コンサルティングファーム各社が採用を拡大していることもあり、過去に例を見ないほどコンサル人気が急増している。

しかし、案件内容の守秘義務の観点から、外部にいるとコンサルティングファームの実態が見えにくく、コンサルティングファームについて理解できている人は少ない。

戦略系ファームと総合系ファームの違いを現役コンサルが解説

そこで本記事では、現役コンサルである筆者が現在の戦略系コンサルティングファームと総合系コンサルティングファームの違いについて解説する。

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主要コンサルティングファームの分類

戦略系コンサルティングファーム

マッキンゼー、BCG、ベイン、A.T.カーニー、Strategy&、ローランド・ベルガー、アーサー・D・リトル、ドリームインキュベータ、コーポレートディレクション

総合系コンサルティングファーム

アクセンチュア、デロイト、PwC、KPMG、EY、アビーム、日本IBM、ベイカレント

~2000年

これまでの歴史を辿ると、戦略系コンサルティングファームと総合系コンサルティングファームとでは扱う案件が大きく違っていた。

まだコンサルティング産業が初期のころ、マッキンゼーやBCG、ベインなどの戦略系コンサルティングファームは、CEOやそれに近いポジションの役職に対して、経営戦略や組織課題について提言を行っていた。

一方総合系コンサルティングファームのアクセンチュア、デロイト、PwC、KPMG、EYについては会計事務所を出自としており、主に監査クライアントに対して、財務会計に基づく提言を行っていた。

こうした総合系コンサルティングファームによる市場参入を受けて、それまでは世界最大のコンサルティングファームであったマッキンゼーは、規模の戦いを一度は放棄する。

1970年前後に急速に規模を拡大したことに対して、以下のような振り返りを行っている。

この会社には本来そうあるべき強さをそなえたパートナーの一団がいないことに気づいた。
パートナーになるべきでなかった多くの人物を選び、ろくでもない仕事をするようになった。

『マッキンゼー 世界の経済・政治・軍事を動かす巨大コンサルティング・ファームの秘密』

ところが、1990年前後にはERP導入支援の市場が急拡大し、ITコンサルティングという新たな金脈を見つけた総合系コンサルティングファームに対して、何等かの手段を講じる必要性に駆られた。

そこで、マッキンゼーはITコンサルティングファームICGを買収、A.T.カーニーはITサービス大手のEDSの傘下に入り、戦略コンサルとITコンサルの融合を図ることになる。

しかし、CEOやそれに近いポジションの役職に対して、経営戦略や組織課題について提言してきた戦略系コンサルティングファームと、ITコンサルティングを手掛ける企業の融合はあまりにも難易度が高く、両社の取り組みは失敗に終わっている。

そうした背景からか、急速な規模追わないファームとそうでないファームに分かれ、前者はより単価の高い戦略系案件を手掛けることに注力し、後者はITコンサルティングを始めとした幅広いサービスを展開し、成長を加速させていった。

2001年~2018年

拡大する市場をうまく取り込めた総合系コンサルティングファームは、更に勢力を拡大し、徐々に戦略系コンサルティングファームの領域を侵食していった。

そして、総合系コンサルティングファームが戦略系コンサルティングファームを買収するニュースが話題を集めた。

デロイトによるMonitor Groupの買収と、PwCによるStrategy&(旧ブーズ・アンド・カンパニー)の買収である。

この頃には両陣営はお互いを意識したコメントを残している。

デロイトとPwCの戦略コンサルティング部門のトップは「マッキンゼー、BCG、ベインとは日常的に競合しているし、将来的にはさらにそうなる」と回答。一方ベインのトップは「BIG4コンサルファームとの競争は過去数年あるにはあったが、それはほんの数%だ」と話している

The Economist『To the brainy, the spoils

実際、この頃から戦略系コンサルティングファームの多くが、総合系コンサルティングファームと同様にサービスラインや採用数の拡大を行っており、マッキンゼーやBCGも、アクセンチュアやデロイトに追随する形でデジタル組織の立ち上げを行っている。

その際、総合系コンサルティングファームから多くの人材を引き抜いたことは有名な話である。

逆にサービスラインの拡大を行わなかった戦略系コンサルティングファームは、一昔前は高いプレゼンスを確立していたものの、今では衰弱しているとの噂も流れている。

2019年~

では現在戦略系コンサルティングファームと総合系コンサルティングファームというカテゴライズが無意味かと言うと、決してそうではない。

たしかに「戦略系コンサルティングファーム」と言いつつ、総合的にサービスを提供しているため、戦略系という名称と実際に手掛けているサービスラインは一致はしていない。

総合系コンサルティングファームもSAP導入支援という次の金脈を見つけ、更なるサービスラインの拡大と採用数拡大を行っているため、総合系という枠を超えているようにも感じる。

しかしながら、戦略系コンサルティングファームと総合系コンサルティングファームの間には展開しているサービスラインの差異や、それに伴う所属する人材の違いがあるという点は疑問を持つ人は少ないだろう。

まとめ

コンサルティングファームは自分たちの提言とそれをまとめた資料で数千万円の報酬を得てきた企業である。

それは、クライアントが保有していない知見やノウハウ、高度な分析スキル、深い洞察力によって正当化されてきたが、その根底にあるのは「自分たちのやっていることは価値がある」というブランディングである。

それは、採用においても存分に発揮されており、しばし現実との乖離が発生することがある。

コンサルへの転職を検討されている方にとって、本記事が参考になれば幸いである。

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