コンサルの『質』は本当に下がっているのか?

コンサル市場の拡大に伴い、業界内外から「コンサルの質が低下している」と言われ、転職に二の足を踏む方が一定数いらっしゃいます。

実際に、弊社に転職相談をされる方で、程度の差はあれ「コンサルの質の低下」を気にされている方は非常に多いです。

本記事では実際にコンサルファームでの経験やその後のポストコンサル転職経験、また現在コンサル特化の転職支援をしている経験を踏まえて、「コンサルの質の低下」の実態について解説したいと思います。

横山 諒平
監修者

Flow Group代表取締役/コンサルタント

株式会社Flow Group代表取締役。慶應義塾大学経済学部卒業。
大学卒業後はデロイト トーマツ コンサルティング合同会社に入社し、製造業のクライアントを中心に中期経営戦略の策定やM&A実行支援、新規事業立案・立ち上げ支援に従事。
その後、株式会社リクルートライフスタイル(現株式会社リクルート)における事業戦略・予算策定、事業開発に従事。フリーコンサルとして独立後、2019年8月株式会社Flow Groupを創業。

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執筆者

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コンサルキャリア編集部。コンサルキャリアおよびコンサルマンは株式会社Flow Groupが運営しています。Twitterフォロワー1.9万人

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質が下がっていると言われる背景

ここでは、まず「コンサルの質が下がっている」と言われる背景について解説したいと思います。

国内のコンサルティング市場は急成長市場の一つであり、ITコンサル領域を中心に市場規模は年々拡大しています。

実際、IDC Japanが発表している「国内のコンサルティングサービス市場」を見ると、2020年には8,623億円だった市場が、2025年には1兆2,551億円に拡大することが見込まれています。

コンサル市場規模
出所:国内コンサルティングサービス市場は2025年に1兆2,551億円- IDCが予測

もう少し遡ると、2015年時点では6,463億円の市場規模(出所:2015年の国内コンサルティングサービス市場は前年比6.3%増の6463億円に―IDC)であり、2015年から2025年の10年間で市場規模が2倍になる形となっています。

当然、コンサルティングビジネスは人月商売であるため、市場規模(=各社売上)が拡大するためには、コンサルタントの数もそれに合わせて増えていくことになります。

例えば、国内で最大規模を誇るアクセンチュアの人員数は2014年を境に急増しており、約6,000人だった従業員数は、2021年時点で18,000人規模に到達しています。

アクセンチュア従業員推移
出所:「2桁あった退職率が半減」アクセンチュアが"体力勝負&男性中心"を改めた結果

ちなみに従業員数が18,000人規模の企業は国内上場企業と比較すると170-180番目程度であり、これまで"少数精鋭"というイメージがあったコンサルティングファームも気付けば国内大手企業と並ぶ規模になっていることに驚きます。

上場企業従業員数
出所:最新!これが正社員数の多いトップ500社だ

具体的な社名で見てみると、アクセンチュアは国内だけで絞っても住友林業や三井不動産よりも巨大な組織となっています。

ここまで急拡大すると当然ながら採用基準を下げざるを得ず、またこれまでのような育成を行うことも難しいことから、「コンサルの質が低下している」と言われるようになっているのではと考えられます。

質の低下はずっと言われ続けている

一方で、「コンサルの質の低下」というのはもう随分前から言われていることでもあります。

実際、筆者がコンサル業界に入った2014年時点(今から約10年前)でも同じように「コンサルの質の低下」が叫ばれていました。

また、歴史を遡ると例えば1960年代後半でも「コンサルの質の低下」が叫ばれていたと紹介されています。(書籍『マッキンゼー 世界の経済・政治・軍事を動かす巨大コンサルティング・ファームの秘密』より)

つまり、それらの言葉を信じるとコンサルは誕生以来ずっと質が低下し続けていることになります。

しかしコンサルが誕生以来ずっと質が低下し続けているというのは、このコンサル市場の拡大を踏まえると現実的に考えにくいです。

ではなぜ質の低下がこれほどまでに叫ばれているかというと、筆者としては質の"変化"を"低下"と表現してしまっていることが要因だと考えています。

質の"低下"ではなく"変化"

そもそもコンサルティングの歴史を遡ると、今とは全く異なるものであったことが分かります。

現在主流となっているファクトベース・コンサルティング(データ等の定量化された指標に基づいて科学的なアドバイスを行うコンサルティング)の誕生以前は、自身の経営経験に基づく経営アドバイスを行うことがコンサルティング(グレイヘア・コンサルティング)とされていました。

しかし、経営コンサルティング産業の父と言われ、マッキンゼーの中興の祖でもあるマービン・バウワーが、MBAを卒業した若手を起用したファクトベース・コンサルティングを作ったことで、コンサルティングスタイルは大きく変化しました。

当初は所謂「戦略」がコンサルティングテーマであったところから、「業務・IT」に関するコンサルティングニーズも拡大していき、それに合わせて最適なコンサルタント像も変化していきました。

さらに直近では、クライアントを取り巻く環境変化のスピードが急速に早まっていること、またアドバイスが実行されることにこそ価値があることを踏まえて、多くのファームがアドバイスに留まらず実行支援にまで踏み込む形となっています。

かなり簡略化した説明ではありますが、このようにコンサルティングの質は時間と共に大きく変化しています。

グレイヘア・コンサルティングをしていた人たちからすれば、経営経験のない若者がファクトベースでコンサルティングをすることが質の低下と写っているかもしれません。

これまで切れ味のあるアドバイスのみで対価をもらっていたコンサルタントからすれば、実行支援という形で対価をもらうことが質の低下と写っているかもしれません。

しかし、これらはクライアントのニーズに合わせてコンサルファームおよびコンサルサービスが変化したというだけであり、コンサルタントの質が"低下"したのではなく、"変化"であると思います。

さいごに

本記事では、実際にコンサルファームでの経験やその後のポストコンサル転職経験、また現在コンサル特化の転職支援をしている経験を踏まえて、「コンサルの質の低下」の実態についてご紹介しました。

Flow Groupでは、コンサルファームでの経験やその後のポストコンサル転職経験を持つエージェントのみが、皆様の転職をご支援しております。

実体験があるからこそ、業界やキャリアのことについて解像度の高いアドバイスが可能になります。

ぜひコンサルというキャリアを考える上では、Flow Groupの無料相談にお申し込みください。

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