ケース面接例題&解答:年間献血量を増やすには?

本シリーズはコンサル転職に際して出題される「ケース面接」の例題及び解答集である。

実際にケース面接を突破したことのある現役コンサルタントがケース問題を解き、回答や考え方をお見せする。

本記事では、「回答そのもの」に加え、その回答を導く為の「考え方」にも比重をおいて解説する。

中野周平
解答者

中野周平

欧州系戦略コンサルタントティングファームのローランド・ベルガー入社→フリーコンサルにて大小様々なファームの案件を経験→Webマーケティング系ベンチャーを2社を経験。現在は株式会社Flow Group代表取締役、とあるスタートアップのCMOを兼任。

コンサルマン
監修者

コンサルマン

コンサルキャリア編集部。コンサルキャリアおよびコンサルマンは株式会社Flow Groupが運営しています。Twitterフォロワー1.9万人

問題

お題:年間献血量を増やすには
考える時間:10分
難易度:★★★
種類タグ:非ビジネス系、手書き回答

回答

前提確認

まずはじめに前提のすり合わせを行います。

特にケースにおけるポイントは、「このケースの主体は誰なのか?」という点なので、そこを明確にしていく必要があります。
※ここは本来は面接官と行いますが、形式上自分の中で定義を決めていきます

献血のケースで実際に私が悩んだのは、献血の運営主体は誰なのか?という点です。

献血業界に関する知見が少なく、献血の事業主体が誰か不明確でした(公共事業なので国や政府が管轄してる?)。

実際の面接では質問を行えばOKだと思います。

今回、私は、献血を管轄しているであろう「政府機関」を主体として定義し、特定店舗ではなく日本全体の献血量を増やす、という前提でケースを解いていくことにします。

  • 主体:政府(献血を管轄する政府機関)

(参考)手書きメモ

年間献血量問題の前提すり合わせ_ケース面接対策

現状分析

課題や施策の仮説がパッと思いつき辛いお題だった為、”献血量”をまずは分解することにしました。

献血量=人数✕1回当たり量✕1人当たり回数

献血量のブレークダウン・現状分析_ケース面接解法

(参考)手元メモ

年間献血量の現状分析_ケース面接対策

(ⅲ)課題の特定

次に今回のケースで対象とする課題の特定を行います。

具体的には、課題の大きさ/インパクトはどちらのほうが大きいか?という軸で解くべき課題に優先度をつけます。

ここでは仮説ベースで「献血可能量には上限があり、一人当たり量や回数を増やすよりも人数を増やすほうがインパクトが大きい」という仮説を置き、「献血量を増やす上での課題・ボトルネックは"献血人数"」として課題を絞り込みます。

もし仮に面接官に「なんでそう思ったの?」と聞かれたら答えられるようなストーリーは一応頭の片隅に入れつつ、次の作業に進みます。

この時点で、回数を増やす施策や量を増やす施策はスコープ外として頭の中から消しています。

献血量を増やす上での課題特定_ケース面接解法

(参考)手元メモ

年間献血量を増やす上での課題の特定_ケース面接対策

(ⅳ)施策出し

「人数を増やす」という課題にフォーカスすることに決めて(コンサル用語では"スコープを絞る"とも言う)、「人数を増やす」為の施策をどのような枠組み・フレームワークで出していく、かを考えます。

※なぜ「枠組み」が必要か?
網羅性を担保し、納得感を出す為に必要になります。

ここが今回かなり悩んだ点です。

いくつか整理のための枠組みを考えているのですが、いまいちどれもしっくりこず、時間を使ってしまったので、とりあえず、「物理的ハードルの解消」「心理的ハードルの解消」という形で整理をしていくことに決めます。

枠組みを作ったら、そこからはアイディアベースで施策を書き込んでいきます。

以下のようなアウトプットができます。

年間献血量を増やすための施策出し_ケース面接対策

時間が徐々に迫る中、「これって"インセンティブ増加”と”ストレス減少”で分けたほうがわかり易くないか?」と思い、急遽新たなフレームワークに施策を整理します。

  • インセンティブ増加
    • 金銭
    • その他
  • ストレス減少
    • 物理的
    • 心理的

年間献血量を増やす施策整理_ケース面接解答

最終的には以下のようなフレームワークに以下のように6つの施策をアイディアベースでブレストします。

献血人数を増やす為の施策整理_ケース面接解法

(ⅴ)施策評価

最後に施策にA~Fのラベルを付け、一覧化。
そして、優先度が高い、実行すべき施策を抽出する為に、施策の評価を行っていきます。

評価軸については、実現性(Feasibilty)とインパクト(Impact)で評価をすることにしました。

評価は数値に落とし込み、各評価軸を1~3の数値で評価し、かけ合わせた数値で優先度をつけていきます。
※数値の大小は、感覚でつけつつ、ツッコまれたら一応回答ができるように評価付けを行います。

献血人数を増やす為の施策優先度_ケース面接解法

(参考)手書きメモ

年間献血量を増やすための施策評価_ケース面接解答

最終的には以下のような形で施策を提案していきます。

「献血への”来店人数"を向上させる為の施策として、
基本的にはインセンティブ向上よりもストレス/ハードル解消施策のほうが有効と考えました。なぜならば、実現性の面でインセンティブ施策はハードルが高いと仮説ベースで感じた為です(補助金やクーポン等は他社・政府の巻き込みが必要となる)

ストレス/ハードル解消施策の中でも「省エネスペースの献血所を設置する」ことが最も優先度高いと考えました。イメージとしてはPCR検査センターのような形で各所に献血センターを設置することで、来店者の物理的ストレス/ハードルを下げる施策になります。理由としては、省スペースであれば比較的実現性が高く設置可能なことに加え、献血人数インパクトが大きいと感じたためです。

次点で、ネット予約等による時間的ストレス低減も実現性が高く献血人数インパクトが高いと考えました。」

ケース面接での想定質問・ディスカッション

実際の面接で聞かれそうな質問を以下に整理しておきます。ご自身の面接・ケース対策にご活用ください。

  • なぜ人数課題のほうが回数課題よりも優先度が高いと考えたのか?
  • 上記を実際に検証するならばどのようなデータが必要か?
  • 他にどのようなアプローチがありそうか?例)顧客セグメント別、等

あとがき・ケース対策中の方へのコメント

今回のケースは、初期の施策仮説の精度があまりよくなかったなぁと、個人的に感じました(汗)
最後まで良い仮説が思いつかず、最終的な答えもあまり納得行くものを出すことができませんでした。

なぜそうなってしまったかを考えると、それは自分が公共系事業に関する経験や前提知識がないこと、が大きな要因かと思います。

今回のケースをやってみてコンサル志望者の皆様にお伝えできるのは、「ケース対策をする際には自分があまり経験・なじみのない領域のケース対策を積極的にやっていくこと」ですね。

以上、参考になりましたら幸いです。

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