実例解答から学ぶケース面接の考え方:解答パターンを学ぶ編

本記事では、「スターバックスの売上向上」というケース面接の"あるある問題"を取り上げ、現役コンサルが実際に解いた異なる4種類の解答をお見せする。(空港内、駅構内、地元商店街、オフィスビル内と4種類のスタバの売上向上ケース解答)

外資系の戦略コンサル出身の現役コンサルタントが自ら解答している為、どれも面接突破には十分な解答となっている。

1つのお題に対して複数の解答パターンを学ぶことで、ケース面接の頻出失敗である「機械的な解答」にならず、個別お題に対して「リアルな解答」を出す為の勘所を学んで頂きたい。

本記事は以下のような読者を対象とする↓

対象者

  • ケース面接対策の解答パターンの引き出しを増やしたいと思っている方
  • ケースの解答が機械的になってしまう方
  • ケース面接対策用の練習問題がもっとほしいと思っている方
中野周平
執筆者

中野周平

欧州系戦略コンサルタントティングファームのローランド・ベルガー入社→フリーコンサルにて大小様々なファームの案件を経験→Webマーケティング系ベンチャーを2社を経験。現在は株式会社Flow Group代表取締役、とあるスタートアップのCMOを兼任。

コンサルマン
監修者

コンサルマン

コンサルキャリア編集部。コンサルキャリアおよびコンサルマンは株式会社Flow Groupが運営しています。Twitterフォロワー1.9万人

ケース解答実例①スタバの売上向上施策~空港内店舗編~

前提確認

今回のお題は以下のような前提で考えていく↓

出発カウンター内にあるスタバ:チェックインが終了し「これから飛行機に乗る人」が利用する場にあるスタバを想定。
利用者は一般消費者:一部空港内スタッフ利用もあり得るが利用者に比べると少数の為、今回は検討対象外。

現状分析

本スタバの売上を以下のように分解↓

スタバの売上=(A)客単価×(B)客数
客数=(B-1)出発ゲート利用者数×(B-2)カフェ選択率×(B-3)スタバ選択率

課題特定/施策スコープ

今回は、(B-2)カフェ選択率、(B-3)スタバ選択率 を改善する施策を考えていくこととする。

施策スコープの理由付け

  • (B-1)出発ゲート利用者数はそもそもいじることが難しい
  • 空港内にはカフェの周りのベンチで待機している人が多く、この「ベンチ選択率」を下げ(B-2)カフェ選択率を高めることが出来れば売上貢献が大きい
  • ゲート内にはスタバ以外にもカフェがあり、(B-3)スタバ選択率を高めることによる売上貢献も大きい
  • (A)客単価については検討余地あるが既にフードメニュー等も充実しており、増加幅は限定的と考えている

空港内スタバの課題特定&施策スコープ

施策出し

選択率を向上させる為の施策をAIDMAフレームに当てはめて考えた↓

※カフェ選択率、スタバ選択率は類似概念の為、同じフレームワークの中で施策を出していく

認知

カフェ/スタバ認知を向上させる為の施策は、空港内と空港外に分けて整理↓

  • 空港外:(a)ガイドブック/Webメディアへの出稿
  • 空港内:(b)空港内看板設置

興味・関心

カフェ/スタバに対する興味・関心を向上させる為の施策は、プロダクトとサービスに分けて整理↓

  • Product:(c)限定お土産の開発・販売、(d)飛行機内ニーズ対応ドリンクの開発・販売(安眠、むくみ対策ドリンク)
  • Service:(e)残外貨のスタバカード入金対応、(f)高速充電口席、(g)手荷物預かりサービス

行動

スタバを認知していて興味関心もあるが行動出来ていないという層のボトルネックが何かを考えた際に「利用ゲートの遠さ」や「飛行機の時間が気になる」という点と考え、それに対策する為に以下の施策を挙げた↓

  • (h)店内にフライト情報ディスプレイ設置(利用ゲートが遠いけどスタバを使いたい顧客が自分のフライトを確認出来る)

空港内スタバの施策整理

施策評価

※本記事では省略しますが、実際のケースでは施策を評価し、結論を出す。

利用したフレームワーク

  • 客数×客単価
  • 利用者数×選択率
  • AIDMA
  • 内・外
  • Product・Service

ケース解答実例②スタバの売上向上施策~駅構内店舗編~

前提確認

今回のお題は以下のような前提で考えていく↓

都内ターミナル駅内店舗:改札内に併設された都内の店舗を想定。席数は通常店舗より少ない。
テイクアウト売上比率が高い:駅構内という立地上、テイクアウトの売上比率が高い。

現状分析

本スタバの売上を時間別×販売形態別で分類をすると、以下のような整理/セグメンテーションが可能

時間別:ラッシュ時、平常時
販売形態:店内、テイクアウト

本店舗は駅構内に位置し、最も売上高が大きいのはラッシュ時。中でもテイクアウト売上比率が多い(と過程)。

駅内スタバの売上セグメンテーション

課題特定/施策スコープ

売上に対してインパクトが最も大きいラッシュ時×テイクアウト売上に着目し、改善施策を考えていく。

なお、ラッシュ時×テイクアウト売上は以下のように分解可能↓

スタバの売上=(A)客単価×(B)客数
客数=(B-1)駅利用者数×(B-2)スタバ利用意欲率×(1-(B-3)スルー率)

※スタバ利用意欲率とは、本店舗を「利用したい!」と思ってもらえる率を指す
※スルー率とは、スタバへの利用意欲が高い利用者が何かしらの理由により利用をスルーする人の率と定義

特に(B-2)スタバ利用意欲率と(B-3)スルー率の改善にスコープを絞り施策を提案する。

駅内スタバの課題特定&施策スコープ

なぜスルー率を計算式に含めたか?

本店舗はラッシュの時間になると行列が出来、一定の割合で列に並ぼうとするが諦める人や興味を示すが列があるから購入を控える層が存在している。

本店舗の売上を構成する大きな要素であると過程し、計算式に含めた。

施策スコープの理由付け

  • ラッシュ時=午前中であり、大きな客単価増は望めないと考え、(A)客単価よりも(B)客数を優先
  • (B-1)駅利用者数は今回の主体である店舗では影響を与えにくい要素でありスコープ対象外とした
  • 残りの(B-2)スタバ利用意欲率、(B-3)スルー率を施策スコープとして定義

施策出し

「スタバ利用意欲率」を改善する施策については、Product・Serviceで整理・抽出↓

  • Product:(a)朝ごはんメニューの充実(日替わりメニュー等)
  • Service:(b)帰宅時リフィル対応、(c)リピーター割引

「スルー率」の主要因は「混雑」と過程し、スルー率の改善施策=混雑緩和施策をオンライン・オフラインで整理・抽出↓

  • オフライン:(d)ラッシュ時のアルバイト人員増員、(e)臨時レジ/カウンターの設置、(f)電子決済対応幅を広げる、(g)ラッシュ時の手間かかるメニュー廃止
  • オンライン:(h)予約アプリ導入

駅内スタバ施策整理

施策評価

※本記事では省略しますが、実際のケースでは施策を評価し、結論を出す。

利用したフレームワーク

  • 時間帯別(ラッシュ時・平常時)
  • 販売形態別(店内・テイクアウト)
  • 意欲率×選択率
  • プロダクト・サービス
  • Product・Service

ケース解答実例③スタバの売上向上施策~地元商店街店舗編

前提確認

今回のお題は以下のような前提で考えていく↓

商店街にある駅前路面店スタバ:東京郊外にある商店街の駅前店舗を想定。
地元顧客の利用者が中心:商圏は狭く、利用者は地元顧客が中心。

現状分析

本スタバの売上を顧客種類×年齢層別で分類をすると、以下のような整理/セグメンテーションが可能

顧客種類:新規客、リピーター客
年齢層別:若中年層(~30代)、中高齢層(40代~)

本スタバは現状、若年層の売上比率が高く、中年・高齢層の売上比率が低い(と想定)
リピート率については若中年層も中高齢層も同程度(と想定)

商店街スタバの売上セグメンテーション

課題特定/施策スコープ

本店舗はスタバと馴染みの深い若~中年層については新規・リピートともに売上を上げることが出来ている。一方で、地域人口で最も多い中~高齢層については、売上比率が低い。

一方で、リピート率については同程度ということもあり、今回は「中高齢層の新規客」を増やすのが最も優先度が高いと考えた。

商店街スタバの課題特定・施策スコープ①

「中高齢層の新規客」を増やしていく中での課題を、本スタバを利用するまでの意思決定プロセス(AIDMAフレームワーク)別に見ていくと、「行動フェーズ」において課題がありそうと仮説をおいた↓

  • 本スタバは駅前にあり、認知フェーズについては課題ではなさそう
  • 親の意見などを思い返すと、スタバを利用してみたいという中高齢層は多いと過程し、興味・関心フェーズについても課題感は少ないと仮定
  • 一方でスタバの特性上「若者が多く入りにくい」「注文方法がわからない」等、中高齢層のスタバ利用においては行動フェーズにおける課題感が大きいと考えられる

本ケースでは、「中高齢層の新規客」の売上を伸ばすため、現状課題感が大きい(と想定される)行動フェーズの課題に対応する施策を考えることにする。

商店街スタバの課題特定・施策スコープ②

施策出し

行動フェーズにおける「入りにくさ」を解消する施策は、心理的・物理的(入りにくい)というフレームで整理↓

  • 心理的:
    • (a)利用可能用途を外の黒板に書いておく(例)ママ会、お買い物の休憩
    • (b)注文しやすいような初心者向けメニューの用意 (例)注文ガイド付き、老眼対策用に大きな文字
    • (c)親子で来たら割引キャンペーン(親子でまずは来てもらい、まずはサービスを経験してもらうことで、友人・個人でも来やすいようにする為の施策)
  • 物理的:
    • (d)ドアを開いたままにしておく
    • (e)店内の様子が見えるようにする (例)一面ガラス窓

商店街スタバの施策整理

施策評価

※本記事では省略しますが、実際のケースでは施策を評価し、結論を出す。

利用したフレームワーク

  • 顧客種類別(新規・リピーター)
  • 年齢層別(若中年層・中高齢層)※造語です
  • AIDMA
  • 心理的・物理的

ケース解答実例④スタバの売上向上施策~オフィスビル内店舗編

前提確認

今回のお題は以下のような前提で考えていく↓

オフィスビル内にあるスタバ店舗:オフィスビルの1階に構える店舗を想定
主な利用者はオフィスワーカー:このオフィスビルにテナントを構える会社の社員さんが主に利用

現状分析

本スタバの売上を平日・休日×時間帯別で分類し、以下のような整理/セグメンテーションが可能↓

平日・休日:平日・休日で大きく顧客セグメント・売上が異なる為、切り出して考える
時間帯別:就業前、就業中、就業後

現状は平日における就業前、就業後における売上が大きく、平日×就業中、休日は売上が思うように作れていない状態(と推察)。

オフィスビル内スタバの売上セグメンテーション

課題特定/施策スコープ

本店舗においてテコ入れすべき売上セグメントは「平日×就業中」と「休日」の2つの時間と仮定し、施策もこれらの時間帯に対してのものを提案する。

理由は以下の通り

施策スコープの理由付け

  • 平日×就業前、就業後の客数については、店内・テイクアウト共に高回転で売上を作れており、改善余地が少ない。客単価については改善余地は考えられるものの、既にフードメニュー等も充実している関係上、インパクトのある施策が想定し辛い。
  • 一方で、平日×就業中、休日については人員も余っており、回転率もまだまだ低い状態。本時間帯にテコ入れをすることで、既存アセットを活用しながら売上創出が可能となる。まずは優先的に「客数を増やす施策」を行っていく。

オフィスビル内スタバの課題特定&施策スコープ

施策出し

(平日×就業中)

「平日×就業中」の客数を増やす施策については、対象をビル内顧客とビル外顧客で整理し抽出↓

  • ビル内顧客:(a)オフィスデリバリー(オフィス内顧客から注文を受け、デリバリーするビル内デリバリーサービス)
  • ビル外顧客:(b)ノマドワーカー向けスペース提供(ノマドワーカー向けに仕事がしやすい環境を整え、スペース貸しを行う)

(休日)

本店舗はオフィスビル内にある為、休日における交通量は非常に少ない。その為、店舗の前を通りふらっと入るような"その場来店"ではなく"指名来店"を増やす必要がある。

「休日の指名来店」を増やす施策を、休日のニーズ(遊び、学び)で整理し抽出↓

  • 遊び:(c)ボードゲームが遊べるサービス、(d)アート展を店内で開催
  • 学び:(e)セミナー・勉強会開催 (例)バリスタ勉強会の開催

オフィスビル内スタバの施策整理

施策評価

※本記事では省略しますが、実際のケースでは施策を評価し、結論を出す。

利用したフレームワーク

  • 平日・休日
  • 時間帯別(就業前、就業中、就業後)
  • ビル内・外
  • ふらっと来店・指名来店 ※造語です
  • 遊び・学び

まとめ

同じ問題に対して、異なる4つの回答を見てもらったが、以下の点を常に意識していただきたい↓

  • 同じ問題でも対象とする店舗や前提によって解答は大きく変わる
  • フレームワークを使うことが重要なのではなく、お題にあったフレームワークを選べることが重要

「動画で見たい!」という方はYoutubeTiktokにてケース対策動画を配信していますので参考下さい。

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