コンサルと広告代理店の違いは?各社の動向からリアルな実態を解説

ここ数年でコンサルと広告代理店の違いがなくなりつつあると言われているが、実際のところ両社の現状がどうなっているかを把握している人は少ない。

本記事ではそんなコンサルと広告代理店で「今、起きているリアル」について徹底解説していく。

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横山 諒平
監修者

Flow Group代表取締役/コンサルタント

株式会社Flow Group代表取締役。慶應義塾大学経済学部卒業。
大学卒業後はデロイト トーマツ コンサルティング合同会社に入社し、製造業のクライアントを中心に中期経営戦略の策定やM&A実行支援、新規事業立案・立ち上げ支援に従事。
その後、株式会社リクルートライフスタイル(現株式会社リクルート)における事業戦略・予算策定、事業開発に従事。フリーコンサルとして独立後、2019年8月株式会社Flow Groupを創業。

コンサルマン
執筆者

コンサルマン

コンサルキャリア編集部。コンサルキャリアおよびコンサルマンは株式会社Flow Groupが運営しています。Twitterフォロワー1.9万人

本記事でわかること
  • コンサルト広告代理店の違い
  • コンサルと広告代理店の最新動向

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コンサルと広告代理店の違い

結論から言うと、コンサルと広告代理店の違いはなくなりつつある。

電通をはじめとする広告代理店は戦略策定からシステム開発などにバリューチェーンを広げており、一方のコンサルファームもマーケティングやクリエイティブにバリューチェーンを広げている。

https://twitter.com/mr_grayhair/status/1629749813083537408

ではコンサルと広告代理店は両社の境目を超えて互いの違いがなくなったかと問われると、現状はそこまでの状態にはなっていないと言うのがリアルな実態である。

表面的にはコンサルは「戦略策定に留まらずマーケティング支援まで」、広告代理店は「マーケティング支援だけでなく戦略策定から」と掲げてはいるものの、一気通貫でクライアントを支援するという状況には至っていない。

  • 両者で求められるケイパビリティが異なる
  • 両者で最適な組織体制が異なる

例えば広告代理店の場合は、マーケティング支援の場合は営業担当が顧客窓口となり、マーケティングプランナーやアートディレクター、コピーライターなどがチームを組んで支援することになる。

上記体制で広告代理店がコンサルティングを行う場合、体制が肥大化してしまい様々なロスが起きるが、かと言って現体制の誰から仕事を奪い取るというのも中々難しい。

このような文脈の中で電通とドリームインキュベータの資本業務提携というのは、本当にコンサルと広告代理店の違いがなくなるのかという点で、今後注視していくべき事例である。

コンサルファームの広告代理業へ進出の動き

コンサルと広告代理店は互いの領域に進出しようとしていると言われている。

以下ではコンサル・広告代理店の両社の動きについて解説する。

アクセンチュアやデロイト、PwC、IBMといった大手コンサルファームは買収を軸に、広告代理店機能を社内に取り込む動きが数年前から見られている。

ファーム 動向
アクセンチュア Accenture Interactive(現Accenture Song)の立ち上げ
2013年:英Fjordの買収
2013年:英Acquity Group買収
2015年:豪Reactive Media買収
2015年:典Brightstep買収
2015年:米Chaotic Moon買収
2015年:米Boomerang Pharmaceutical Communication買収
2015年:伯AD.Dialeto買収
2019年:米Droga5買収
Deloitte Dloitte Digitalの立ち上げ
2016年:米Heatの買収
PwC Digital Servicesの立ち上げ
2013年:米BGT買収

上記のようにコンサルファームは戦略策定だけでに留まらず、実際のマーケティング支援にまで踏み込んでいるのだ。

これがコンサル側から見た「コンサルと広告代理店の境目がなくなりつつある」と言われる理由である。

広告代理店のコンサル業への進出の動き

一方の広告代理店もコンサル会社を立ち上げるなど、マーケティング支援に留まらずに戦略策定の領域まで進出しようと試みている。

会社名 動向
電通 2016年:電通デジタル立ち上げ
2021年:ドリームインキュベータと資本業務提携
2021年:イグニション・ポイントと資本業務提携
博報堂 2001年:博報堂コンサルティング立ち上げ
ADK 2022年:TOKZUMと新規事業コンサル事業の立ち上げ

博報堂コンサルティングは設立こそ2001年であるが、より力を入れ始めたのは企業名は博報堂デザインコンサルティングから博報堂コンサルティングに変更した2011年以降である。

また、広告代理店・コンサル両業界を賑わせたのが2021年の電通とドリームインキュベータの資本業務提携である。

電通としてもコンサルティング強化の方針を掲げるもののなかなか強化しきれておらず、一方のドリームインキュベータもコンサル事業で苦戦する中で、両社の思惑が一致した形となった。

実際、電通とドリームインキュベータの資本業務提携後に新規のコンサルティングメニュー発表が相次いでいる。

また、電通はアクセンチュアやPwCに対抗すべく5年掛けてDX人材を500人規模の採用を行うことを発表しており、電通の動向は要注目である。

コンサル・広告代理店における注目の動向

コンサルと広告代理店をいう2つのキーワードを語る上で欠かせないのが、アクセンチュアソングの存在である。

アクセンチュアソングとは、成長戦略、製品/顧客体験の設計から、テクノロジーを活用した顧客体験のプラットフォームやクリエイティブ、メディア、マーケティング戦略、さらにはキャンペーン、コンテンツ、チャネルの編成などを一気通貫で支援する組織である。

もともとはアクセンチュアインタラクティブという名称で事業展開していたが、2022年4月にアクセンチュアソングへと改名している。

参考:「アクセンチュア インタラクティブ、「アクセンチュア ソング」に改称

広告業界のバックグラウンドを持つ人材が多数集結しているようで、日本コカ・コーラや電通グループ、博報堂グループなどで要職に就かれていた方々が集結して、まるで"アベンジャーズ"のようだということで話題になっている。

広告代理店からコンサルの転職は多い

今後違いがなくなっていく可能性があるコンサルと広告代理店だが、筆者の周囲を見ると「広告代理店からコンサルへの転職」はいても「コンサルから広告代理店への転職」はそこまで多くない印象である。

特にマッキンゼーがマッキンゼーデジタル、BCGがBCG Digitalを立ち上げて採用を積極化させて以降、アクセンチュアやデロイト、PwCの人材は広告代理店よりもマッキンゼーやBCGに転職することが有用な選択肢となっている。

一方で、電通・博報堂を始めとした広告代理店からは、Accenture Songなどのコンサル内広告代理店だけでなく、コンサル部門への転職も多い。

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