で定義しました。

具体性を持ってケースを解きたい為、頭の中で以下の地元にあるマクドナルドXYZ店を思い浮かべました。

前提

  • 本問題ではマグドナルド全体ではなく個別店舗を対象とする
  • その店舗はマクドナルドXYZ店と仮定する

前提のすり合わせイメージ_ケース面接解法

(ii)仮説出し

次に30秒~1分程度で「最終的な施策」を仮説/ブレストベースで考えます。

  • 自分がXYZ店オーナーだったら?
  • 自分がXYZ店にコンサルティングをするならばどんな施策をやってみるか?

を、考えてみます。

その際のコツとして、「現状分析→施策」の順番で考えるのがおすすめです。"現状が〇〇だから△△に施策が考えれる"という形で頭を巡らせます。

そうすると以下のような現状課題と施策仮説が浮かびました。

仮説

  • 課題/施策仮説①:大道路沿い→車で来る人が多い→見逃している人が多そう→大きな看板の設置
  • 課題/施策仮説②:近くに公園やサッカー場が多い→観戦需要が多い→サッカー観戦セットの販売

もっと他に仮説は考えなくてもいいのか?と思われる方もいるかと思いますが、短い時間しかないケース対策だからこそ、最もらしい・納得感のある仮説が出来上がったら、それで進むのが吉です。

Point
本ステップは多くのケース対策本/コンテンツではあまり解説されていない、解答を出す為の「思考」のステップとなります。多くのケース対策本/コンテンツでは、本ステップを飛ばし「売上の分解」から入る場合が多いですが、そのような形で解いてしまうと、①同じような解答が乱立してしまう、②実態とかけ離れた施策しか出てこない、為、面接においても高い評価を得にくくなってしまいます。

施策仮説の思考プロセス_ケース面接解法

(iii)売上分解(≒抽象化、構造化)

次に、考えた施策仮説を"抽象化”しながら、売上分解を行っていきます。(別の言葉を使うと「構造化」)

なぜ構造化する必要があるのか?「網羅感を担保し、納得感のある答えを出す為」に必要になります。

先程の施策仮説から"逆算して"マクドナルドXYZ店の売上を分解していきます。

実際に私は以下のように整理をしました。

売上分解プロセス_ケース面接解法

(ⅳ)施策出し

売上分解については一旦最低限のMECEで出せたのを確認したら、次のステップに続きます。

※最低限のMECE:深さはともかくとして、モレなくダブりなく整理できている状態

次に現状ある施策仮説に加え、それぞれ分解した項目に対しての施策を考えていきます。

客数アップ

まず客数を伸ばす施策を考えていきます。

客数はすでにチャネル別に分解していますが、施策出しもある程度網羅的に出したい、と思ったのでここに時間を使い、別のフレームワークをかけ合わせます。

今回、活用したフレームワームはAIDMAです。
(ただし、施策が大きく変わらなそうな点から、認知→興味/関心/購入→リピート、に変形して使います)

フレームを作ってからは、ある程度アイディアベースで施策を記入していきます↓

元々考えていた「看板」施策もこのフレームワークに入れていきます。

Comment
振り返ると、新規購入、リピート、というフレームでも良かったかなぁと思います。

客数関連施策の整理_ケース面接解答

客単価アップ

次に客単価を伸ばす施策を考えます。

客単価については、「商品1個当り単価増」と「1度当り商品商品数」の2つの指標に分けて時間をあまりかけずに施策を考えます。(特に商品単価アップについては、一店舗として実行できるような施策ではない為、今回のケースでは優先度を下げて検討(と、面接官に伝えられる為、ここに時間を割くのを辞めました))

以下のような施策案が出ます。

元々考えていた「サッカー観戦セット」施策もここに入れます。

客単価関連施策整理_ケース面接解答

客数施策と客単価施策がそれぞれ以下のような形で抽出されました。

施策の整理_ケース面接解答

(ⅴ)施策の一覧化&評価

いよいよケースも最後のステップです。

最後に施策にA~Fのラベルを付け、一覧化。
そして、優先度が高い、実行すべき施策を抽出する為に、施策の評価を行っていきます。

評価軸については、コスト(C)とインパクト(I)で評価をすることにしました。

評価は数値に落とし込み、各評価軸を1~3の数値で評価し、かけ合わせた数値で優先度をつけていきます。
※数値の大小は、感覚でつけつつ、ツッコまれたら一応回答ができるように評価付けを行います。

最終的には以下の優先度で施策を提案していきます。

施策優先度:D>A、C、F<E<B

「まずは手っ取り早くまだ登録していないデリバリーアプリへ登録し、客数増加を狙います。次にコストが低く、インパクトの高いMEO強化(Webマーケティング強化)やドライブスルー客の認知課題を解決する看板の設置、客単価を向上させる為に店独自のセット商品を販売していく施策を実行すべき、と考えています」

施策の評価_ケース面接解答

最終的な手書きアウトプット

最終的には以下のような手書きのメモが完成↓

ケース面接での想定質問・ディスカッション

改めて、文字に起こして「自分が面接官だったら」どんな点に突っ込むか?を以下に整理しておきます。

  • 施策の評価軸は他にどのようなものがあるか?
  • 他にどのような課題仮説が考えれるか?本当に課題はこれしかないのか?
  • 今回、客数の分解は「購入チャネル別」で考えたが、他にどのような分解方法が考えられるか?

あとがき

今回は、回答そのものだけでなく、考え方のプロセスを中心に解説したが、いかがでしたでしょうか?

今回のポイントは「仮説を出して、そこから抽象化する」という点です。

以上、参考になりましたら幸いです。

マーケティングに関する推定を行う際には、ユーザー理解が不可欠です。カスタマージャーニーマップを理解したい方は下記記事をご参考ください。

参考:カスタマージャーニーマップとは?目的や作り方、注意点など解説!| Digmar

また、本記事(フェルミ推定・ケース対策)に関するご質問はコメントにて受け付けております。お気軽にご質問ください。

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