コンサルファームに魅力の一つは高い年収であると言っても過言ではない。しかし、業界外の人でコンサルファームの年収について詳しく把握できている人は少ない。
本記事では現役コンサルタントの方々へのインタビューを踏まえて年収構造・事情など、様々な視点からコンサルタントの年収について徹底解説していく。
本記事を作成するにあたっては、実際に現役コンサルタント複数人にインタビューを行っている。
- コンサルタントの年収の仕組み
- 領域別のコンサルタントの年収
- コンサルファーム別の平均年収
- コンサルタントのリアルな生活水準
- コンサルタントが年収を上げる方法
コンサルへの転職を目指す上では、おすすめのコンサル転職エージェントの記事を参考にして頂きたい。
Contents
コンサルタントの年収【領域別】
一言でコンサルタントと言っても、領域やポジションによって年収は大きく異る。
ここでは、領域別(戦略、総合、シンクタンク、IT)×ポジション別のコンサルタントの年収をご紹介する。
戦略ファーム | 総合ファーム | シンクタンク系 | IT系ファーム | |
コンサルタント | 800 | 650 | 550 | 500 |
シニアコンサルタント | 1250 | 850 | 750 | 700 |
マネージャー | 1800 | 1200 | 1000 | 900 |
上記は「戦略ファーム」「総合ファーム」「シンクタンク系」「IT系ファーム」という領域別のポジション別目安年収である。
厳密にはタイトル内でも年収レンジがあり、かつ上記カテゴリの中でも年収差はあるものの、概略を掴む上の参考情報として見て頂きたい。
各領域のコンサルタントの年収を見ると、やはり戦略ファームが頭一つ抜け出している状態である。
総合ファームも一時は「打倒戦略ファーム」を掲げて、コンサルタントの年収水準を引き上げていたというが、それでも現状の差が生まれている。
ではなぜ各領域でコンサルタントの年収差が生まれるかというと、クライアントに請求する単価が異なるという点に尽きる。
例えば、戦略コンサルファームの場合ジュニアでも350万円/月程度の請求となるが、総合コンサルファームの場合は250万円/月程度の請求となる。
ジュニアランクでさえ月100万円程度(=年1200万円程度)差が生まれており、それがそのままコンサルタントの年収差に繋がっているのだ。
コンサルタントの年収が高い理由
上記のように、コンサルタントが高い年収であることは疑いようがない。
コンサルタントは一部の業界(投資銀行やPEファンドなど)を除き、他業界では考えられないような年収を得ることができる。
サラリーマンとしてもらえる給与水準では最高峰だと思います。外資系投資銀行と比較すると下回ってしまいますが、年代サラリーマンのほぼ全員よりは確実に給与水準は高いので、同窓会、結婚式などの場面での旧友との年収バトルでは負けたことがないです笑
現役BCG社員A氏
コンサルタントの年収がそこまで高い理由は「粗利率が極めて高い」かつ「人が商品」だからである。
何かしらプロダクトを売るビジネスであれば、売上から原価を引いて、残った粗利をプロダクトの磨き込みへの投資と人件費に振り分けていくことになる。
一方、コンサル業において人件費以外の原価は基本的に掛からないビジネス(粗利率が極めて高い)であり、その分コンサルタントの年収に還元させることができる。
また、高い品質のコンサルティングを行う上では、商品である"人"に投資することが合理的な選択となるため、その点も稼いだ粗利をコンサルタントの年収に還元させるという方向性に合致する。
コンサルタントの年収の仕組み
コンサルタントの年収は大きく「ランク(=役職)」と「評価」によって決まってくる。
以下は戦略コンサルファームであるマッキンゼーのランク別の目安年収だが、以下のような形でランクに紐づく形で年収レンジが定められている。
マッキンゼーの役職 | 年次(目安) | 年収(目安) |
ビジネスアナリスト | 1年目~ | 700~900万円 |
アソシエイト | 2~6年目 | 1000~1500万円 |
マネージャー | 4~10年目 | 1500~2000万円 |
アソシエイトパートナー | 実力による | 2000~3000万円 |
マネージングディレクター | 実力による | 5000万円~ |
コンサルの年収は上記のようにあくまでランク(役職)に紐づくため、年齢は一切関係ない。
実力が伴わなければ上のランクに昇進することはできないため、どれだけ年齢が高くても年収は上がっていかない。
逆に年齢が低くても実力次第で年収を上げていくことができるため、コンサルではよく「年下上司、年上部下」という構造が発生する。
自分よりも若い人が上司で多くの年収をもらっているということも時折あります。飲みに行った時にどっちが奢るかで微妙な雰囲気になることもあります。笑
現役デロイト社員
また、各ランクの中でも年収レンジが存在するが、これは2つ目の「評価」である。
コンサルファームの場合、数ヶ月単位でプロジェクトが変わり、それと同時に上司も変わるため、所謂"直属の上司"というものが存在しない。
そのため、プロジェクトごとに評価が行われ、各プロジェクトの評価が年間通じて集計されて、最終的に「評価会議」が行われて当人の評価が決まることになる。
特にセールスの目標がないスタッフ層を定量的に評価(=客観的な評価)することが難しく、いかにして自身の働きぶりをアピールするか、「評価会議」で発言力のある人にスポンサーになってもらえるかが重要になってくる。
だからこそ"目の前の仕事を愚直に頑張る"だけでは不十分で、然るべき人に適切にアピールしていくことがコンサルタントとして年収UPしていく鍵となる。
コンサルファーム別の平均年収
ここでは各コンサルファーム別の平均年収をご紹介していく。(出所:Open Work)
ここでご紹介する平均年収はあくまでOpen Workにおける回答者平均である点はご留意いただきたい。
なお、各社とも対象職種を「コンサルタント」に絞った平均年収を記載している。
戦略コンサルファーム
まず戦略コンサルファームにおける平均年収をご紹介する。
# | コンサルファーム名 | 平均年収 |
1 | ボストン・コンサルティング・グループ | 1,561万円 |
2 | A.T.カーニー | 1,404万円 |
3 | マッキンゼー・アンド・カンパニー | 1,373万円 |
4 | ローランド・ベルガー | 1,255万円 |
5 | ドリームインキュベータ | 1,229万円 |
6 | ベイン・アンド・カンパニー | 1,208万円 |
7 | アーサー・D・リトル | 1,128万円 |
各戦略コンサルファームの詳しい年収を知りたい方は以下もご覧いただきたい。
>>マッキンゼーの年収
>>BCG(ボストンコンサルティンググループ)の年収
>>ベインの年収
>>アーサー・D・リトルの年収
>>ローランド・ベルガーの年収
>>ドリームインキュベータの年収
総合コンサルファーム
次に総合コンサルファームにおける平均年収をご紹介する。
# | コンサルファーム名 | 平均年収 |
1 | PwCコンサルティング | 955万円 |
2 | アクセンチュア | 934万円 |
3 | デロイト・トーマツ・コンサルティング | 934万円 |
4 | EYストラテジー・アンド・コンサルティング | 875万円 |
5 | ベイカレント・コンサルティング | 867万円 |
6 | KPMGコンサルティング | 860万円 |
7 | アビームコンサルティング | 787万円 |
各総合コンサルファームの詳しい年収を知りたい方は以下もご覧いただきたい。
>>PwCコンサルティングの年収
>>アクセンチュアの年収
>>デロイト・トーマツ・コンサルティングの年収
>>EYストラテジー・アンド・コンサルティングの年収
>>ベイカレント・コンサルティングの年収
>>アビームコンサルティングの年収
IT系コンサルファーム
次にIT系コンサルファームにおける平均年収をご紹介する。
# | コンサルファーム名 | 平均年収 |
1 | クニエ | 977万円 |
2 | キャップジェミニ | 871万円 |
3 | 日本IBM | 847万円 |
4 | 日立コンサルティング | 845万円 |
5 | シグマクシス | 678万円 |
6 | シンプレクス | 656万円 |
各IT系コンサルファームの詳しい年収を知りたい方は以下もご覧いただきたい。
>>クニエの年収
>>キャップジェミニの年収
>>日本IBMの年収
>>日立コンサルティングの年収
>>シグマクシスの年収
>>シンプレクスの年収
人事系コンサルファーム
次に人事系コンサルファームにおける平均年収をご紹介する。
# | コンサルファーム名 | 平均年収 |
1 | コーンフェリー・ジャパン | 1,356万円 |
2 | マーサー・ジャパン | 995万円 |
3 | リンクアンドモチベーション | 532万円 |
各人事系コンサルファームの詳しい年収を知りたい方は以下もご覧いただきたい。
>>コーンフェリー・ジャパンの年収
>>マーサー・ジャパンの年収
>>リンクアンドモチベーションの年収
事業再生系コンサルファーム
次に事業再生系コンサルファームにおける平均年収をご紹介する。
# | コンサルファーム名 | 平均年収 |
1 | 経営共創基盤 | 1,133万円 |
2 | フロンティア・マネジメント | 1,024万円 |
3 | YCP Solidiance | 998万円 |
4 | 山田コンサルティンググループ | 665万円 |
5 | リヴァンプ | 635万円 |
各事業再生系コンサルファームの詳しい年収を知りたい方は以下もご覧いただきたい。
>>経営共創基盤の年収
>>フロンティア・マネジメントの年収
>>YCP Solidianceの年収
>>山田コンサルティンググループの年収
>>リヴァンプの年収
シンクタンク
次にシンクタンクにおける平均年収をご紹介する。
# | コンサルファーム名 | 平均年収 |
1 | 野村総合研究所 | 1,070万円 |
2 | 日本総合研究所 | 959万円 |
3 | 三菱UFJリサーチ&コンサルティング | 926万円 |
4 | NTTデータ経営研究所 | 805万円 |
5 | 三菱総合研究所 | 765万円 |
6 | みずほリサーチ&テクノロジーズ | 716万円 |
7 | 富士通総研 | 682万円 |
各シンクタンクの詳しい年収を知りたい方は以下もご覧いただきたい。
>>野村総合研究所(NRI)の年収
>>三菱UFJリサーチ&コンサルティングの年収
>>NTTデータ経営研究所の年収
>>三菱総合研究所(MRI)の年収
>>みずほリサーチ&テクノロジーズの年収
>>富士通総研の年収
>>大和総研(DRI)の年収
コンサルタントの"リアル"な生活水準
ここでは高年収と言われるコンサルタントのリアルな生活水準をご紹介する。
コンサルタントと一言で言ってもランクによって年収が大きく異るため、ここでは「アナリスト」と「マネージャー」に分けて解説する。
アナリストの生活水準
コンサルファームにおけるアナリストという職位(名称は各ファームで異なる)の場合、職位内のランクや評価にもよるがおおよそ手取りは35~45万円程度になる。
大卒や第二新卒でこの水準を貰えるが一人暮らしの場合の生活水準としては以下のようなイメージである。
項目 | 収入 | 支出 |
手取り | 35.0~45.0万円 | |
家賃 | 9.0~15.0万円 | |
食費 | 6.0万円 | |
光熱費 | 1.5万円 | |
通信費 | 1.5万円 | |
交際費・趣味娯楽費 | 6.0~10.0万円 | |
医療・保険費 | 1.0万円 | |
衣服・美容費 | 3.0万円 | |
交通費 | 1.5万円 | |
雑費 | 1.5万円 | |
貯金 | 3.0万円 |
手取り35万円は総合コンサルファーム、手取り45万円で戦略コンサルファームのアナリストの水準となっており、大きくは「家賃」「交際・趣味娯楽費」で差が出るイメージである。
手取り35万円の場合は、一人暮らしであれば都心でも比較的余裕のある生活ができる。ただし、オフィスの近くに住むなど都心部に住もうと思うとなかなか厳しい水準ではある。
一方手取り45万円の場合はオフィス近くに12~15万円程度で住むことも可能となる。(麻布十番などが人気のエリアとなっている)
とは言え、両者とも趣味娯楽へある程度自由に使えるお金が多く確保できる(6~10万円程度)ため、暮らしに困ることはほとんどないと言える。また食費に関してもそこまで切り詰める必要はなく、6万円程度使うことができる。
マネージャーの生活水準
コンサルファームにおけるマネージャーという職位の場合、職位内のランクや評価にもよるがおおよそ手取りは60~85万円程度になる。
マネージャーでも独身の人もいるが、以下では配偶者・子ども(一人)と家族暮らしの場合の生活水準イメージをご紹介する。
項目 | 収入 | 支出 |
手取り | 60.0~85.0万円 | |
家賃 | 20.0~30.0万円 | |
食費 | 10.0万円 | |
光熱費 | 2.5万円 | |
通信費 | 2.5万円 | |
養育費 | 5.0万円 | |
交際費・趣味娯楽費 | 4.0~10.0万円 | |
医療・保険費 | 2.5万円 | |
衣服・美容費 | 3.0万円 | |
交通費 | 2.0万円 | |
雑費 | 2.0万円 | |
貯金 | 10.5万円 |
手取り60万円は総合コンサルファーム、手取り85万円で戦略コンサルファームのマネージャーの水準となっており、大きくは「家賃」「交際・趣味娯楽費」で差が出るイメージである。
手取り60万円で家族3人で暮らす場合は、大きな不自由をすることなく暮らすことはできる。ただ配偶者+子供となると、住まいに関しては最低でも2~3DLKは確保したいところであり、東京都内の主要区に暮らす場合は家賃18~20万円ほどになる。
手取り60万円(=年収1000万円以上)というと「高年収」という意識を持ってしまう人もいるが、家族3人暮らしの場合は都心に住むことは難しく(築年数やマンショングレードなど何かしらの妥協は必要)、外食などを頻繁に行くことも難しい。
そのため、例えば総合コンサルファームのマネージャーでも、東京の練馬区や江東区、江戸川区に住んだり、あるいは千葉や埼玉で比較的アクセスの良いエリアに住む人もいる。
一方、手取り85万円となるとマンションのグレードにこだわって住むことも可能であり、外食などである程度贅沢に使ったとしても金銭に困ることはほとんどない。
一方で、戦略コンサルの場合は中長期的にコンサルファームから転職することを考えている人も多く、そうなると年収減は免れないため、「あらかじめあまり生活水準を上げない」「しっかりと貯金をしておく」という堅実な人も多い印象である。
コンサルタントの年収事情
コンサルファーム間での差はあれどそれでも高年収のコンサルだが、その年収事情のリアルについて紹介する。
- 若いうちの年収は高くない
- ポジションが上がると年収は増えるが使う暇がない
- 年収数千万円~数億円は実在するが相応の覚悟が必要
若手のうちは年収は高くない
コンサルは高年収職業として挙げられるが20代後半までは決して高い年収とは言えない。
もちろん昇進スピードによって大きく変わってくるが、戦略コンサルファームの場合はマネージャー手前のランク、総合コンサルファームの場合はマネージャーまでいかないと年収の高さを体感することはほとんどない。
コロナで状況は変わりつつあるものの、身なりをしっかりしないといけないという理由でスーツや靴、バッグなどは相応のものを用意する必要があるし、オフィスへのアクセスが良い場所となると必然的に家賃が高くなる。
筆者の知人には「そこまで豪遊していたわけではないが20代後半までほとんど貯金がなかった」という人も多い。
ポジションが上がると年収は増えるが使う暇がない
戦略コンサルファームの場合はマネージャー手前のランク、総合コンサルファームの場合はマネージャーまでいくと年収はグッと上がる。手取りで月60万円程度~になり、家族構成にもよるが家賃などを踏まえても比較的経済的な余裕が出る状態になる。
しかしそのランクまで行くと「使う暇がない」というのが正直なところである。
そのため、気付けばお金が貯まっているという状態にはなるが、「使う暇がない」がゆえになかなか年収が高いという実感が得にくいのだ。
年収数千万円~数億円は実在するが相応の覚悟が必要
コンサルタントというと「年収数千万円~数億円もらっている」といった水準の話が、書籍や雑誌などで出ることもある。実際のところとしては「年収数千万円~数億円もらっている」人も実在する。
ただし、それはパートナーにならないと得られない年収水準であり、パートナーになるためにはコンサルタントとしての能力や才能が高い水準にあるだけでなく、
来る日も来る日もハードワークをし続けて、クライアントの成功のために短距離走のスピードで何十年も走り続ける必要がある。
実際、筆者の知人で某コンサルファームをパートナー目前で「もう疲れた」という理由で辞めた人もおり、いかに過酷な道のりであるかがわかる。
コンサルタントが年収を上げる方法
コンサルタントが年収を上げるには、職位(ランク)を上げるのが一番の近道である。
職位(ランク)を上げて、結果として年収を上げるために現役コンサルタントの方々がどのようなことを意識しているかをご紹介する。
コンサルキャリアによる独自インタビューであるため、ぜひ参考にしていただきたい。
直属の上司に徹底的に気に入られる姿勢をみせること。上司の言うことはひれ伏し、反発することは避ける。ただし、全てを鵜呑みにするのはではなく、自分の意見を主張しつつも、上司の意見を尊重する姿勢が大事。
現役BCG社員A氏
Internalの行事やイベントに参加し、いろんな人に顔を売ること。社内で定期的に開催される社内向けの発信ミーティングのファシリをしたり、行事イベントに積極的に参加することで縦横の繋がりを持つことが大事。結局、昇進させる側も「全く知らない人」よりも「なんか知っている人」の方があげたくなるのが人間の性。
現役BCG社員A氏
半年に1度、自己目標を決めるのですが、評価は決めた目標に対して「実際のプロジェクトではどうだったか」について、プロジェクトリーダー等に評価されます。なので、自分が決めた目標に対してコミットすることはもちろんのこと、そのことをアピールすることも怠りませんでした。頑張っても、それが評価者に伝わらないと良い評価をもらえないので。
現役PwCコンサルティング社員B氏
上司との定期定な1on1を通じて、常にFromToで自身のパフォーマンスがどう変化したかをアピールするようにしています。成果主義が求められる環境下にあるものの、上司も人間なので自身のプロモーションを後押ししてくれるよう根回しをしておくことも大事だと思います。
現役アクセンチュア社員C氏
KPIの達成の他に重要なのは自分のキャリア担当との関係性の構築です。「自分はこの年次までにこの職位になり、このくらいの年収にしたいんだ」という明確な意思を以てキャリアプランをすり合わせしておくことが非常に重要です。
現役ベイカレントコンサルティング社員D氏
コンサル転職で年収アップ・ダウンの要因
コンサルファームへの転職においては、基本的に年収はポジションによって決まる。
他業界で見かける「前職年収を加味して」という基準も存在はするが、ポジション水準を大きく超えるような年収設定にはならないようになっている。
そのポジションについては以下によって決まってくる。
- コンサルティングスキル
- 特定業界/領域における経験
未経験の場合や、コンサルワークと親和性が低い業務経験の場合は、どうしても前者の「コンサルティングスキル」という点で高いポジションを狙うのは難しくなってしまう。
ただし、後者の「特定業界/領域における経験」という点で、コンサルティングを行う上で武器になるに値する経験があれば、高いポジションを狙うことも可能ではあるが、非常に稀ではある。
例えば、「複数の新規事業の立ち上げ経験がある」、「複数のM&A案件を担当した経験がある」などである。
つまり、ほとんどの人がどうしても低いポジション(年収500~750万円程度)での転職とならざるを得ないのだ。
その結果として、現職での年収がだいたい700万円を超えている人は、コンサルへの転職で年収がダウンする傾向にあり、逆に500万円以下の場合は年収がアップする可能性が高いと言える。
コンサル転職で年収がアップする人の特徴
前述の通り、よほどの経験がない限りはコンサル転職における年収上限が決まっており、年収アップは難しい。
コンサル転職において年収がアップする人は、以下のいずれかになる。
- 新卒1-3年目での転職(但し、金融などの一部業界を除く)
- 社会人4年目以降での年収水準が低い企業からの転職(日系メーカーなど)
コンサルは金融などの一部の業界を除き、新卒1-3年目であれば相対的に年収水準が高い。
そのため、若いうちであればコンサル転職において年収がアップする可能性が高い。
また、4年目以降でも給与水準が低い企業からコンサルへの転職の場合は、年収がアップする可能性が高いと言える。
実際の事例で言うと、東証一部上場の大手メーカー(某業界の売上高業界首位)に勤める人が5年目でコンサルに転職して年収を480万円から650万円にアップさせた事例が存在する。
コンサル転職で年収がダウンする人の特徴
一方で、コンサル転職で年収がダウンする人は、年収がアップする人とは逆の状況で転職する人である。
- 社会人4年目以降
- 年収水準が低くない企業からの転職
社会人4年目以降でも、未経験であればコンサル転職後は新卒同等あるいは新卒+αのポジションになるため、どうしても年収はダウンせざるを得ない。
新卒1-3年目までは相対的に年収水準が高いコンサル業界であるが、外資金融のように圧倒的な水準ではない。
総合商社や生損保、証券、メガベンチャーなどある程度の年収水準の企業で4年以上勤めている人は、コンサル転職した場合は年収がダウンする可能性が高い。
コンサルタントの年収に関する疑問
コンサルタントの年収に関してよく寄せられる疑問についてお答えする。
Q1. コンサルで年収が下がることはあるか?
結論から言うと、コンサルで年収が下がることはある。
ただし、それはランクが下がることを意味しているが、そもそも本当に次のランクでもパフォームできるかという点を見られた上で昇格しているため、滅多にあることではない。
あるとすれば、求められるスキルセット、動き方が大きく変わるマネージャーでうまくパフォームできずに降格して年収が下がることや、コンサル転職で実力に見合わない高いランクで入手してしまい、翌年に降格して年収が下がるといったことである。
Q2. 未経験からコンサル転職時に年収を上げ過ぎない方がいいは本当か?
間違いなくコンサル転職で年収を上げすぎない方がいい。コンサルで年収が高い=ランクが高いということになる。
昨今はコンサルファーム側の人手不足もあり、高い年収を提示されることも多いようだ。
しかし、未経験からコンサル転職でより高い年収(=ランク)で入社するのはデメリットしかない。
コンサルでは「まだ入社したばかり」という言い訳は通用せず、ランクに見合ったパフォーマンスが求められる。
その結果、本来であれば教えてもらえたはずのお作法を習う機会がなくなったり、上位者・下位者から詰められるというのはコンサル現場でよく見る光景である。年収は高い方が良いというのはよく分かるがぜひ注意頂きたい。
Q3. コンサルは年収が高すぎて転職できないは本当か?
結論から言うと、コンサルは年収が高いことがネックとなり転職できないということは本当である。
他業界と比較してコンサルは年収が高いため、他業界への転職で年収が下がることがほとんどである。
そうなると「年収を下げて転職する」ということになるが、それを実際意思決定するとなるとかなりハードルが高いことがわかる。
生活水準を下げたり、引っ越しが必要な場合もある。また、家族がいれば家族の生活にも多少なりとも影響が出る。
実際に現役コンサルには「年収を下げればいつでも転職できる」という人も多いが、その多くが年収がネックになり、結局コンサルに居続ける人がほとんどである。