近年各コンサルファームは中途採用を拡大しているが、その中でも大手メーカーからコンサルへの転職者が一定の割合を占めている。
本記事では、そんな大手メーカーからコンサルにした方々にお話を伺い、転職成功のポイントやリアルな実態などについて徹底的に解説していく。
本記事を作成するにあたっては、実際にメーカーからコンサルへの転職成功者複数人にインタビューを行っている。
- メーカーからコンサルに転職するメリット・注意点
- メーカーからコンサル転職の成功例・ポイント
- メーカーからコンサルに転職したあとに待ち受ける苦悩
コンサルへの転職を目指す上では、おすすめのコンサル転職エージェントの記事を参考にして頂きたい。
Contents
メーカーからコンサル転職するメリット
メーカーからコンサル転職するメリットについて解説していく。
コンサル転職したことで多くの人が市場価値の高さやポータブルスキルの取得に魅力を感じているようだ。
ポータブルスキルを身に着けることができる
コンサルティング業務を通じて身につくスキルは、職種や業界問わず汎用性の高いものとしてメーカーからコンサルへ転職する際のメリットと言える。
ここで示すポータブルスキルとは、一般的に以下の7つを指す。(厚生労働省が定義するポータブルスキルの要素を具体的なスキルとして整理)
- 情報収集力
- 課題設定力
- 計画力
- 遂行力
- 対応力
- コミュニケーション能力
- マネジメント能力
メーカーの場合、短くても数年単位は所属組織の一員として働くことになり、在籍期間は組織固有のスキルを磨いていく傾向にあるが、コンサルでは、日々のプロジェクトワークで、ポータブルスキルの要素が求められるため、スキル取得のスピードが段違いに早い。
また、対面するクライアントレベルの高さや課題難易度の高さから、より一段高いレベルでポータブルスキルを磨いていくことが出来る点も魅力の一つである。
汎用性が高いスキルを身に着けたいと思い、コンサルへの転職を選択しましたが、前職時代の能力と比較して考えるスピードやアウトプットのクオリティや結果へのこだわりなど基礎的な能力が一回り高い水準で身についていると感じています。
メーカーからコンサルへ転職した現役社員
市場価値を上げやすい
メーカーからコンサル転職する中で市場価値を上げやすい点もメリットと言える。
コンサル自体が市場価値が高い訳ではなく、コンサルティング業務を通じて身につくスキル・マインドに市場価値があると表現する方が正しいだろう。
上記で述べたポータブルスキルが身につくことも去ることながら、プロジェクト単位の働き方も相まって、会社や組織に依存することなくあらゆる環境変化に対応できる点もコンサルが市場価値が高いと言われる所以の一つでもある。
また、従来のビジネススキームでは太刀打ちできない状況下にある昨今、様々な業界・企業においてDX推進や組織改革などに取り組むプロジェクト型ワークスタイルの導入が増えている。
そのため、コンサル経験者は市場においても需要が高い傾向にある。
実務を通じて身につけた知見をもってして活躍できる機会が増えたと実感しています。メーカーで働いていたときから副業をしていましたが、コンサルになってから依頼を受ける案件の幅がかなり広がりました。
メーカーからコンサルへ転職した現役社員
年収が上がる(傾向にある)
一部のメーカー企業を除いて、概ねメーカーからコンサルへ転職することで年収が上がる傾向にある。
また、メーカーの場合、年次により年収が決まるケースが多いが、コンサルでは成果次第により数年単位で数百万の年収レンジが期待出来る点は魅力的と言える。
ただし、30代を過ぎてからのコンサル転職は、逆に年収が下がる可能性もある。
メーカー時代にマネジメントやプロジェクト型ワークの経験がなければ、スタッフレベル(アナリスト、シニアコンサルタント)からのスタートとなる可能性があり、転職するタイミングによっても傾向が異なる点は留意しておく必要がある。
コンサル転職時の年収は、前職(メーカー)より少し高い年収水準でしたが、数年単位で昇格が見込めるので、コンサルに転職すると他業界で働く同世代よりも年収アップのスピードが早いです。
メーカーからコンサルへ転職した現役社員
メーカーからコンサル転職成功例
ここでは実際にメーカーからコンサル転職に成功された方々の事例をご紹介する。
年齢や前職、転職先から転職後の年収まで記載しているため、ぜひ参考にしていただきたい。
より詳しく知りたい方はコンサル転職体験談をご覧いただきたい。
氏名・年齢 | 前職 | 転職先 | 転職後年収 |
MY(30歳) | 機械メーカー | PwCコンサルティング | 800万円(200万円UP) |
KK(29歳) | 繊維メーカー | アクセンチュア | 700万円(130万円UP) |
FT(25歳) | 総合電機メーカー | アクセンチュア | 600万円(120万円UP) |
メーカーからコンサル転職の志望動機
ここでは実際にメーカーからコンサル転職に成功された方々の志望動機をご紹介する。
コンサルキャリア独自インタビューの内容であるため、ぜひ参考にしていただきたい。
前例主義で改革を進めるにあたっては、組織の壁により現場で感じている良いと思ったことと経営層の意思決定のスピードや方向性にズレを感じ、末端のまま時間が過ぎてキャリアアップの道筋が描きずらいと感じたことが理由です。
大企業だったため経営層が意思決定をし改革を断行する難しさは感覚では感じながらも、自身の責任で道筋を描き実行する場を得たいと思ったことが、厳しい世界と世間では言われていたコンサルティング業界への挑戦志向を高めることとなりました。
転職の動機は「市場価値を高めたい」という心情からですが、その背景に営業活動を通じて感じた介在価値の希薄さが起因しています。
ブランド力が強い企業だったが故、お客様との主たるコミュニケーションの軸は、常に「商品」にあり、個人の能力が営業成績に反映されにくいと感じておりました。その体験を経て、個のパフォーマンスが重視されるコンサルティング業界で自身の知見を磨き、活躍の場を増やしていきたいという想いから転職をする決断に至りました。
古い企業体質の定着やロールモデルとなる先輩がいなかったことから、ここで定年まで働くイメージが全く持てず、基礎的な社会人としてのスキルと専門性だけを学び次のキャリアを目指そうと配属後1週間で感じました。
将来のなりたい姿から逆算で、入社一年目から自己研鑽、資格勉強、転職活動を始めました。
メーカーからコンサル転職で感じたギャップ
次にメーカーからコンサル転職したことで感じたギャップについて解説していく。
入社前にある程度、業界や企業理解について把握したうえで入社しているものの、実際の現場で働くことで感じるギャップも多いようだ。
成果主義の評価制度
コンサルの人事評価を言い表す代名詞として「UPorOUT」(昇進するか、辞めるか)と評されることが多い。
一部のファームを除き、実態はそこまでドラスティックではないものの、成果主義であることは間違いない。
コンサルで働く社員は成長意欲をもって日々、自己研鑽に励み、成果を出そうと前向きな人が多いため、成果が出せない社員はプロジェクトを転々とたらい回しにされるケースがある。
そのため、周りとの実力にギャップを感じ、居たたまれなさから会社をエグジットする人も多いようだ。
一方、メーカーの場合、成果によらずとも役職が担保されており、基本的には安定した雇用環境にあることから、コンサルの人事評価との違いにギャップを感じる人が多い。
パフォーマンスが悪く、リリースされるチームメンバーを何人も見てきたので、コンサルが成果主義の実態にあるのは確かだと思います。
メーカーからコンサルへ転職した現役社員
プロジェクト単位のワークスタイル
プロジェクト単位でジョブを進める働き方は、多くのメーカー出身者が抱えるギャップと言えるだろう。
メーカーの場合、1つの部門にレポートラインがあり、短くても数年は所属部署内で同じ働き方をするが、コンサルの場合、数ヶ月、一年単位でジョブが変わるケースも珍しくない。
そのため、都度チームメンバーが代わり、求められるパフォーマンスに応じて知識やスキルのキャッチアップが強いられることから環境変化の順応に苦労をする人が多いようだ。
プロジェクトが変わる度にチームメンバーとのリレーション構築やアサイン先のプロジェクトで求められるパフォーマンスに準じてキャッチアップしていく過程に苦労しました。
メーカーからコンサルへ転職した現役社員
キャッチアップ量の多さ
コンサルは、実際に自身が働いていない業界や企業のクライアントに対して、その道のプロが抱える課題を解決していくことが求められる。
プロジェクトが変わる度にクライアント企業の業界知識や情報をキャッチアップしていく必要があるのは勿論のこと、環境変化が目まぐるしい昨今のビジネス課題において単一ソリューションで課題解決できることはほとんどなく、あらゆる知見を駆使してクライアントに提案活動を行っていく必要がある。
そのため、コンサルでは日々の情報収集や知識の獲得が欠かせず、終業後や土日で自己学習を進める人が多い。
また、総合コンサルティングファームの場合は、システム導入などの案件が多いため、戦略コンサルでもIT/Digitalの知見が必要不可欠になってくる。
コンサルになってからキャッチアップの多さに衝撃を受けました。メーカーで働いていた時は、ある程度自社製品・サービスの知識があれば部署異動しても比較的キャッチアップが容易な環境下にありましたが、コンサルでは短いスパンで求められる役割が変わるので、断続的なキャッチアップが欠かせません。
メーカーからコンサルへ転職した現役社員
徹底的なロジカルシンキング
ロジカルシンキングは重要な思考スキルであり、コンサルに限らず多くの企業で実践されている。
一方で、その追求のされ方は企業ごとでかなり濃淡があり、メーカーからコンサルに転職するとそのギャップに戸惑うようだ。
思考スキルは、知識とは異なり身につけ方が分かりにくい分、特に転職直後はどうすればいいのかと悩む人が多い。
特に自分の様なコンサル未経験者が多くぶちあたる壁ではありますが、 ロジカルシンキングを徹底すること、しゃべる内容の1フレーズであっても筋が通っていて相手を納得されられること、自転車をいかに早く上手く乗れるかと言った半暗黙知的なコンサルベーシックスキルを初めはどの様に身につければいいのか戸惑いました。
メーカーからコンサルへ転職した現役社員
人間関係のドライさ
数年間上司やチームメンバーが固定されるメーカーと大きく異なり、コンサルはプロジェクト単位でチームが組成されるため、都度上司やチームメンバーが変わることになる。
また、コンサルは人材が流動的(転職者も多ければ離職者も多い)であるため、その点も離職率が低いメーカーと異なる。
そのため、メーカーからコンサルに転職すると縦横の繋がりが希薄に感じるようだ。
前職が割とウェットなカルチャーだったが故に、縦横の繋がりにやや希薄さを感じるところです。時節柄、オンライン主流のやりとりでコミュニケーション不足な側面もありますが、転職者も多く、様々なバックグラウンドを持つ方が集う中で、ビジネスライクなコミュニケーションに陥りがちな点は致し方ないとも思っています。
メーカーからコンサルへ転職した現役社員
メーカーからコンサル転職をする上での注意点
メーカーからコンサル転職する上での注意点について解説していく。
メーカーからコンサル転職するメリットや魅力は大きいものの、かつて求められてきた能力と違う側面が多いため、入社後のスタートダッシュで躓かないよう、以下に解説する内容は事前の心構えとして把握しておきたい。
言語化能力の高さ
コンサルは、インプットした外部の情報を自分の言葉に置き換えてシャープに言語化する能力が求められる。
また、情報やファクトをもとにクライアントと合意形成を図っていくことから、ミスリードが生じないよう資料に落とす表現、言葉には最善の注意を払う必要がある。
そこで、メーカーからコンサル転職した人の多くが、まず最初に直面する困難として議事録の作成にある。
コンサルで求められる議事録は、ただ情報を羅列するだけではなく、情報を構造的に整理し、かつ誰が読んでも分かるよう研ぎ澄まされた日本語で作成する必要がある。
コンサルでは、情報やファクトこそが生命線になるが故、議事録ひとつとっても言語化能力が欠如していることで苦労を経験する場面が多い。
コンサルの現場では、双方で認識齟齬がないよう言葉の定義や表現をかなり細かく意識している印象を受けました。かつて何となく伝わっていたやりとりもコンサルでは一言一句、言葉に気をつけて資料作成やコミュニケーションをとる必要があります。
メーカーからコンサルへ転職した現役社員
メーカー時代のスキルはコンサルではほとんど活かされない
メーカー時代の経験が評価されコンサルに入社したものの、コンサルとしての基礎素養は新卒社員に比べ、ほとんどがビハインドからのスタートとなる。
そのため、コンサルとして一からのスキル習得が必須であるのが現実であり、多くのメーカー転職者がコンサルとしての基礎素養のキャッチアップに苦労をする。
メーカーの知識が活きるステージはもう少しあとになり、まずはコンサルとしての基礎素養を身につけることからのスタートとなる点は留意しておきたい。
PowerPointやExcelなど基本的な作業でも一から学びなおす必要があり、コンサルとしてバリューを発揮するために、まずは基礎固めを徹底することの重要さを痛感しました。
メーカーからコンサルへ転職した現役社員
思考体力が求められる
メーカの場合、自社製品やサービスが提供価値となるが、コンサルは自分自身が提供価値になる。
製品やサービスに左右されることなく、個人の価値を最大限に発揮できるメリットがある一方、自分自身のパフォーマンスが成果に直結することから責任の大きい職種でもある。
また、メーカーからコンサル転職した人が口を揃えて、思考体力の不足に苦労するという。
コンサルは、「知恵を売る」と評されることもあり、それだけに頭の使う場面が場面が多く、メーカー時代には経験したことがないほどの思考体力が求められる。
コンサルで働くと今まで自分がいかに頭を使っていなかったかを思い知らされます。クライアントコミュニケーションの場で思考停止してしまう場面があり、改めて頭の回転の早さと思考体力が欠如したかを痛感させられます。
メーカーからコンサルへ転職した現役社員
メーカーからコンサル転職を成功させるためのポイント
メーカーからコンサル転職を成功させるうえで、やるべきこと、意識しておくべき点について解説していく。
自身のバリューを明確に伝える
メーカーで培った業界知識や現場レベルの課題をリアルに想起できる点は、メーカーからコンサル転職した場合の優位な点であり、面接の場面でも積極的にアピールすると良い。
ただし、重要なことは、「知っている」ことではなく、「知ったうえで、コンサルとしてどうしたいのか」に尽きる。
採用側が求めているのは、あくまでメーカーで培った経験がコンサルとしてどう活かされるのか、どのようなバリューが発揮されるのかにあるため、志望理由書に動機を落とし込む際や面接の場面では、体験知をもとにどのような案件に携わり、志望先のファームに価値貢献できるのかを語る必要がある。
左脳優位のコンサルが多い中、メーカーからコンサル転職する人の強みは、経験と現場感を知っていることに尽きると思います。その経験をもってして、入社先のファームで何がやりたいのか、どう価値貢献できるのかをアピールするよう意識していました。
メーカーからコンサルへ転職した現役社員
ケース面接対策
転職者の論理的思考力を図る判断基準として、ケース面接を実施しているファームが多く、コンサル転職を成功させるうえでケース面接対策は必須と言える。
ケース面接とは、フェルミ推定や架空のビジネス課題に即したテーマが出題され、それをもとに回答した内容を面接官とディスカッション形式で繰り広げていくものである。
ロジックツリーやビジネスフレームワークなど、馴染みのない手法から回答を導いていくケースが多いため、初見では回答に苦しむ場合が多いが対策次第で、ケース面接は十分クリアできるため、万全な対策と準備を進めて頂きたい。
ケース面接は対策次第でクリアできる関門なので、必ず対策を進めておくべきだと思います。面接だけでなく、ケース問題を解く頭の使い方は、コンサル入社後も活かせるスキルとして重宝するので時間をかけて準備しても損はないと思います。
メーカーからコンサルへ転職した現役社員
コンサル業務の理解を深める
面接の場面では、志願者がどの程度、コンサル業務に対する理解があるのかを数々の質問な中から推察している。
漠然とした理想や華やかなコンサルのイメージを抱き、コンサル転職を志す人もいるため、採用側はミスマッチが生じないよう面接の場でコンサル業務への理解度を図っている。
また、コンサルに転職することがゴールではなく、転職先として選択したコンサルが自己実現の最適解であることに納得性を持たせるためにも、コンサル業務の実態をリアルに把握しておく必要がある。
上記で述べてきたようにメーカーからのコンサル転職は少なからず、前職とのギャップが生じるケースも少なく、そのギャップに耐えきれず、入社先のファームを退職してしまうような結末に陥っては本末転倒になってしまう。
ある程度の業務理解であれば、志望先ファームのHPやネット情報で事足りるが、入社後のミスマッチを防ぐためにも志望先のファームに在籍する社員、もしくはOB社員に直接実態を伺うことを推奨する。
入社後にミスマッチが生じないよう、事前に情報を取得しておく必要があると思います。少なからず、入社後に感じるギャップがありますが、その中でどこまでのギャップなら許容できるか自身の中で腑に落ちしていないと入社後、苦労を経験することになると思います。
メーカーからコンサルへ転職した現役社員
コンサルファームではケース面接を始めとする特殊な選考が行われ、非常に難易度が高いと言われている。 また、コンサル業界自体が外から見えづらい業界であるため、転職前にリアルな実態を把握することも難しい。 そのため、「コンサル転職の成功率を上げる」「コンサル転職を通じて理想のキャリアを実現する」上では、コンサル業界への知見や対策ノウハウを持つエージェントを選ぶことをおすすめしたい。コンサルへの転職を成功させるためには
コンサルキャリアは株式会社Flow Groupが運営しています。当社は厚生労働省から有料職業紹介事業の認可を取得し、求職者の転職支援と企業の採用支援を行っています。
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