コンサルファームの門をくぐることを許された人たちは、学歴も高く、地頭も良い、所謂エリートである。
そうした環境の中で勝ち抜く、成長が早いジュニアコンサルタントが持つ共通点について、実体験を踏まえて徹底解説していく。
本記事を執筆する上では、より多面的に成長が早いジュニアコンサルタントが持つ共通点を解説するために、複数ファームの現役コンサルタントに実際にインタビューを行っている。
- コンサルタントの成長が早い理由
- その中でも特に成長が早いジュニアコンサルの共通点
より詳しく知りたい方はコンサルの仕事内容に関する記事をご覧いただきたい。
なぜそもそもコンサルは成長が早いのか?
ここでは、前提としてなぜそもそもコンサルの成長が早いのかについて解説する。
コンサルの成長スピードが早い要因として「クライアント要因」と「ファーム内の要因」が存在する。
クライアント要因の成長スピード
コンサルの成長スピードが早い要因として、まず以下のクライアント要因があげられる。
- 対面するクライアントのレベルの高さ
- 課題の難易度の高さ
まず一つ目が「対面するクライアントのレベルの高さ」である。
全社レベルの案件になると、対面するのは百戦錬磨の経営者になり、仮に全社レベルでなくても、社内のエース的な人と対面することになる。
コンサルタントはそうした方々と日々真剣に対峙しすることで、自分自身の当たり前の水準が高くなり、その当たり前の水準がさらに自分を成長させてくれるのだ。
そしてそんな優秀なクライアントが解ききれない課題をコンサルタントが解くことになる。
課題の難易度が高ければ高いほど、自分自身の100%の力をぶつける必要があり、またそれだけでは不十分で、周囲の人の力も引き出していく必要がある。
こうした「課題の難易度の高さ」がコンサルタントの成長スピードを加速させていくことになる。
コンサルファーム内要因の成長スピード
次にコンサルの成長スピードが早い要因として、コンサルファーム内の要因があげられる。
- 要求の高さ
- 優秀でハードワーカーの多さ
コンサルファームでは、入社年次や年齢に関わらず、プロジェクトに関与したその瞬間から価値を出すことを求められる。
クライアントにはコンサルタントの時間に対して報酬を請求することになるため、1秒も無駄にできない。
そうした自身の価値や、時間の重みというのは常に突きつけられる。
こうした「要求の高さ」から、常日頃から価値の最大化ということを意識するようになるため、結果として自分自身の成長が加速することになる。
また、コンサルファームにいる人たちは、もともと優秀な人が多い。
その中で勝ち残っていくにために、みんなが当然のようにハードワークすることになる。
さらに前述の「対面するクライアントのレベルの高さ」「課題の難易度の高さ」「要求の高さ」によって日々鍛えられおり、ますます優秀でハードワークする集団となっていく。
こうした「優秀でハードワークな人の多さ」と言うの環境が成長を加速させることになる。
成長が早い優秀なジュニアコンサルタントの共通点
その中でも特に成長が早い優秀なジュニアコンサルタントの共通点をご紹介する。
コンサル志望者から内定者、現在ファームでもがくジュニアコンサルの方はぜひ参考にして頂きたい。
- 主体性がある
- 情報の精度が高い
- 足を使って情報が取れる
- 身体的/精神的にタフ
- 素直
- 自分の武器をコツコツ磨いている
- 社内営業がとにかく上手い
- 効率化のための自己投資をケチらない
- とにかくアウトプットの量が多い
1. 主体性がある
ジュニアコンサルタントは、情報から示唆を出す能力がシニアコンサルタントのレベルにまで達していないため、常にファクトで勝負することが求められる。
一方、そうした要求にアドバイザーとしてのポジションが相まって、主体性が欠けたジュニアコンサルタントが一定数出てきてしまう状況がある。
指示された内容を淡々と調べ、その情報をファクトとして淡々と報告する。
しかし、一番情報に触れているのはジュニアなのである。
だからこそ、「〇〇を調べた結果、XXというファクトが出てきました。ここからはファクトではなく私の考えですが・・・・」という一歩でも良いので、チームのアウトプットを少しでも良くするんだという主体性を持って、プロジェクトに臨めるジュニアは、そうでないジュニアに比べて圧倒的に早く成長する。
2. 情報の精度が高い
コンサルタントはチームで膨大な業務量を処理していく必要があり、複数人で同じことをやっている余裕はない。
ジュニアコンサルタントのチームでの役割はリサーチなどの情報収集になることが多いが、そのリサーチ範囲は幅広く膨大であるため、シニアコンサルタントは自分自身でリサーチせず、ジュニアコンサルタントから精度の高い情報が上がってくることが理想の形となる。
しかし、リサーチの量も多く難易度も高いとなると、ファクトで勝負するという意識が希薄なジュニアコンサルタントが取ってくる情報は、決して精度が高いと言えない状態が往々にして発生する。
コンサルタントの仕事は、情報から示唆を出すことで価値を出す仕事であるため、その前提となる情報の精度が怪しいとなると、コンサルタントの価値そのものを揺るがしかねない。
そのため、一度でもジュニアコンサルタントの情報の精度が低いと思われると、以降本来任せて貰えるべき役割をはく奪されてしまう可能性がある。
逆に、情報の精度が高いと信頼を勝ち取れると、どんどん新しい役割を与えられ、成長の機会を掴むことができるのだ。
3. 足を使って情報が取れる
スマートな印象があるコンサルタントだが、重要な情報を得るためには、積極的に足を使って情報を取る必要がある。
筆者自身、ジュニアコンサルタント時代に携わった製品販売戦略策定のプロジェクトでは、対象と成りうる店舗を何店舗も回ることで、現場にしかない情報を得て、チームのアウトプット、延いてはクライアントの成長に貢献できたという成功体験がある。
所謂エリートとして育ってきたコンサルタントの中には、足を使って情報を取るということに抵抗があり、フットワークが重いということが多々ある。
そうした中で、足を使って情報が取れるというのは大きな価値になるのだ。
4. 身体的/精神的にタフ
入社年や年齢に関わらずひとたび現場に立てば、プロフェッショナルとしての立ち振る舞いと、アウトプットが求められるのがコンサルタントである。
しかし、ジュニアコンサルタント時代は、求められる水準のアウトプットにはなかなか到達できないため、必然的に求められる水準に少しでも近づくためにハードワークが必要になってくる。
扱っている案件の重要さや、永遠と続く上位メンバーからの詰め、膨大な業務量などが相まって、身体的/精神的な負荷が大きく掛かるのである。
筆者自身も、コンサルファームにおいて、優秀なメンバーが身体や精神に問題を抱えてダメになってしまうケースを多数目撃してきた。
少数精鋭で動くコンサルワークにおいて、たとえ1-2日という短期間の離脱でも大きなダメージになるし、そうした離脱リスクが高いメンバーは自分のプロジェクトからは遠ざけたくなってしまう。
コンサルファームでの1日1日は学びの宝庫である。
それゆえ、最初は冴えなくても兎に角ピッチに立ち続けて経験を積んでいくことで、少数精鋭の中でも貴重な戦力となり、かつ多くの学びを得て成長していくことができるのだ。
5. 素直
コンサルファームの門を叩く人は、好き好んで実力世界を選んでいることから分かる通り、自信家であり、かつこれまでの人生でも成功体験を積んできた人が多い傾向がある。
もちろん自信を持つことは大切だが、独力で成長を加速させようとしてもどうしても限界がある。
そうすると必然的に周囲の人からのアドバイスを受ける必要が出てくるが、残念ながら素直でない人にアドバイスを与えてくれる人はほとんど存在しない。
アドバイスを与えてくれる人は、自身が足を踏みれたコンサルファームにおいて成果を出してきた人たちである。
そうした人たちからのアドバイスは非常に価値のあるもので、特に最初の数年でもらったアドバイスは、その後コンサルタント人生やビジネスマン人生においても継続的に役立つものばかりである。
そうした貴重なアドバイスをもらえる環境を整えているジュニアコンサルタントと、そうでないジュニアコンサルタントとでは、どちらが早く成長できるかが明らかである。
6. 自分の武器をコツコツ磨いてる
コンサルファームは賢い人たちが死にもの狂いで働く場所であり、目の前にあることをただただ一生懸命やっているだけでは、早回しで成長することはできない。
やはり爆速で成長しているコンサルタントは、自分の武器を見つけ、コツコツと磨き、それをアピールすることで、自ら機会を呼び込んでいる人たちである。
ファーム内で誰よりもエクセルスキルがある、帰国子女でビジネス英語も完璧、自動車業界出身でファーム入社後も自動車業界の案件を継続的に手掛けているなど、光る武器を身に着けることで、機会を呼び込むことができ、そしてその機会が更に自分を成長させてくれるのだ。
7. 社内営業がとにかく上手い
コンサルファームにおいて身に付く経験やスキルというのは、どんなプロジェクトにアサインされ、誰と一緒に働くかに大きく依存している。
コンサルファームのプロジェクトは、なんらかのシステムがあり、それがコンサルタントとプロジェクトを自動マッチングしてくれるわけではなく、色んな人の色んな思惑でアサインが行われる。
故に、しっかり自分をアピールでき、人から好かれる力を持った人(=社内営業が上手い人)は、自分の理想に近いアサインを実現することができる。
社内営業が上手い人は、優秀なコンサルタントの下で、自分の武器を磨ける環境で、コンサルティングワークに打ち込める。
8. 効率化のための自己投資をケチらない
一般的に高給と言われるコンサルタントだが、必要コストを差し引くと、可処分所得は決して高くない。
睡眠時間を確保するために、都内の一等地にあるオフィス周辺に住む必要があるし、スーツなどの身なりも気を遣う必要がある。
そうした必要コストを差し引くと、特にジュニア時代はお金が貯まらないので、効率化の為に自己投資をするという人はあまり多くない。
筆者の知っている爆速で成長しているコンサルタントは、例えば以下のような効率化のための投資を行っている。
- パソコンの縦置きスタンド
- 家用のPC充電器(いちいちオフィスから持って帰らなくても良いように)
- アクセス良好(オフィス、最寄駅)の住宅
- ドラム式洗濯機
- 宅配クリーニングサービス
9. とにかくアウトプットの量が多い
コンサルの仕事に限らずだが、「100点満点は無理で失敗は付き物だ」という腹決めをした上で、とにかくアウトプットを高速で出せる人はそれだけフィードバックの機会が多く、成長スピードも早い。
失敗は付き物だという腹決めは、自分の未経験の領域に飛び込むことも後押ししてくれるため、幅広い経験を身に着ける上でも非常に重要になってくる。
こういう人材は自分自身の担当プロジェクトにおけるアウトプットが多いだけでなく、自分が興味のあるプロジェクトの提案資料などにも関与したりするので、結果的にアウトプットする場も増え、成長を加速させてくれるのだ。
【番外編】コンサルとして成長を加速させるためのおすすめの習慣
さいごに筆者の経験や実際に現役コンサルへのインタビューを通じて話にあがった、成長を加速させるためにおすすめの習慣をご紹介する。
- 最低限の運動をする
- 適度に息抜きをする
- 学んだことを1日最低3個メモする
- 最先端のものに触れる
- 定期的に経験を棚卸する
1. 最低限の運動をする
コンサルティングファームが向き合うクライアントが置かれている状況は、刻一刻と変化するため、呑気に調査や分析を進めながら戦略を策定することは許されない。
また、その戦略は全社や事業に大きな影響を与えるものであるため、必然的に一人のコンサルタントが抱える業務量は膨大にならざるを得ない。
そうした環境の下で、優秀なコンサルタントが体調を崩してファームから去っていくという例は枚挙に暇ない。
だからこそコンサルティングファームで生き残って活躍している人は、身体には人一倍気を遣っている。
実は、第一線で活躍し続けられるかどうかは、頭の切れが良いなどといったソフト面よりも、体調を維持し続けられるかといったハード面の方が大きい。
どれだけ忙しくてもジムに通うなど、最低限の運動をすること習慣としており、プロジェクトの大事な局面で体調を崩さない、あるいは長期的にコンサルタントとして活躍していくため体力を維持するという努力を行っているのだ。
2. 適度に息抜きをする
ただでさえ激務であるコンサルタントであるが、それがまだ十分に効率化できていないジュニアコンサルタントともなると、さらに多くの時間をコンサルティングワークに当てることになる。
また、永遠に続く上位メンバーからの厳しい詰めや、取り扱っている案件の重要性からくるプレッシャーなどが相まって、身体よりも先に精神的なトラブルを患ってしまう人も決して少なくない。
そんな状況下において、短時間でも息抜きができる方法を持っていることは非常に重要である。
「適度に息抜きをする」というのは、あまりにも当たり前に聞こえるかもしれないが、熾烈な競争に晒されているコンサルタントの多くは、この当たり前のことができない。
筆者自身も、コンサルティングファームに入社したばかりの頃、上司から息抜きの方法を持つこと、そしてそれを適度に行うことの重要性を教えてもらった。
当時はそこまで実感がなかったが、精神的なトラブルを抱えるメンバーを多数見ていく中で、改めてそのアドバイスの重要性を痛感した。
実際、シニアメンバーになればなるほど本人に掛かるプレッシャーは増大していくため、活躍しているコンサルタントこそ、適度に息抜きをして上手にプレッシャーと向き合っている。
3. 学んだことを1日最低3個メモする
コンサルティングファームでの毎日は、本当に学びの宝庫である。
ただしコンサルティングファームでの毎日は激動の毎日でもあり、忙しさに忙殺されて、うまく学びを蓄積できていないコンサルタントも多いように見受けられる。
逆に、学びをしっかり蓄積している人はその分成長スピードも早い。
筆者が出会ったデキるコンサルタントは、1日に最低でも3個は学んだことを言語化し、メモしておくという習慣を行っていた。
この習慣はジュニア時代はもちろんだが、ある程度経験を積んだシニアになってからも有用な習慣である。
シニアになると学びの宝庫であるはずの環境に慣れてしまい、なかなか学びに気付き難い。
しかし、最低3個はメモするという気概で学びを貪欲に探し出すことで、今まで見過ごしてしまっているような学びをうまく自分の中に落とし込むことができるのだ。
4. 最先端のものに触れる
この変化が新しい世の中では、毎日のように新しいサービスやプロダクトが生み出されている。
時としてそうした新しいサービスやプロダクトが、クライアントの経営を脅かすことになる。
コンサルタントたるもの、常に最先端のサービスやプロダクトに触れ、その戦略や将来性について仮説を持ち、クライアントに提言できるようにしておきたい。
当時ポケモンGOがリリースされた際に、40代のパートナーが必至になってやり込んでいるのを目の当たりした。
実際、趣味感覚はあったかもしれないが、後日クライアントとの雑談の中で、ポケモンGOの優れている点や課題、将来性やクライアントへの影響などを見事に提言していた。
パートナーに限らず、デキるコンサルタントは多忙な中でも最先端に触れる時間を創出し、自分なりの仮説を持っている。
5. 定期的に経験を棚卸する
コンサルタントが他業界のビジネスマンと異なるのは、関与する仕事が非常に細切れで、強く意識しないと繋がりが薄い経験を積み重ねてしまうリスクがある点である。
数ヶ月単位でプロジェクトが変わり、次のプロジェクトが未経験業界・テーマということも多々ある。
そのような環境の中で、意識してアサイン先を選んでいかないと「いろいろ経験したけど強みがない」コンサルタントになってしまう。
このようなコンサルタントは、コンサルタントとしてだけでなく、他業界からしても評価し辛いビジネスマンである。
そのためデキるコンサルタントは、転職の意向有無に関わらず職務経歴書を更新するなど、定期的に自分の経験を棚卸している。
そして自身の経験と実現した目標との差分から、次のアサイン先を選んでいる。